ヒッキ―魔女、拒否す
「・・・断る」
「どうしてですか?エレノアさん、ここにいたら迫害されて辛いでしょ?」
「ああ、確かに嫌になるときもある。できればもう
村人にも会いたくない」
「だったら━━」
「それでも!ここには残していけないものが多すぎるんだ。・・・どんなに相手に避けられてもな」
エレノアさんは自嘲気味に笑った。
「むかし、私は村人達と共生していた」
「え!?」
「食い物を分けてもらったり、私がつくった薬で村人の怪我や病を治したりもしていたんだ」
エレノアさんは遠くを見る目をしていた。
「あの頃は楽しかった。だが、数十年前。私が変えてしまった」
「数十年前?」
「ああ、魔女は数百年と生きるからな」
エレノアさんは忘れていたと言って教えてくれた。
「数十年前。この国の国王が私を側妃にしたいと言ってきて、私はそれを断った」
「・・・恋人でもいたんですか?」
「ああ。名をロビンといって、明るくて側にいると暖かい気分になる青年だったよ」
エレノアさんはきっとその人が大好きだったんだろうな・・・。
そんな顔してる。
「国王は私が断ると、城にロビンを呼び出して殺したんだ」
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