第二百二十六話 大いなる誤解
7450年6月19日
ゲルマニウムを使ったトランジスタの試作品が完成した。
当然だが手作りなので、転生前の日本で製造されていたような物とは比較するのも烏滸がましいほどの低性能だと思われる。
ついでに、トランジスタ自体を樹脂などの絶縁体で覆っていないので、最高に上手く出来ていたと仮定しても、寿命はいいとこ半年もあれば御の字だろう。
これらについては、もう少し制作に慣れたらエボナイトなんかを使ってパッケージングしてやるのもいいだろう。
何もしないよりは寿命も伸びるだろうし。
なお、動作確認は細い針金状にした銅線を巻いたコイルで作った電磁石が動作するかどうかで確かめている。
余談だが、俺の知る限り、オースでは未だ磁鉄鉱の類は発見されていない。
だが、磁石で方位を測る事も出来るから、この星に地磁気が存在する事は知っていた。
磁北と実際の北との偏角は地球より少し大きいようで、磁石で方位を測ると五度くらいずれる(正確な魔道具の時計があり、時計の文字盤を書ける転生者なら日中において南北方向を知ることは可能だし、実際の方位の測定も似たような方法で行われている。○時ぴったりにこの方向を太陽に向けると東西南北が分かる、というような測定板が売られている。A4くらいの板に午前六時くらいから午後六時くらいまで対応するような方位図が幾つも書かれているものだ)ので地磁気極と磁極は地球同様に極地以外のどこかなんだろう。
おまけに言うと、迷宮の中では何故か磁石の示す方向が安定せずどこを向くかわからないのでラルファの固有技能に頼るしかなかったんだけどね。
因みに、上述したコイルの中心に鉄の棒(針みたいなもので充分だ)なんかを入れて、ライトニングボルトなどの電流を発生させるような魔術を連続して掛けながら鉄の棒をコイル内で出し入れするように動かし続けると当たり前のように磁性を帯びさせる事が出来る。
だが、赤熱化する程熱した針を北向きに置いてぶっ叩いてもそう簡単に分かるほどの磁性を帯びさせることは難しいので、地磁気の強さは地球よりもずうっと微弱なのだと思われた。
地磁気もあるし、雷も落ちる。
そして、極稀に隕石なんかが落ちてくる事も記録がある以上、ただ発見されていないだけでどこかには磁鉄鉱に類する鉱物は存在するだろう事も予想がついているのだが、人の目に付く場所では発見されていないのだからどうしようもない。
なんにしても、トランジスタとダイオードが作れたので、本格的な無線機の開発に着手することにした。
ん?
電源?
亜鉛と銅と硫酸でバッテリーを作ってもいいし、極論を言えば動作確認に使ったライデン瓶でもいいからそっちは問題ない。
送信機はともかく、受信機程度ならレモン電池だって充分かもしれないし。
一石ラジオなら生体電流や送信電波を電源にしても聞けるから流石にフルーツ電池はいらないか。
なんたって果物は高級品だし。
……電池と言えば、マンガン鉱どっかにねぇかな?
俺の領地からは軟マンガンは疎か菱マンガンも出ないんだよな。
まぁ、一般的なガラスの透明度は低いし、緑色だし、用途が知られてないであろう分、二酸化マンガンは二束三文だと思うんだ。
・・・・・・・・・
王都ロンベルティア。
ベイル通りと呼ばれる目抜き通りにある商店の前に小さな人だかりがあった。
「いやあ~。そりゃあもう無理じゃないですか?」
商店内の応接セットに腰を下ろしたサージは、そう言って肩を竦めた。
「……やはりそう思うか」
悄然としたフィオが肩を落として項垂れた。
教会の残党を追ってここまで来た彼らだが、残党についてはとっくに見失っており、一縷の望みを掛けて先回りでも出来たら儲けもの、と王都へと急いだのだ。
勿論、残党達がロンベルティアに向かっているかどうかは神のみぞ知る事であるが、再起を図るのであれば人口の多いロンベルティアがうってつけであろうと考えたからだ。
「だって、仮にですが、もし本当にステータスを書き換えられるのであればそう簡単には足取りを追えないでしょう? 現にドランよりも大分手前で見失ってんでしょ?」
サージは奇跡のような可能性に賭けるのは愚かだと、アルの叱責を覚悟してさっさとべグリッツに戻るべきだと言った。
第三者であるサージに言われ、フィオは頷くことしか出来ない。
――奴らが逃げ出す一月も前から潜入していたにもかかわらず、何の功績も立てられてないとはな……。ロリックも失望するだろうか?
