第二百三十三話 最前線にて 2
7450年9月13日
午後。
デーバス王国ラゾッド侯爵領。
ベグカーゾ砦。
ヘックスはレーンと並んで砦内に設えてあるベンチに腰を下ろしたまま、護送されて行く捕虜を見送っていた。
捕虜は数人で数珠繋ぎのように縛られているうえ、数少ない魔法の使い手は全員右腕を折られていた。
「いくらなんでも、ありゃあ多過ぎだな……」
ボヤくように呟いた言葉。
それを聞き止めたのか、レーンはキッとした表情を浮かべてヘックスを見やった。
そして、何かを訴えようと口を開きかける。
「ご主人様。その表現では聞かれたかたに誤解されても無理はないと愚考致します。ご訂正なされるか、ゲグラン閣下に謝罪なされた方が宜しいかと……」
レーンが言葉を発するよりも前に、傍に控えていたジャックが一歩進み出て跪きながら言った。
ジャックの言葉を受け、レーンは少し表情を和らげる。
ヘックスもすぐに己の失言を悟ったのか、バツの悪そうな顔になった。
得た捕虜の数が多過ぎるという言葉は、裏を返せばもっと沢山殺しておくべきだったという事と同義だからだ。
「あ……そ、その……すまん。そういうつもりじゃなかった」
謝罪の言葉を述べるヘックスに頷くと、レーンは「じゃあどういうつもりだったのか、とは聞かないでおいてあげるわ」と言って小さな微笑みを浮かべて捕虜の列に視線を戻す。
その先では、肩を落として砦を出てゆく捕虜達がいる。
全部で五八七人もいる。
彼らはこのベグカーゾ砦とこの砦の南にあるガジュール砦に詰めていたカンビット王国軍の生き残りである。
この三か月で五つもの砦を陥落させてきたヘックス達デーバス王国軍だが、自らが開発し、また使っていたのにも拘わらず「鉄砲の威力」を見くびっていた。
有効射程は平均的な出来の鉄砲と射手の組み合わせであれば、僅か五〇m弱に過ぎない(それでもクロスボウはともかくとして弓の倍はある)が、弓とは異なり直接照準が可能だ。
そして、クロスボウをも上回る弾速に加え、弾体の表面積の小ささは有効射程までであれば風や雨などの悪天候下においても殆ど影響を受けず、大抵の状況で命中率は弓や弩とは比較にならないほど高い。
何より目標が手練の場合、弓やクロスボウは発射された後で躱されたり盾で防がれたり(大道芸ならともかく、白兵戦の最中に剣などで切り落としたりして防ぐのは荒唐無稽なフィクションの中でしかあり得ない)されることもままあるが、鉄砲の弾丸は視認すらできず、そういった対応はまず無理だ。
加えて、対象が金属製の鎧など重装甲に鎧われていないという条件に限られるものの(とは言え、金属製の鎧は非常に高価なため、着用している者は少ない)、有効射程を超えても二〇〇m程度までなら命中しさえすれば大抵の場合、一発で戦闘不能に追い込む大威力を誇る。
また、たとえ有効射程外だとしても敵の集団に対して撃てば狙った目標とは別の敵に命中することも期待できるし、その確率も相手の密集度合いによって多少変わるが、今迄の訓練や戦闘から四%程度は見込んでも良いと思われた。
これは、目標まで二〇〇mの距離を開けた長弓などとは比較にならない高い命中率でもある。
練成期間も、何年もの修行が必要になる弓とは異なって僅か百射程度(長めに見ても数日もあればよい)の経験さえ積めば誰でもそれなりの射手として使い物になるという手軽さである。
要するに、彼らとしては「威力と短い練成期間」が相手にとっての脅威となるだろうと考えていた。
だが、実際には射撃時に発生する轟音と白煙、その直後に味方の誰かに戦死者が出る事が恐れられたのであった。
勿論、ヘックスやレーンなど、鉄砲をよく知る者達もその点について考えが至らなかった訳ではないが「音や光、煙にはすぐに慣れてしまう」と考えていたのである。
実際に射手を練成する過程でも、最初は轟音や閃光、立ち上る白煙に驚かれていたが、一日と経たずに全員が慣れてしまったのを目の当たりにしてしまえばそう考えるのも不思議ではない。
が、一つだけ見落としがあった。
射手には予め、鉄砲とはどういう武器であるのか説明せざるを得なかったし、撃たれる方の立場になる事もなく「不慮の事故以外は基本的に安全」な環境で射撃練習をしていただけなのだから。
