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序章


 “これからの戦争は核ではない、魔術師こそが戦力だ”


 第三次世界大戦を、ある一人の魔術師が終わらせた。

彼は世界い平和をもたらしたが同時に、魔術という今まで公にしていなかった強大な“チカラ”を世に知らしめてしまう。


  昔から魔術というものは存在していた。

タントラ教、ヨーガ、錬丹術、陰陽道、密教、カバラ、錬金術、黒魔術、ドルイドなど・・・様々な魔術があり、それら全て言い方は違えど科学では証明されていないチカラを源としている。

しかし、これらを使える者はごく少数であり、チカラ自体も大きくなく、歴史の表側に強い影響力は与えていなかった。

科学技術が進むにつれ、その傾向は強くなり非科学的な魔術を信用する者は皆無。

まして、戦争の戦力になるなど誰も想像していなかったのだ。


 だが、一人の男がその常識をひるがえした。

彼の使った魔術は強大なエネルギーを持ち、科学技術の結晶である原子爆弾や化学兵器を一撃で破壊、消滅させたのだ。

これには世界中の科学者が驚愕し、そのエネルギーの正体、法則、原理を数式で解明しようと試みた。


 しかし、解らなかった。


魔術に使われるエネルギー体すら、彼らは証明できなかったのだ。

そんなこともあり、初めは正体不明なチカラを皆、恐れ、退けた。

迫害を受けたにも拘わらず魔術師はそれでいいと思っていた。

この戦争を終わらせることこそ彼の目的であり、彼としてもこの巨大なチカラの危険性を知っていた。

原爆のように、兵器として利用されたくはなかったのだ。


 けれど、その願いはあまりに呆気なく、切り捨てられた。


 彼の一番弟子による男の裏切りによって、彼の魔術理論が世界中に漏えいしたのだ。彼は止めようとした、また過去の過ちを繰り返してはならない、と。

自分がやりたかったことではない、と。

「魔術はひとを幸せにするものだ」そう言って訴えた彼は、殺された。


それからおよそ100年ー・・・




 各国が魔術師という“兵器”に魅了され、兵器としての魔術師が生まれた。


 そんな2167年。

極東の小国日本に、“ガーネット”そう呼ばれる一人の魔術師がいた。

彼女の名は“九条アンナ”

十三家の一つ九条家の長女にして、日本で最も強いとされる20人に選ばれる程の魔術師。

 第三次世界大戦が終結しておよそ100年。

人口の1%未満である魔術師が国に関与しているのは、もはや日本だけではない。

世界中の国にとって魔術師とは切っても切れない存在だからである。

この日本には“十三家”と呼ばれる一族がある。その内の十の一族が魔術師であり、その強力な力によってこの国を統治している。

残りの三家は魔術師ではない一般人の家柄だが、


 “軍事兵器以上の価値”


科学では証明されなかった“チカラ”が一般的になったのは今から100年前。


“一人の魔術師”による戦争への参加が、それまで明るみにされず守られてきた“チカラ”という巨大な力を世に示すことになった。



 “これからは核兵器ではない、魔術師の強さが国力に繋がる”



 “魔術”という未知の力に魅了された大国は、魔女や呪文師など…国内の魔術師を集め組織した。

少人数だった魔術師の増幅と、より強力な魔法が使える魔術師の育成に力を注ぎこんだ。

それは日本も同様であり、第三次世界大戦が起こり世界中の弱い国が消えていくなかで生き残れたのは―…


 “暁計画(魔術師増強国家戦略)”を確立させ、少人数ながらも圧倒的な力を持つ…“十三家”と呼ばれるもの達のお陰であろう。


日本は領土拡大とはいかなかったものの、国の存続を守った“極東の小国”として名高い。


そんな国、日本で最も優れた魔術師が20人いる。

その内の一人で最年少の通称“ガーネット”と呼ばれているのが、わたし“九条アンナ”である。 


 だが、九条アンナという存在は“あの事件”によって抹消された。

よって、表では“弱い魔術師九条ユイ”として裏では“20人の一人であるガーネット”としてわたしは生きていた。


そう、ついこの間までは―…





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