フィオの立場としては、これ以上、時間と費用を無駄にする訳には行かない。
ここまでで追跡を打ち切ることにした。
――今更ながら思い返してみれば、あの時会った彼らが教会の一味だったのかもな……。
ペンライド子爵領から天領に入って二日目か三日目あたりで、フィオ達は五人組の男女と出会った。
彼らは普人族の女性准爵に率いられた一行で、ドランに住む親戚まで行く所だと言っていた。
フィオも含めて全員が初対面で、且つステータスにも不審な点は見当たらなかったし、ドランまでの道中が不安であるから同行させて欲しいとまで言われたため、教会の一行ではなかろうと判断したのだ。
とは言え、ステータスの書き換えが出来る可能性を慮り、念の為に部隊から七人を割いて護衛として付けることにした。
彼らを率いる先任の兵士には「少しでもコースを外れる素振りがあれば問答無用で捕縛しろ」と命じておくことも忘れていない。
そして、先を急ぐフィオ達は兵隊の脚力に物を言わせて彼らを置いてドランへと急いだ。
そして、ドランに到着し、主だった宿などに対して聞き込み捜査をして二日ばかり過ごしていたところで、遅れて到着した部下たちと合流した。
准爵の一行は親戚だと言っていたドランの役人をしている士爵の邸宅に堂々と入って行ったばかりか、屋敷の下働きをしていた者にも抱きつかれるようにして歓迎されていたのを確認したと報告を受けた。
その時は「考え過ぎだったか」と苦笑し、ドランを発ったのだ。
だが、歓迎を受けていた際にステータスまで確認されていただろうか?
普通はそんなことはしない。
まして顔見知りであれば尚更だ。
報告では、一行からも屋敷の者からもメイ様と呼ばれていたというが、メイというのは本名でも愛称でもおかしくはない。
愛称や短縮形だと色々な名が考えられる。
同じ愛称になるように名を変えた可能性もある。
――唯一の手掛かりだ。帰り道にもう一度ドランに寄ろう。
大胆にも追っ手と一緒にドランまで同行したのだろうか?
それも自ら頭を下げて頼んでまで?
彼らがドランに到着するまでの間に残りの大悟者を始めとする者達が囚われていれば、ほぼ確実に正体は露見し、捕縛されてしまうだろう。
常識的に考えれば非常に危険度の高い、そんなことを自ら申し出る逃亡者など居る訳がない。
しかし、もうこれしか手掛かりはないのだ。
・・・・・・・・・
キンルゥ山の地中、巨大なトンネルを国土とするライル王国。
そのたった一つの都であるエルレヘイにある行政府の会議室では活発に意見が交換されていた。
「引き受けるべきです。チズマグロル一位戦士が妊娠したとて、ダークエルフが生まれるとは限りませぬ。いや、勿論私もその方が嬉しいですが、事はそう単純ではありませんし、そもそも可能性は低いでしょう」
「そうだ。生まれた子を後継者とするかはまた別の話。だが、後継者候補がその子しかおらねば選択の余地はない」
「うむ。デーバスが掴んだ情報だとグリード伯爵はロンベルトの庶子にご執心だという。そしてその庶子はヒュームだ。結婚すればすぐに子供ができよう」
元老達の間で、デーバス王国からの依頼を受けるべきか、受けるにしても金額をどうするのかの話し合いが行われている。
尤も、話し合いと言っても現時点では依頼については受ける、という方向のようだ。
「お待ち下さい」
外務総監であるザグロッチ元老が口を挟んだ。
「皆様が御存知の通り、私はつい先日西ダートまで出向いて参りました。その際にグリード伯爵ともチズマグロル一位戦士とも直接顔を合わせて会話しております。その際に受けた印象では夫婦仲は良いと感じました」
ザグロッチ元老は全員の注目を集めた事を確認し、続ける。