なお、当たり前だが彼らの考える「威力と短い練成期間」が脅威であるという事実は間違ってはいないし、むしろそちらの方が鉄砲の真価であると言える。
とにかく、彼らは「撃たれるのは相手にとって初めての場合が多い」という事実についてあまり深く考えていなかった。
撃たれる方にしてみれば、こちらの攻撃が届かない距離から、恐ろしく命中精度の高い攻撃を放たれ、大きな射撃音や発射炎は初見だと魔術師の精神集中すら阻害することもある。
そして、今までの戦争のセオリー通りに騎兵や兵士を布陣でもさせていたのであれば、瞬間的に一割かそこらの人数が殺される。
更には、命中しなくても弾丸の風切り音は兵士達の心胆を寒からしめる。
目に見えないほどの速さで「何か」が飛んできた事くらいは分かる。
最初の一斉射くらいであれば何とかして戦意を保つことも出来ようが、二度目の斉射を喰らえばそれも困難になってしまう。
それに加え、レーンの魔術により砦から逃走する道すら絶たれてしまったかに見えるし、ダメ押しでファイヤーボールなど派手な攻撃魔術まで喰らえば戦意など跡形もなく吹き飛んでしまうのはある意味で当然であった。
こういった事もあって、ここ暫くの間で対戦したカンビット王国軍は予想外にかなりあっさりと降伏してきたのだ。
大量の捕虜はその弊害とも言えた。
尤も、捕虜は金になる(相手の捕虜を自軍に取り込んで兵にするのはこの地方では一般的ではない)ので大半のデーバス軍の兵士達には歓迎されている。
なにより、最初に行われた一戦を除いて全ての砦の攻略戦では敵兵との白兵戦などに発展する前に降伏されたのであるから、文字通り「楽して大儲け」だったのだ。
だが、指揮官や部隊長、そして転生者達などに代表される、多少でも先を見通すことが出来る者達は補給の圧迫を心配した。
彼らも新兵器である鉄砲の情報について、出来るだけ秘匿しようというアレクの思惑に賛同はするものの、多くの捕虜を長期間食わせなくてはならない事に神経質になっていた。
「順調に砦を落とせているのはいいけれど……青虎騎士団にはかなりの負担がありそうね」
「ああ。鉄砲様様というところだが、これじゃあいつかは……破綻するのは目に見えてるよな。どうするんだろ?」
「そうよね。次の目標なんか数千人の人口がある街だっていうしね」
「ああ。それだけの人口を抱えてりゃそれなりに食料の備蓄もあるだろうけれど……」
次の目標であるダールカレーの街は、三〇〇〇人程度の人口だと言われており、その奥に点在する村々を纏めるような街だ。
収集した情報によれば今までに平らげてきた砦などへの補給拠点としても活用されているという。
「……でも捕虜の数も多くなるだろうし、その大半は軍人じゃない一般の民衆だから誰も身代金は払わないだろうな」
続けて言ったヘックスの言葉にレーンは顔色を変えた。
「じゃ、じゃあどうするの? まさか……!?」
「いや、元はデーバスの国民だったのが大半だろうし殺しゃしないだろ?」
「そうよね」
レーンはホッと息を吐く。
「うん。身代金も取れないし、街の住民まで殺す意味はない……よな?」
そう言いながらヘックスは傍に立つジャックを見上げる。
「そうですね。ご主人様の仰る通りかと……しかしながら、鉄砲の情報の秘匿に拘るのであれば……」
「皆殺しもある、と言うのか? 女子供や非戦闘員が大半だろうし、殿下がそこまでするか?」
冷静な声で言うジャックにヘックスは目を丸くした。
「いえ、流石にそこまではなんとも。ですが、あくまでも情報漏洩対策に拘るのなら、という仮定のもとに申し上げただけです。いまお二人が仰られていたように、ダールカレーには確かにそれなりの物資があるでしょう。街の住民など身代金を取れそうもない人たちを処分してしまえば……」
物資を丸々奪う事も出来るし、敵性勢力の減少や情報漏洩対策にもなる。
いいこと尽くしだとでも言わんばかりであった。
絶句し、ただ顔を見合わせるレーンとヘックスから視線を外し、ジャックはアレク達が詰めている砦の建物に目をやった。
――確かに捕虜の数は当初予想の十倍を超えている。捕虜交換の申し出についても使者を追い返していると言うし……俺としても鉄砲を隠し続けたいという気持ちは解るだけになぁ……今言ったように皆殺しにする訳にも行かんだろうし、本当にどうするつもりなんだ?
