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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第二話 ベグルはどこに?

7442年4月15日

 兄貴からの贈り物を大事に抱えて部屋に戻ると灯りの魔道具に触れて点灯させた。ベッドに放り出しておいた今日購入した荷物を手早く整理し、ブーツを脱いでベッドに寝転がる。壁の漆喰には剥げたところもないし、天井にも板が張ってあるから立ち上るレトロ臭を除けば非常に快適なホテルだ。一泊で銅貨50枚もするだけはあるよな。とは言ってもオースの、しかも俺が知る範囲内の知識だけでの判断だから、勘でしかないんだけどね。

 個室ホテルの贅沢を存分に味わいながら、今日逢ったばかりの二人について思いを巡らせる。一人は男で冒険者崩れだという。ベグルの名前を出したときの反応からして何らかの繋がりがあったのだろうか。いや、そこまでは解らんな。だが、ベグルについてそれなりに知ってはいるようだ。ベグルがあの男の事を知っているかどうかまでは判断がつかない。

 もう一人は女でこの町の酒場兼飯屋の生まれ育ちでそのまま働いているという。こっちもベグルのことは知っていたようだがどの程度知っているかとか関係があるのかとかも男の方同様に判断がつかない。だが、二人ともベグルと関わり合いになることを拒否していた。それも恐れるような感じでの拒否だった。ベグルとはそれほど周りから恐れられる様な奴だったのか。

 7年ちょっと前だから8年前でもいいか、俺は初めて殺人を犯した。ミュンから情報を受け取りに来た冒険者の間者だ。確かあいつは「ベグルの旦那」と言っていた。親父と同年代くらいに見える男の言う「旦那」という言葉から俺は勝手にベグルのイメージを作っていた。

1.年齢は最低でも20代後半以上(おそらくもっと上だろうとは思う)
2.性別は男
3.普段キールにいる
4.普段表に出ず、間者の仕事の時だけ本人が直接手下の所に現れて内容を指示する

 こう言った情報から俺は30代~40代、下手したら50がらみの男で、普段は正業を持つなどして仮面を被っているか、非合法な方法でキールの裏社会に溶け込んでいるのだろうと思っていた。ベグルという名前すら仕事の時だけの偽名だと思っていたくらいだ。間者の元締めをしているくらいだから用心深く、且つ狡猾に立ち回る思慮深い人物像をイメージしていた。だから、あの二人の反応については少々意外な気もしたのだ。

 ベグルは普段から堂々と名乗り、愚連隊のような組織のリーダーをしているとは全く思っていなかった。だからわざと有り得ないだろうと思っていた形で聞いてみたのだが、二人ともベグルという男の存在を知っており、あまつさえキールの中層以下の社会では有名人だと言う。ひょっとしたらベグルは二人いて、間者の元締めの方が目立たないように有名人の方の名を騙っているのかも知れない。

 有名人のベグルは周りから恐れられるような存在らしいから、かなり目立つし、それなりに注目されているだろう。そいつが捕らえられたり、何らかの調査が行われた場合には、その情報はすぐに出回るだろう。場合によっては間者としての嫌疑での調査、などという情報すら流れる可能性も高い。それが本来のベグルの保身のための安全装置になっているということすら考えられる。

 そうなると有名人の方に手を出すのは躊躇われるな。と、するとやはりあの工務店に臨時雇いで雇われていた連絡員つなぎから辿った方がいいか。正直な話、あの連絡員つなぎと話すのは最初から覚悟の上だからドーリットに戻ることは計算に入っている。ドーリットまで片道100kmくらいだから普通の馬なら兎も角、兄貴が乗っていた軍馬なら耐久力や持久力は段違いだろうし、訓練もされているだろうから1日半~2日といったところか。宿の代金分は泊まり、その後出発しよう。え? 明日とか出発しても親父たちに追いついちゃうじゃんか。

 ものすごく緊急なわけじゃないし、そこまで急がなくたっていいだろ。



・・・・・・・・・



 翌朝、日の出前に目覚めた俺はプロテクターを身に着けると走り込みをするために宿を出た。大きめに作ってあるプロテクターやブーツに早く慣れたいというのもあるが、体力練成は出来るだけやっておいたほうがいいからな。

