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第一話 1

 「ここ、か。」

目の前に広がる大きな門、右側にはきちんと“秀桜学園”とかいてあるから間違いないだろう。真新しい制服に身をつつみ、神崎アンナ(本名は九条アンナ)は緊張した面持で門をくぐる。

 見えてきたのは入学試験で一度訪れた時と同じ、風景。中央のメインロードの両脇に植えられた桜は魔術によって一か月経とうとしているにも関わらうず、綺麗な花を咲かせている。


 そしてその木の近くでは、在庫性らしき人が看板を掲げて何か叫んでいた。

どうやらクラブ活動の勧誘らしい。

「呪文は唱えてるだけが青春か!

俺たちと一緒に萌えについて熱く語り合おうではないか!

集え!オタク達よ!」

「えー・・・おほん、皆さん料理好きですか?

お料理研究部で美味しいディナーを作りましょう!

そ・し・て!!!意中の男性の心と胃袋をつかみましょう!

ここに所属する半数以上がリア充です!ちなみにわたしはフリーです!彼氏募集中!」

「魔法薬研究部です・・・恋に効く薬の研究開発中・・・」

「中学からやってるヤツも!初心者も歓迎!やっぱ野球だ!

一緒に甲子園目指そう!坊主は強制だ!ガハハ」

「魔女っ娘同好会です!魔女っ娘好きな方大歓迎!」

発狂する部活動愛好会メンバーに、引き寄せられる新入生たち。

いや、半場あれは強制だろう。


 「す、すごいなぁ・・・」

あまりの光景に衝撃を受けるアンナ。そんな彼女にも魔の手?が忍び寄る。

「き、きみ!ぶ、部活は決めたかね?」

「い、いえ…」

「そ、そうか!だったら僕たちの同好会にはらないか?」

眼鏡をかけた男子生徒に無理やり握らされたチラシには“美少女を愛でる会”。

「・・・あの、これは?」

「君はかわいい!

澄んだアーモンドアイに真っ白な肌と艶やかな黒髪!まるで魔法少女Zに登場するアーリンのようだ!」

「はぁ…」

アーリンって誰?

「そこで、男子部員しかいない我が部活にぜひとも部活のアイドルとして、入部してもらいたい!どうかね!?」

ずいずいと迫ってくる男子生徒。心なしか鼻息が荒い。

どうしようと困っていると、後ろから誰かに引き寄せられた。

 

「アンナー駄目だよ変なのに捕まっちゃ!」

「え、ハルちゃん!?」

「久しぶり~アンナ相変わらずかわいいねぇー」

ぎゅうぎゅうとアンナを抱きしめるのはアンナの幼馴染である東条ハル。

ショートカットの茶色の髪に少しつり目の彼女はアンナよりも背が高く、背の低いアンナをすっぽりと自分の腕の中に閉じ込め…男子生徒を睨み付けた。

「ひぃっ!」

蛇に睨まれた蛙のような情けない悲鳴を上げ、男子生徒は人垣へと消えていった。

「…ハルちゃん苦しい。」

「ん、あぁごめんごめん!」

はははっと笑いながらアンナを解放する。

「もー…ハルちゃんいつここに着いたの?

遅れるって聞いたからわたし先に行ってたのに。」

「いやー寝坊しちゃってさ!」

「また?」

「だってアンナと一緒に学校だなんて興奮しちゃってさー中々寝付けなかったんだよ。アンナ学校行くのって小学校ぶり?だし!」

「だからハルちゃんと一緒に行きたかったのに…」

残念そうに俯くアンナ。本人は認識していないが、その仕草は思わず抱きしめたくなるほど可愛らしい。

現に、ハルは我慢できず抱きしめていた。

「ハルちゃん!」

「アンナが可愛いのが悪い!

他の人、特に男の前でそんな可愛いことしちゃダメだからね?

こんなワンピース姿でやられたら、ヤバいから。」

「ワンピース姿って、ハルちゃんもでしょ?」

自分の着ている制服を見ながら、そうつぶやいた。


 女子の制服は真っ黒のワンピースタイプになっておりに胸元には金色の糸で桜の紋章が刺繍された制服。丸襟で黒のボタンが三つで、スカートの長さは膝上で統一されており、ベルトも黒い革、靴下は白で上に制服同様桜のマークが刺繍してあり、靴はエナメルの黒いローファーである。

 男子は白いシャツに金色のVラインが入った黒いベスト(女子同様桜の紋章が刺繍されている)に黒いズボンのシンプルな制服だ。

 セーラー服にしようとの動きもあったようだが、便宜状の関係でこの制服になったらしい。魔術師に相応しく、黒で統一された制服は好評のようで。

制服で学校を選ぶという学生も少なくない。


 勿論、それだけで入れる程ここの学校は簡単ではない。

日本に3つしかない国立の魔術学校の中でも、関東にある秀桜は難関校なのだ。

一学年の生徒数は180人に対し、受験者は1000人を超える。筆記試験と魔力の保有量、実技、論述この4つで優秀な成績な成績を収めた者だけが、この制服を着れる権利があるのだ。

だからこそ憧れの制服と言ってもいいだろう。


 「そういえば!クラス開示見た?」

「え?合格通知に記載してあったでしょ?」

「え?」

「え?」

「「……。」」

「…合格通知書持ってる?」

「う、うん。」

がさごそと鞄の中から出した通知書を受け取り、中身を確認する。

「えー…っと、ハルは…一年二組、特別クラスじゃない!おめでとう!」

「特別クラス?」

「特に成績優秀な生徒を集めたクラスよ。二組と一組がそう。

ここのクラスは、他のクラスとカリキュラムが少し違うみたいね…。」

「へー…あ!アンナは何組なの!?」


「え、わたし?五組だよ。」


「なんですと?

あたし、アンナと同じクラスじゃないの!?」

有り得ないと絶叫するハルに周りの視線が集中する。

「」「」「」「」




 




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