建物の中では対応策が練られている筈だが、建物は静かに建っているだけだった。
・・・・・・・・・
7450年9月21日
「えっ? もう見つけたのか?」
畏まって報告するフィオを見上げ、俺は開いた口が塞がらなかった。
「はい。埋蔵量は不明ですが、おおよそ幅五〇〇mで一㎞以上の長さに渡ってこれと同じような石炭が産出しています」
フィオによると、ウィード山の西の麓の広範囲で採れるという。
まずは調査できた範囲内で採れた幾つかの石炭を持ってきたのだ。
「ステータスオープン……『石炭』か。他の者には……?」
転生者である俺やフィオにはステータスを見ても日本語の『石炭』と表記されているだけだが、ラグダリオス語だとどういう表記になるのかについては興味がある。
「はい。同行した従士によると燃石と出るとか……ヘンソン村やダモン村ではその名を知るものは居りませんでした」
ふぅむ。
燃え石……燃石ね。
まぁ、俺が知りたかったのはこいつが歴青炭なのか無煙炭(色合いから言って褐炭ではないと思う)なのかということだったのでちょっとがっかりした。
尤も、過去に北海道で見た歴青炭に似ている気もするし、割った断面が黒曜石のように輝く部分が多くないことから歴青炭だとは思うのだが……イマイチ自信が持てない。
まぁいいや。
どちらだろうが、こいつを蒸し焼きにすればコークスになるしコールタールも採れるはずだ。
「ご苦労だった。だが、採掘可能な場所の調査は継続してくれ」
「ええ」
フィオとしても一時的な報告に来ただけだからすぐに了承してくれた。
しかし……石炭が採れるならあの辺りに集落を作るべきだろうか?
どうも露天掘りが出来るみたいだしなぁ。
現在、鉄道の線路はべグリッツからウィードまでと、ベグリッツからハッシュまでが結ばれている。
今はベグリッツ-ゾンディール間とミード-ゾルゲー間が開通寸前で、ハロス-クドムナ-ラークス-ラッド-ガルヘ-ベージュ-ミドーラ-バーリ-ウィードを結ぶ環状線の工事に着手したところだ。
こりゃあ、環状線の方から二組くらい工事グループを引き抜いてハロス-ヘンソン間の開通を目指すのが先だな。
石炭の輸送にも必要だし、併せて焼玉エンジンについても完成を目指さないと。
ん? 蒸気機関? うーん、石炭だしね。そう言われてしまうのも無理はないと思う。
けれども、俺、蒸気機関の原理こそは知ってるが、恐らくその知識量は普通の人と大差ない。
つまり、機関の設計が出来るほど蒸気機関について詳しくはないんだ。
何しろ中身なんか一度だって見たこともないし、当然ながら分解整備をした経験もない。
従って、相当に詳しい転生者でもいない限り、蒸気機関については当分お預けにせざるを得ないと思う。
いやだって、焼玉エンジンは単純な構造だし、部品点数も少ない。
ぶっちゃけた話、構成部品の数はともかく、種類は64式小銃の方が圧倒的に多いと思う。
数にしてもネジ類を除けば言わずもがな、だ。
でも、蒸気機関はそうは行かないだろう。
現代地球の最新の軍艦も燃料が石炭ではないというだけでほぼ蒸気機関で動いている。勿論民間に目を向ければ石炭船だって現役のものは多いから船舶の設計技師や、発電所関係者(原子力も火力も、結局はお湯を沸かしてその蒸気の力でタービンを回して発電しているんだから、これも燃料違いの蒸気機関である。なお、石炭による火力発電もまだまだ一般的だ)でも居ればいいんだけど、そう簡単に都合の良い人に出会える訳もなし。
ああ勿論、いずれは発電をしたいと思っているからいつかは蒸気機関の開発についても取り組まねばならないとは思っているさ。
だけど、流石にそれはかなり先の話になりそうだし、失敗に伴う試行錯誤も多くなるだろうから、ね。
さて、そろそろ俺も体を動かしてこよう。
今日は騎兵を交えた模擬戦が予定されていたし、騎乗戦を苦手とする俺も参加すべきだろう。
・・・・・・・・・
7450年9月22日
カンビット王国の南にある街、ダールカレー。