 日が昇り、合計で2時間ほど走ると充分なトレーニングに満足した。プロテクターに身を包んで走っている俺は異様だろうが、他人の目を気にしてもしょうがない。もう既に朝日は昇っているし、いつもの時間に朝飯を食っていないから腹はぺこぺこだ。プロテクターを脱ぐためにビンス亭に戻るのも面倒だし、このまま朝飯を食うか。

 クールダウンしながらビンスイルの店まで行く。昨日と変わってプロテクターを身に着けているのでものものしくはあったが、仕方ない。マリーを呼び、朝食セットを頼むとちょっとだけ話をしたいと外のテーブルに連れ出した。

「なに? その格好。凄いね。まるで騎士様じゃない」

「ああ、ゴムで作ったプロテクターだよ。鎧みたいなもんだ。それより、ちょっと確認と言うか話をさせてくれ」

「別にいいけど。なに?」

 俺のプロテクターが珍しいのだろう、肩当や小手をちょっと触り感触を確かめたいようだ。どうぞ、という感じで右手から小手を抜いて目の前に置いてやる。

「あんた、年は? 俺は今年59歳になる。正直な話、クローとあんたのような関係が羨ましい。昨日話してみて解ったが、二人とも悪い人間では……いや、変にオースの底辺、と言うかキールみたいな大都市の底辺に染まり切っていないことは確認できたと思っている。日本人らしいところが残っているのを感じて、俺は泣きそうになったことが幾度もあった」

「53歳よ。そう、私たちも日本人に会えて嬉しかった。貴方は私たちのことを羨ましいと言ったけれど、私たちも貴方のことを羨ましく思っているわ。貴方と違って私たちはオースに何の影響も与えられていないわ。
 特に私は皆に使ってもらえるような何か便利な物を作るとか考えもしなかったし……私もクローもそれなりに頑張ってはいるつもりだけどね。でも、貴方のような成功はしなかった。クローは蓮っ葉に構えているけど、あれでも昔は村で相当頑張ったらしいわ。全部だめだったらしいけれどね。それでこの町に来た当時はグレちゃっていたみたい。今は一生懸命働いているけどね」

 真新しい俺の小手をいじくりながら話してくれた。 

「うん、お互いいい年なんだな。あと、ゴムの件は俺は運が良かっただけだと思うから……。『ちょっとここからは日本語で話す。単刀直入に聞くけど、ベグルについて知っていることがあれば教えてくれないか? 正直な話、昨日ちらっとクローから聞いた話が信じられないんだ。ああ、いや、クローが嘘を言ったなんて言うつもりじゃなくて、俺がイメージしていたベグルと聞いた話ではかなり印象が違ったからね』

『なんでベグルのことを知りたいの? 関わりにならないほうがいいと思う。ここらのごろつきとかのリーダーなのよ』

 小手から目を上げ、俺の顔を正面から見つめてきた。オートミールをスプーンで掬っていたのでそう見つめられると食べられん。

『俺の恩人がベグルという奴に困らされている。いろいろ集めた情報だとベグルはデーバス王国へ情報を流しているらしいことがわかった。つまり、スパイみたいなもんだ。俺は別にロンベルト王国自体に思い入れがあるわけじゃないからそこはどうでもいいんだ。
 だけど、そのあたりの事情や、今までに入手出来た情報から推測して、君らから聞いたベグルの人物像はちょっと予想外だったんだ。最初はかまかけのつもりで聞いたんだが、あまりに典型的な悪人のように聞こえたから意外だった。それに、どうも関わりたくない、と言うより、恐れているように聞こえた。でも、俺としては恩人が困らされていることは見過ごせない』