「当然、伯爵がロンベルトの庶子を娶れば、近い将来に於いて子も生まれましょう。ですが、あの伯爵は心からチズマグロルを大事に思っているように感じました。そこからは、彼らの間に第一子が出来れば当然のように後継者として育てるであろうという空気が感じられました。彼らが納得している婚姻であれば……」
ザグロッチはそこで息を継ぐと、全員の顔を見回す。
「我が国が手を出した事が露見した場合、どう思われるでしょう?」
その言葉を聞いて、大部分の元老達は言葉を詰まらせた。
「ふむ……そなたはこの依頼、引き受けるのは反対か」
元老の最長老であるメルリックスが言うと、ザグロッチはゆっくりと頷くことで返答する。
「だが、それは擬態ではないか? わざわざ外国の元老相手に本音を表すような者などいまい」
「そうだ。それに伯爵は領土を持っている。今、チズマグロル一位戦士が妊娠していたとて、子は幾らでも欲しいだろう」
「ああ。地上の国々は多夫多妻制などという、低俗且つ野蛮な風習であるしな」
「それに、ザグロッチ殿もカンビットとの件、忘れた訳ではあるまい?」
カンビットとの件とは、五〇年ほど前の出来事である。
当時、獲得階級の護衛としてカンビット王国に出向いたある戦士がいた。
その戦士は女性でダークエルフ達の間でも大層な美人として名が通っていた。
カンビット王国のある上級貴族のエルフが彼女を見初め、どうしても娶りたいと申し出てきた程の美貌だ。
ライル王国は自国民と他国民との婚姻について制限していない。
尤も、人口を増やし、国力を上げたがっているから好まれるという事でもない。
だが、国母であるリルス陛下は愛し合う二人を国の都合で引き裂くことだけは罷りならんと定めているため、内心はともかくとして表立って反対することは憚られている。
それを受け、婚姻による出国もそれまでに知り得た国家の秘密(例えば菌類の栽培法や戦士階級の育成法など)を守るという誓いさえ立てれば(それも形式的なものに過ぎない)自由である。
とにかく、彼女は出国し、そのカンビット貴族に嫁いだ。
結婚当初こそ仲睦じく過ごしていたらしいし、元々エルフとは近縁種なので暫くしたら子供も生まれた。
勿論、子供の肌は父親の形質が受け継がれ、ちっとも黒くはなかった。
おまけに、その上級貴族領との取引でも多少の色が付き始めた。
貴族はその子をたいそう可愛がり、長子であった事もあって後継者となると思われていた。
しかし、数年後に貴族は国内から第二夫人を娶ってしまう。
それ自体は地上の国々でよくある話なので、当時は誰一人として気にした者はいなかった。
だが、その第二夫人に子が生まれると、貴族の興味はすっかりその第二子へと向いてしまい、第一子と第一夫人は遠ざけられてしまう。
あげく、その貴族の跡を継いだのは第二子の方だったのである。
この出来事にライル王国の臣民は揃って憤慨したが、どうしようもなかった。
一つは、第一夫人となった元戦士も、故郷の者達に不満を零すことはなかったということ。
そしてもう一つは、その貴族領とは古くから付き合いがあり、食肉など大量の食料の輸入先でもあったからだ。第一夫人が貴族の寵愛を失った後も、取引は不正一つないばかりか、ライル王国にとって多少有利なまま続けられていた事も大きい。
従って、事は単に一人の女が愛を失っただけであり、夫の方はそれでも妻の出身国に対して誠実に付き合っていたと見なされた。
それでもライルの臣民としては納得し難いところではあったが、受け入れざるを得ない。
因みに第一夫人との間に生まれた第一子はスイーサーグ帝国との戦役で戦死し、その報を聞いた第一夫人は自ら命を断っている。