いや、既にデーバス王国の旧ファルラック侯爵領と言った方が適切だろうか。
何しろ、ダールカレーの街は今にも陥落しそうな感じであり、街に立つ軍人の大半はデーバス王国軍が占めているのだから。
「街なかの掃討はほぼ終わりました。あとはキルグン城を残すのみです」
「うむ」
ダンテス五百人長の報告にアレクは頷いて返事をした。
彼らデーバス軍がこのダールカレーの街に攻め寄せたのが昨日の午後。
戦闘要員ばかり一〇〇〇名程の軍勢で攻撃を仕掛けた。
対して街の手前に布陣しそれを迎え討つ形を採ったカンビット軍も戦闘要員で九〇〇名程とデーバス軍とほぼ同数だった。
お互いの数に大きな差がないのであれば守勢の方が有利なのは自明の理である。
まして、精鋭で構成されていると思われるデーバス軍の侵攻についてはかなり前から報告を受けていたので、カンビット軍は自陣の前に多量の杭を打ち込んで馬防柵の代替となる防御施設を築いていた。
鉄砲についての情報も齎されていたが、何らかの攻撃魔術を放つことが出来る魔道具であろうと予想され、数についても貴重な筈の魔道具が山のように戦場に投入されるという事は考え辛いためにそう多くはないだろうと考えられていた。
デーバス軍を指揮するアレクは、カンビット軍の布陣とその手前の地面に打ち込まれた多量の杭を見て取るときっぱりと騎馬による突撃戦法は捨てた。
それと同時に鉄砲の秘匿についてもここが限界であると悟った。
カンビット軍は街の市街地ギリギリの場所に布陣しており、いかなレーンと言えどもカンビット軍だけを隔離するような壁を作り出すことは難しいと思われたし、無理に壁を作らせたとしてもそれなりの時間が掛かるであろうことは火を見るより明らかであったからだ。
また当然、彼にしても戦闘の目撃者となるであろう街の住人を全員殺すなど、倫理的な面は別にしても物理的に不可能であると思われたので無駄な努力をする必要はないと考えた事もある。
従って、弓の射程外、相手から約一〇〇m程の距離に鉄砲を装備した歩兵を並べ、一斉に射撃をさせた。
そして更に一斉射。
鉄砲による戦死者は大した数ではなかった(それでも一斉射あたり二桁に達する死傷者が出た)ものの、轟音を恐れて勝手に陣を離れて逃げ出そうとする兵士やそれを止めようとする指揮官などが発する怒号などが入り乱れ、カンビット軍は大混乱に陥った。
当然ながらそうそう命中など見込めない事を承知で、弓などでの反撃を選択した者もいたし、槍を構えて突撃してきた部隊もあった。
しかし、弓は大きなタワーシールドを構えた盾兵に防がれ、刀槍での突撃に対しては引き付けての狙い撃ちが功を奏した。
バタバタと倒れ伏す味方を目にした者は一層の怯えを見せ後退を始め、いきなり隣の戦友の顔面が弾けたのを目の当たりにした者は悲鳴を上げて腰を抜かした。
かくして、あっという間にカンビット軍はダールカレーの市街に逃げ込み、気の利いた者は街の中心部にあるキルグンと名付けられた小規模な城に籠もったのである。
それに対し、アレクは鉄砲歩兵二人に槍兵を五人、その他弓兵などを三人という十人一組の編成を五〇組作り、市街各所に隠れたであろう敵兵の掃討を開始した。
そして、自らは鉄砲三〇丁を擁した五〇〇人の本隊を指揮してキルグン城まで迫ったのである。
流石に市街での掃討戦ともなれば、戦死者は今まで以上に出る事は致し方ない。
そればかりか、虎の子の鉄砲も何丁かは鹵獲されてしまうだろう。
それらについては覚悟の上だった。
「レーン。あまり多くを殺したくない。だから一発で降参するような奴を頼む」
言われた者が好みそうな言い回しでアレクは宮廷魔導師に命じた。
「……分かったわ。ヘックス、ジャック。頼むわね。それから皆さんも、宜しくお願いします」
レーンは付き従っていた護衛の二人のほか、手練の盾兵に声を掛けると城門に向かって右掌を向け精神集中を始めた。