『見過ごせない、か。じゃあどうしたいの?』

『俺がやったと誰にも知られないように憂いの要因を排除したい』

 スプーンをオートミールの皿に戻しながら言った。

『懲らしめたい、とか殴りつけてやりたいとかじゃないのね?』

『それで憂いが断てるならそれでもいい。だけど、そんな簡単にはいかないだろうなってことは想像がつくよ』

 マリーはまた小手に視線を落としながら言う。

『教えるのは構わない。でも、私からだと多分通り一遍のことしか言えない。別に隠しているわけじゃなくて、それしか知らないから。それで良かったら教えてあげられるけど、正直な話、貴方にベグルをどうこう出来るとは思えないわ。仲間、と言うか手下も沢山いるみたいだし、下手に手を出したら酷い目に逢うわ。殺されるかもしれない。冒険者崩れとは言っても強いことは確かだわ。何でも一人でオークを何匹も退治したこともあるらしいし、本来なら真っ当な冒険者としてやっていける実力もあると思う』

 オークってのの強さがわからないから何とも言えん。

『そうか、オークってのはどのくらい強い魔物なんだ? バークッドの辺りにはいなかったから戦ったことが無いから知らないんだ。ホーンドベアーくらいなのか?』

『え? ホーンドベアーな訳ないじゃない。私も魔物と戦ったことなんかあるわけないから知らないけど。ホーンドベアーって言ったらここらじゃ一番強いと言っても良い魔物らしいわ。退治には普通の冒険者だけじゃ無理ってことで、騎士団が揃って行くか、キールでもトップクラスの冒険者たちが複数で行くくらいの魔物なのよ。
 あんた、何言ってんの?
 それで良く冒険者やるとか言えるわね。……ホーンドベアーは置いておいてもオークはホブゴブリンと同じくらい強力らしいわ。家族単位とかで群れているらしいから冒険者くらいの実力がないと追い払うのがせいぜいでしょ。キールのあたりには出ないらしいけどね。そんなこと言ってるようじゃベグルの相手なんて10年早いわ。悪いことは言わないから忘れなさいよ』

『なんだ、その程度か。じゃあどうせ手下はもっと弱いんだろ? 不意打ちさえ食らわなきゃ、いや不意打ちできれば問題なさそうだ。自慢するわけじゃないけど、一対一なら全く負ける気はしない。と言うより、冒険者崩れって言葉に惑わされていたな。冒険者ってもっとずっと強いと思ってた。うちの両親も元冒険者だったが、やっぱりかなり強い方だったんだな』

 マリーは馬鹿を見るような目つきで俺を見ると、口を開いた。

『あんた、いくらなんでもすぐにばれる嘘は人を馬鹿にし過ぎじゃないの? いくらオースがステータス見れたり魔法があるとは言っても現実なのよ。見栄張って嘘言わなくても、馬鹿にしたりはしないから本当のことを喋りなさいよ』

 見栄なんか張ってないけど、ここで突っ張るのも意味がない。だいたい、他人はおろか自分のレベルだとか能力だとかHPだとかすら普通はわからないんだからな。僅かに自己の特殊技能のレベルが確認できるだけだ。

『いや、ごめんごめん。こうでも言わないとベグルのことを教えてもらえないかと思ってさ。本当、すまん。謝る。この通りだ』

 そう言って両手をテーブルについて頭を下げる俺に対し、

『最初からそういう態度でお願いすれば良いじゃない。別に教えないとは言ってないんだからさ』

 こう言って座りなおした。

『ベグルは昔どこかから流れ着いた冒険者だったらしいわ。最初はキールでもそれなりに上手くやってたみたいだけど、いつも一緒に行動していたグループで仲間割れが起きたらしいの。それでグループを抜けたらしいけど、やっぱり一人じゃ碌な依頼も出来ないで落ちぶれていったんだって。でも、腕は確かだし、強いからすぐにここらあたりでぶらぶらしてる同じような冒険者崩れのリーダーになった。それからは悪さのし放題。簡単に言うと札付きね』

