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日本人、帰る
私が漸くなきやんだころ、エレノアさんは窓の外をながめていた。
「エレノアさん?」
「ニナが悲しむことはないんだ。もう60年も前のことさ。それにこの村がある」
「え?」
「この村はな、焼かれた村の生き残りたちが作ったんだよ。まぁ、おかげで私は恐怖の対象にされてしまったがな」
でもようやくエレノアさんがここを離れない理由がわかった。
エレノアさんは守っているんだ。
人を嫌いきれず、大好きだった人たちの子孫を見守って。
「その時の国王はどうなったんですか?」
再びエレノアさんの顔に影が差した。
「私が殺した・・・っといても魔力を暴走させてしまって、気が付いたら死んでいた」
「・・・ほんとに来ないんですか?」
「ああ」
「それじゃあ私、帰りますね。絶対。絶っ対また遊びに来ますから!」
「・・・仕方ないから歓迎してやるよ、ニナ」
こうして私は私の世界に帰って行った。
またここに来るのを楽しみにして。
しかし、その期待は裏切られることになる。
読んで下さり、ありがとうございます