第三章、第四章 あらすじ
大陸の東北に位置する遺跡の町ルーデルを後にしたリリィ、コア、クロムは空を飛ぶ艇の目撃情報を追っていた。だがこれといった成果は得られず、一行は正体不明の女が目撃されたという陸の孤島の調査に赴くこととなった。陸の孤島は大陸の西南に位置するウォーレ湖に存在すると言われている島であるが、この場所では赤月帝国が内乱を繰り広げていた。
一方、単身赤月帝国へ潜入したマイルは内乱の深刻さを肌身で感じていた。長く赤月帝国の軍事を担ってきた白影の里が歴史から姿を消そうとしていることを察したマイルは絶望感を抱きながら赤月帝国を後にし、緑青が戦を続けているウォーレ湖へと向かった。
コアの所業により一行は想定外の形で再会することとなった。緑青と二人で話をする機会を持ったリリィは彼の言動が許せず、制止しようとしたが緑青に力尽くで黙らされてしまう。納得がいかなかったリリィは緑青を止めたい一心で戦場へと向かったが混乱の中で緑青と間違われ殺されそうになる。そしてリリィと、彼女を庇った緑青はひとたび流されてしまえば戻って来ることが出来ないと言われているウォーレ湖に姿を消した。
ウォーレ湖に落ちたリリィは陸の孤島へと流れ着いた。そこで彼女は愚者と思しき女と対面を果たす。セレンと名乗った女に送られ、リリィは緑青の死を背負って湖岸へと戻った。こうして、赤月帝国の内乱は関わった者達の心に何らかの傷を負わせ収束したのである。
大陸の南西に位置するウォーレ湖を後にした一行は北上し、大陸の北西に位置する娯楽都市オラデルヘルを目指した。オラデルヘルは「髑髏の右目」の別称を持つポードレール湖に浮かぶ小島にあるので船に乗らなければならず、そのため一行はオラデルヘル傘下の娼婦街ネオンを訪れた。街の空気が肌に合わなかったリリィは気が立ち、コアとの言い争いの末に宿を飛び出してしまう。夜の街をあてもなくうろついていたリリィは不法労働者と間違われ、ネオンの街を取り仕切っている女の屋敷へと連行された。ネオンの街の名をそのまま源氏名とするネオンという女の介入により図らずも、リリィとコアの諍いは収束したのだった。
ネオンの街を後にした一行は当初の予定通りオラデルヘルに到着した。だがオラデルヘルの主人であるライトハウスは留守であり足止めを食うこととなった。ただ待つことは時間の無駄であり、コアはライトハウスの息子であるクレルの懐柔をマイルに託し、単身大聖堂領へと戻ることにした。
大聖堂領へ戻ったコアはまず、モルドが責任者を務める礼拝堂を訪れた。そこで赤月帝国の内乱に深く関わっていると思われるヴァイスという女のことを聞き、コアは現状を己の目で確認するため大聖堂の本拠地がある神山へと向かった。大聖堂の本拠地で直接ヴァイスと対峙したコアは警戒を強め、アリストロメリアの傍仕えであるテルに用心を言い聞かせて大聖堂を後にした。
一方、オラデルヘルに残ったマイル、リリィ、クロムはそれぞれに突然の余暇を過ごしていた。何事もなく時間が過ぎ去るかと思われたがある夜、愚者の一人であるキールが乗っているとされる箱艇が姿を現した。感情的になることを己に禁じていたリリィは求めていたものの出現に我を忘れ、箱艇が去った後にマイルへの罪悪感に苛まれた。
オラデルヘルに戻ったコアはマイルから箱艇が出現したことを聞かされた。ライトハウスがいつ帰って来るか分からなかったので一行はオラデルヘルを後にし、箱艇がやって来た方角である北へ向かうこととなった。箱艇の再見は己の過失を実感する機会となってしまい、リリィは贖罪を心に誓ったのであった。