『そんなのを何で放って置くんだ? 侯爵や騎士団はベグルを捕まえないのか? 警察みたいなこともやってるんだろ?』

『日本のやくざと一緒よ。ここらあたりを管轄してる騎士に取り入って賄賂でも渡してるんでしょ。たまに手下を人身御供で差し出したりしてるなんて話も聞くわ。直接殺人とか強盗とかの犯罪を見られたり証拠を残したわけじゃないみたいだしね。賄賂はともかく、多分証拠がないから騎士団も逮捕出来ないんだと思う』

 なるほどね。それなりに頭はあるみたいだ。でもこんな小悪党がスパイの元締めみたいなことをしているのはやっぱりおかしいよな。やはり俺が追っているベグルとは別人なような気がする。が、まだ完全に判断するには早いだろう。うんうんと頷く俺に続けてマリーが言う。

『とにかく、逆らったりしたら商売はまともに出来なくなるし、クローも昔ベグルと一緒にいた事があるんだけど、抜けるのに大変だったんだから。……本当に大変だったんだから……私が知っているのはこのくらい』

 マリーはきっとクローがベグルの組織を抜けるときにされた何らかの仕打ちのことを知っているのだろう。拳を握りながら俯いていた。

『そうか、どんなことがあったかは聞かないよ。それはクローから聞く方が良いだろうし。まだ確定はしてないから何とも言えないけど、その悪党のベグルが俺の探しているベグルじゃないことを祈っててくれ』

『あとはクローに聞いて。明日の夜には帰ってくると思うし、帰ってきたら必ずこの店に来るはずだから。多分夕方5時過ぎくらいの時間だと思う』

 だいぶ冷めたオートミールを掻き込んで時間を取ってくれた礼を言い、ビンス亭に戻った。プロテクターを脱ぎ、宿の裏手の厩舎の傍にある井戸で水をかぶる振りをしながらシャワーを浴びさっぱりとしてから部屋に戻る。

 まだ朝だし、クローは明日の夜にならないと戻らないらしい。どうすっかな。



・・・・・・・・・



 冒険者の依頼がないか確認しに騎士団に向かった。門の傍の小屋で依頼がないか確認すると、現在依頼は無いとの事だった。受付の担当の従者だか事務官だかに依頼のシステムを聞いてみる。

 基本的にウェブドス騎士団で受けられる依頼は行政府からこぼれてきた物らしい。侯爵領において、冒険者に何らかの依頼を出したい場合、基本的に行政府宛に出すらしい。その中で主に退治系になるのだが、困難そうな依頼を騎士団に回すのだそうだ。騎士団ではだいたい2~3週間ほど依頼を掲示するらしいが、依頼を受ける冒険者がいない場合に限り騎士団が代わりにその依頼を受けるということだ。

 なるほど、退治の場合、自分の実力に見合っていないと思えば受けない人間も多いのだろう。ただ、だからと言って放って置く訳にも行かないから期限を切って騎士団が処理するのか。

 ならば行政府に行った方が多種多様な依頼がある可能性は高そうだ。教えてくれたことに礼を述べ、行政府に向かってみた。

 行政府ではどこに行けば依頼が確認できるのか分からなかったので職員らしそうな人を捕まえて聞いてみた。すると親切に案内してくれたのは良いが、依頼の開示はいつも午後から行われるとの事だった。大きな板に依頼内容が書かれて掲示されるらしい。午前中は板に依頼内容を書いているから午後からの受付なのかもしれないな。どうでもいいけど。

 板に書かれた依頼には番号が振られており、その番号を板の傍に立っている係に伝えることで依頼を受けることになるそうだ。その際にステータスを確認され、名前などを記録される。同時に札が発行され、その札を持って依頼人に会うらしい。

 謝礼は依頼完了時に依頼人から直接支払われたり、前金で何割か受け取れたりなど場合によってマチマチらしいが、依頼の完了時には必ずここに戻り、最初に受け取った札を返却する。それをもって初めて完全に依頼を達成したことになるらしい。どうも札が返却されることで依頼完了と見做して依頼人に税を課しているようだ。

 札がいつまでも帰ってこなければ依頼は未達成のままになり、受けた冒険者の評判が悪くなる。また、行政府としても依頼人から税が取れないからそんな奴に仕事を斡旋したくは無くなっていく、という事か。依頼が未達成にもかかわらず札が戻ってきたら税の請求をする際に必ずばれるから結果は同じという事だろう。