少し遅れて城壁の上からレーンに向かって多くの矢が放たれたが、大半はヘックスやジャックが構えるカイトシールドや盾兵のタワーシールドに阻まれ、彼女の視界と掌の先を塞がないよう特別に変形させた魔術師防護用の盾まで到達したものは一本もなかった。
デーバス王国の転生者達が開発した鉄砲のMOA値(集弾率)は25くらいを想定しています(数字が小さいほど偉い)。
MOAはミニット・オブ・アングルの略で角度の単位ですが、銃器の性能指標でこの言葉を使う際には、100ヤード離れた場所に向かって射撃した時、約1インチ(正確には1.047インチ=26.5938mm)以内の円に集弾した場合を1MOAと言います。
計測時は射手の力量が反映されないよう、完全に銃を固定したベンチレストで、気候の影響も受けないように屋内射撃場などで行われます。
そして、100ヤード先に向けて複数発発射し、一番遠い着弾点ものどうしの距離を計測します。
(標的を定める必要はありませんし、当然標的への命中も関係ありません。着弾範囲の調査なので)
発射数が多いほど正確な計測が可能となりますが、普通は10発程度です。
25MOAの集弾率は
10m 74mm
25m 184mm
50m 369mm
100yd(90m) 665mm ←基準
100m 738mm
150m 1108mm
200m 1477mm
500m 3691mm
で、正直言って狙って当てられるのは、かなり甘く見て50m弱(目標の腹の幅を40cm弱と仮定して)がいいところでしょう。
(第三部第二百二十四話 轟く銃声 でアレクの歩兵部隊が100m程度の狙撃を行っていますが、20名程度で一人を狙い、命中が5発というのも、MOAを考えれば結構な精度です。あの歩兵部隊は選抜射手で構成されているという設定なので)
なお、面倒くさくなったのでここでは1ydを90cmにしています。
因みに、現代の大抵の突撃銃(単発射撃時)は使用弾薬にもよりますが、だいたい2MOAくらい(上の表の1/10以下の着弾範囲。500m離れてもまぁ狙える。但し500mもの距離だと流石に風や重力、気温、湿度の影響はそれなりにある)です。
有名なAK-47は命中精度が悪く、5~8MOAくらいだと言われています。
精度を要求される狙撃銃は0.5MOAくらいが普通で1MOAとかになっちゃうと狙撃銃として使うにはギリギリ許されるか?という感じです。
(米陸軍の狙撃銃の最低基準が1MOAでFBIの最低が0.5MOAです)
従って0.4とか0.3とかの優秀な物を選別します(ボルトアクションの狙撃銃だけでなく、自衛隊の64式小銃でもこういう数値を叩き出す個体はあります。64式狙撃銃になるとは限りませんが)。
なお、猟銃などのボルトアクションライフルで1MOAくらい、セミオートライフルで1.5MOAくらいです。
あとは、自動拳銃で7くらい、リボルバー拳銃で5くらい、スラッグ弾(一粒弾)使用の散弾銃で9か10くらいですかね?
勿論、個体差もあるので上記はあくまでも大体の目安程度にお考えください。
また、参考までに、クロスボウや弓のMOA値も計算しようとしましたが無理でした。
なぜならどれも直射距離が100ヤードもないからです。
水平(か殆ど水平)に放って最低100ヤード飛ばないとだめです。
100ヤードの距離となると、クロスボウならギリギリ直射可能です(それでもある程度は斜め上方に放つ必要がある)が、弓は直射はできず、斜め上方に放つことになるからです。
無理やり当て嵌めるなら、かなり大雑把になりますが、平均的なクロスボウ(80cm程度。弓部分がイチイと牛の角製)で平均的なボルトを使用した場合57MOA、ロングボウ(イチイ製、170cm程度)で1000MOA、ショートボウ(イチイ製、100cm程度)で2300MOAくらいかなという感じです。
この場合、クロスボウの矢は最大高8m程度の山なりに、ロングボウとショートボウの矢はかなりの高角度で「落ちて来る」感じになります。
アルが作ったセミオートライフル? おそらくは平均的な1.5くらいかと。