そういった事から、他種族との婚姻はあまり良い目で見られることはない。
ミヅチとアルの婚姻も、ミヅチがリルス陛下の特殊任務を受けており、その一環でもあると吹聴したために誰も反対出来なかったという理由の方が大きい。
アルがロンベルトの上級貴族としてそこそこ上手に領地を経営出来ている事などから、流石は女王陛下であると納得している向きも多いくらいだ。
だが、カンビットとの件について忘れた者はいない。
こういった事もあったと、連綿と語り継がれてきたのだ。
ザグロッチ元老も当然知っている。
「……それは……そうですが、グリード伯爵は例のカンビット貴族ではありませぬ。どちらかと言うと子ができたことについて素直に嬉しがってはしゃいでいたように……」
言葉に詰まったものの、ザグロッチはアル達から受けた印象を話した。
「第一子ならそうであろう。例のカンビット貴族もそうであった」
「うむ。心変わりしないとは言えぬな」
「チズマグロル一位戦士も伯爵が第二夫人を娶る事について外面はどうあれ、内心ではどう考えているかなぞ予測がつく」
「ああ、我が国は一夫一婦制。心の底では嫌がっておるだろう」
それらの言葉を聞いて、ザグロッチは残念そうな顔になるが、反論すべく口を開いた。
「チズマグロル一位戦士は陛下の特殊任務を帯びています。伯爵との間の雰囲気ではそう感じませんでしたが、そもそも伯爵に対して愛情など無いかも知れません。その場合、伯爵が第二夫人を娶る事に問題を感じていないやも……」
そこまで口にしたものの、ザグロッチは「いや、私が言いたいのはこんな事ではない」と思い、尻すぼみに声が小さくなる。
「それよ。その陛下の特殊任務だ。チズマグロル一位戦士は陛下から禁じられておる故、任務内容を口にはしておらなんだが、私が思うに、王道楽土建設計画に連なるものであると考える」
「うむ。ヨーレットが食料研究に赴いているのもそれであるしな」
「私もそう考えておりました。第一子が成人し、正式に後継者としての地位を固めた後であるならいざしらず、今の段階で同種族の第二夫人など害以外の何者でもないではないですか」
「それに、ザグロッチ殿。手を下すのは我らではない。デーバスだ」
「確かに。百名に満たぬ地上人の輿入れ行列などしっかりと時と場所を選べば全滅も容易い。我が国の戦士達が指導すれば一切の証拠など残さぬ」
「万が一デーバスの者共が失敗したとて、戦士達に監視をさせておけばよいではないか」
「陛下のご計画を円満に進められるよう、環境を整えるのも我ら元老の義務」
「そうですね。むしろここで手出しをせずに、指を咥えているだけで静観してしまえば……」
「ああ。これも我らへの陛下のお試しかも知れん。いや、そうであろう」
こうしてザグロッチの反論は「女王陛下が進める計画」の名の下に封殺されようとしている。
――いや、それなら伯爵か、最低でもチズマグロルには伝え、意見を聞くべきであろう。
ザグロッチは意見を述べるべく、ゆっくりと立ち上がり、元老達に視線を送った。
・・・・・・・・・
7450年6月20日
王都から引っ張ってきた鎧職人のウィンストン・カーリムが行政府に顔を出してきた。
バルドゥックの地下迷宮で倒したロンガルザムリュゾルファレンの鱗から作っている鎧の採寸はちょこちょこと続いており、つい先日も採寸されたばかりなので何の用だろうと思ったが、要件はブルードラゴンから引っ剥がした鱗の方だった。
「閣下、こちらを御覧ください」
カーリムが差し出した真っ青な鱗を手にする。
ステータスを見ても鑑定してみても特に変わったところはない。