 こうやって淘汰され、冒険者崩れ、という人間が発生するのだろう。なるほどね。因みに冒険者にもその収入に税はかかる。個人事業主のような感じになるらしい。二重課税じゃねーか。そもそも依頼主が別途税を払っている筈だ、明らかな二重課税に憤慨しそうになった。

 しかしながら、税がかかるのは平民だけのようだ。貴族は家督を持っている当主本人で且つ土地を所有していない限り冒険者の収入に対する税はかからない。本家でその本家の収入の6割税を払っているからだ。自由民は登録している領主に人頭税を払っていると見做されるのでこちらも冒険者の収入に税はかからない。奴隷はそもそも単独で生計を営んでいること自体有り得ないので、奴隷だけで依頼を受けること自体出来ないし、その所有者が人頭税を払っていると見做されるからこれも同様に税はかからない。多分所有者と一緒に依頼を受ける形になるんだろう。

 平民だけやけに不利だと思って質問してみたが、家を出た平民はその時点で本家とは生計が別になると見做され、冒険者の収入に対して1割税がかかるとのことだった。6割ではないのは土地を所有していないので農業ではなく、商業として課税されるかららしい。貴族の特権はまぁいい。貴族というだけである程度の特権があることは想像できるし、俺がその恩恵にあずかれるのだから不満は全く無い。自由民は領内しか行動の自由がないし、人頭税を払っているので全く税を払わないわけではないのだからこれもいいだろう。それに、平民や貴族と異なり土地の所有が認められていないので農業が出来ないらしいからね。

 平民の冒険者だけが収入に課税される理由は奴隷にあった。平民や貴族が所有する奴隷の人頭税は年間銀貨1~2枚くらいでまず無視できる金額だ。だが、これが自由民になるとそうは行かない。自由民が奴隷を所有することは禁じられていないが、自由民が奴隷を所有した場合の人頭税はなんと自由民と同じ、年間で金貨1枚なのだ。だから冒険者であるなしに関わらず自由民で奴隷を所有している人間はほぼいないと思ってもいい。

 冒険者に対する依頼は何らかの理由で人数を指定されているものでない限り何人で受けても構わない。一人なら報酬は独り占めできるし、二人なら等分するか、実力や働きに応じて決めるのだろう。だが、奴隷を所有する貴族や平民ならどうか。一人ではとても達成出来そうに無い困難な依頼を奴隷パワーで受けることも出来る。当然報酬は独り占めだ。

 一例を挙げると隊商の護衛の依頼があるとしよう。受けられる条件が6人で報酬はそれぞれ銀貨10枚だ。ごく普通の自由民の冒険者なら6人集める必要があり、報酬は一人銀貨10枚だ。対して奴隷冒険者を5人所有している平民の場合は60枚全部貰え、1割税で6枚取られても54枚残る勘定になる。奴隷に武装させ、体力が維持できるような食事さえ用意できるなら、かなりおいしいと言えるだろう。食事だって贅沢さえしなければかなり安く済むから、初期投資の奴隷購入費用と武具の購入費用さえ何とかできるのであれば問題は少ないと言えるだろう。

 詳しくは聞いていなかったがバークッドの出戻り冒険者デスダンは何人か奴隷を連れて行ったのかもしれないな。ああ、親父が沢山金をくれたのは奴隷を買えという意味もあったのか。今になって分かる親の愛だな。だが、待てよ。確か両親はたった二人で冒険者をやっていたはずだ。奴隷がいたなんて聞いたことはない。

 今は掲示場所は確認出来たから昼過ぎまで時間をつぶすしかないな。



・・・・・・・・・



 適当にぶらぶらと散歩しながらキールを歩いてみようか。多分まだ10時くらいだから時間はたっぷりある。そういや兄貴のメモにあった店に行ってみるのも悪かねぇな。でもビンス亭まで戻るのも面倒だし、今日は止めとくか。

 
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