第九章、第十章、第十一章 あらすじ
大陸の西北に位置するビルを後にした一行は所持金が尽きるという窮地に陥り、急遽コアの知己であるフリングスの貴族の元へ行くこととなった。西の大国フリングス領の西北に領地を有するラズル卿の元を訪れた一行は、そこである宗教の弾圧を依頼される。その宗教とは、東の大国大聖堂と同じく聖女を神の御使いとして崇めているものであった。
聖女信仰が盛んなカランという町を訪れた一行は、思わぬ形で愚者の情報を入手する。偽りの聖女信仰を早々に弾圧した一行は謝礼金を受け取るために一度ラズル卿の元へ戻り、その後、大陸の東南に位置するグザグ砂漠へと向かったのであった。
西の大国フリングスの貴族であるラズル卿に別れを告げた一行はそのままフリングス領を南下し、大陸の東南に位置するグザグ砂漠を訪れた。しかし砂漠へ進入して早々、マイルが毒蛇に噛まれるというアクシデントが発生する。一行はマイルを助けるべく、砂漠の東端に定住しているフィベという部族の集落へ身を寄せた。
フィベ族の部落で砂漠に暮らす者達の情報を得た一行は、マイルの回復を待ってから砂漠の中ほどに位置するオアシスを目指した。一行の目的はアオシス付近にある遺跡へ行くことだったが、遺跡の近くには異邦人を拒むラマダラという部族の集落がある。
幸か不幸か、一行がオアシス付近に到着した時ラマダラ族は夜襲を受けていた。一行は混乱に乗じて遺跡への侵入を試みたのだがラマダラ族に見付かってしまい、戦闘を余儀なくされた。しかし砂漠での戦闘は突如として吹き荒れた砂嵐によって中断となる。そして砂嵐が去った後、砂の大地は大規模な陥没を始めたのだった。
陥没により砂漠の地下へと落下した一行は、同じく穴に落ちたラマダラ族のバルバラと共に出口を探すことになった。それまで敵対していた者同士が行動を共にすることになったので不穏な空気が漂う場面もあったが、一行はなんとか地上へ出ることが出来た。地下から地上へ出現した場所が図らずも目的地であったため、バルバラと別れた一行は遺跡の調査を開始したのである。
砂漠の民が聖域としている都市型の遺跡は一行が北方独立国群で出会ったものよりも広く、調査は難航した。しかし一行はついに、箱艇へ行くことが出来るかもれない物を発見する。捨山の物と似た白銀の『機械』が作動し、一行を空飛ぶ艇へと導いたのであった。
空の上へ招かれた一行は、箱艇の甲板でキールとの対面を果たした。ここで初めて故郷が滅んだ日の真実を聞かされたリリィは愕然とし、言葉を失ってしまう。愚者達は少しだけ自分達のことを話したが結局は何も解決しないまま、一行は地上へと送還されてしまったのだった。
箱艇から地上へ放り出された一行はグザグ砂漠ではなく山中に出現した。右も左も分からぬ場所に放置された一行は人里を探して歩き回り、自分達が北方領土の東端付近にいることを理解した後、大聖堂領へと戻ることにした。こうして一行は大聖堂領の東域にあるミラーの町を訪れたのである。
ミラーへ着いてすぐ、コアが何も告げずに姿をくらませた。リリィとマイルはミラーの町を探し回ったがコアを発見することは出来ず、ひとまずモルドのいる礼拝堂へと行くことにしたのである。しかしリリィ達が訪れた時、礼拝堂はすでに瓦礫の山と化していた。行動の当てを失ったリリィとマイルは途方に暮れたが、幸いにも事情を知っていそうなラーミラと再会することが出来た。ラーミラと共に心当たりを巡ってみることになり、リリィとマイルは南方諸国連合の僻地で無事にモルドと再会を果たしたのであった。
モルドと再会を果たしたことで、リリィの真実を追う旅はひとまず幕を下ろした。これからどうするのかを決めかねたまま、リリィはモルドの元に滞在することを選択する。世界は混沌とした争いの渦に呑まれていたが南方の僻地に身を潜めていては、それも遠い彼方での出来事であった。リリィは平穏な日々を大聖堂の聖女であったアリストロメリアと過ごしていたが、アリストロメリアの傍仕えであった少年が現れたことで事態は一変する。愚者の筆頭である青年と出会ってしまったことで、彼女は思いもよらぬ決断を迫られることになるのであった。