不思議に思って尋ねてみると、どうやらブルードラゴンの鱗の方は、採取元のドラゴンが若い(?)からか、予想外に早く処理が終わりそうだということと、丈夫さや硬さではシャドウドラゴンに劣るが、その分柔軟性に優れている事が判明したという。
だから何だ、とは思うが彼の話にはまだ続きがあった。
「腕や足の内側や裏側など柔軟性が求められる部分に、この青い鱗を使ってみたら如何かと思いまして……」
ああなるほど、そういう事か。
「いいんじゃないか? そなたがそうした方が良いと考えるなら私に反対はない」
鎧の工賃は少しばかり上がり、納期もちょっと遅れる(秋くらいになってしまうそうだ)らしいが、工賃は元々二〇〇〇万Zくらいと言われていたし、数百万上がる程度、別にどうでもいい。
そして、納期についても今か今かと待ち望んでいた、という程でもないからそっちも気が済むまで作り込んでくれってなもんだ。
どうせ作るなら少しでも品質が高くなる方がいいしね。
「あと、その……大変申し上げにくいのですが……」
「ん?」
カーリムは非常に恐縮した様子で話し始めた。
「その青い鱗ですが、どうやっても染められないのです」
「ふん?」
まぁ、若いとは言えドラゴンの鱗だしな。
そういうこともあるだろうさ。
「ありとあらゆる染料を試してみましたがだめでした。勿論黒い鱗の方は言うまでもございません」
ちょっと首を捻る。
だから何だというのだろうか?
っつーか、シャドウドラゴンの鱗が染められないというのはバルドゥックにいた頃から聞いているし。
「えー、そうなるとですね。鎧に仕立てても黒と青になってしまうのですが……」
「なんだ。そんな事か。染められぬのであれば仕方がないではないか。デザインが大きく変わるのであればまだしも、色に拘りはないから好きに致せ」
そう言ってやるとあからさまに安心した様子で息を吐いている。
まぁ、本音では俺に似合う色は、昔バークッドを出るときにお袋から贈られた鎧下の色、汚れ一つない純白だと思っている。
黒とか、遠目だとゴム鎧みたいだし、領土持ちの大貴族のくせに金がなくて、又は金を惜しんでそれしか買えなかったように見られかねないから本当は嫌だった。
何より騎士団長も兼任しているのに目立ちにくいし。
あ、でも黒と青のツートンカラーはともかく、斑になるのは流石に見栄えが良くないからそこだけは考慮して欲しいな。
一応それだけ伝えるとカーリムは「勿論です」と了承して帰っていった。
しかし、全身が完全なドラゴンスケイルか。
今までの計画では、腿の裏とか腕の内側とかは未処理の小さな鱗を使い、極力鎧の下地となる革が見えにくいようにするという方針だった。
きちんと処理をした鱗の使用部位は全身の六割を覆う程度だろうと言われていたのだ。
それが処理済みの鱗で全身を覆えるのであればツートンカラーなど何程の事でもない。
因みに、処理済みの鱗だが、通常の道具では穴一つ碌に開けられないと言われていたので、アダマンタイト製の工具を作って支給している。
それでもワイヴァーンの鱗より加工が大変だという。
うーん、ドラゴンの鱗も加工済みの物を鉄砲で撃ってみるかな?
ま、興味はあるが今である必要はない。気が向いたらね。
さて、仕事仕事……。
「ハリタイドをこれに」
執務室の扉を護っている警護の騎士団員に言うと、彼はすぐにジャバを呼びに行った。
今年の秋には本当に重要な決済以外の大部分を他の人間に割り振るため、最近では連日誰かを呼んで仕込みながら仕事をしている。
ミヅチの方も秋が終われば完全に産休に入るので、今では彼女専用の執務室が出来ており(俺の執務室ではもう手狭になってしまったのだ)、彼女もそこで誰かを呼んでは朝から晩まで仕込んでいる。
何もかも順調に、今日も平和な時が流れている。




