第二百四十四話 The Un-Dead 7
7447年7月15日
自分が望んだ訳でもないだろうが、人であることを止め、アンデッドに成り下がった奴の言う事など本気で耳を傾けるつもりはない。まして今は戦闘中だ。
無言で銃剣を構え、ヴィルハイマーと正対する。
ヴァンパイアロードが体力を回復している今のうちにこいつを何とかしないとまずい。
俺の額からストーンボルトミサイルが放たれたのが戦闘開始の狼煙となった。
ストーンボルトを操りつつヴィルハイマーに向けて突進する。
「ふしゃぁぁぁッ!」
ヴィルハイマーは息を吐き出すような気合とともに手にしている小楯で俺の石矢を上手に受け止める。
その隙を狙って銃剣で突きを放ち、長剣で払われ、それを見越してもう一本のストーンボルトを脇腹の鎧の隙間に命中させる。
「ぐっ……」
一瞬、息を詰まらせたように動きの鈍るヴィルハイマー。
しかし、息を詰まらせたようにしたのはヴィルハイマーのフェイントだった。
こいつ、脇腹にわざと隙を作りやがった!
返す刀で即座に俺に斬りつけてくる。
銃剣を回転させて銃床でロングソードを払い上げ、落ち着いて距離を取る俺。
アンデッドは呼吸しないからな。
俺だってここまではお見通しだったさ。
しかし、今のでよく解った。
元々ヴィルハイマーの白兵戦での強さは俺より低い。と、思っている。
だが、ヴァンパイア化か眷属化したことでパワーアップし、少なくとも俺と同等くらいにはなっているようだ。
反応速度や斬り込みの速度が段違いで強化されている。
ひょっとしたら四層の奴よりも上かも……。
裸になったらあいつ以上に軽い身のこなしでもして来そうな感じも受ける。
重厚な鎧に身を固め、剣を使ってくれている方がまだマシってか?
「グリ~ドォ~。痛ぇじゃねぇか。生身でそこまでやるとは大したもんだぜぇ……なぁ、考え直せよォ」
余裕だね……。
四m程先で余裕の笑みを浮かべたヴィルハイマーがうそぶく。
こっちはヴァンパイアロードがいつ戦線に復帰して来るか気が気じゃないってのによ。
俺のMPはあと四千以上は残っている。
正確には鑑定しないと判らないが、そんなもんだ。
恐らくこいつもMPが増えているだろうが俺にしてみれば知れてるし、さっきアンチマジックフィールドを使っていたから結構減ってるだろ。
【ロベルト・ヴィルハイマー/24/2/7404】
【男性/19/3/7403・精人族・ヴィルハイマー家四男】
【状態:ヴァンパイア】
【年齢:44歳(0歳)】
【レベル:20】
【HP:175+6(210) MP:7+16(70)】
【筋力:38(19)】
【俊敏:50(25)】
【器用:48(24)】
【耐久:42(21)】
【特殊技能:赤外線視力】
【特殊技能:吸血】
【特殊技能:麻痺】
【特殊技能:石化】
【特殊技能:精力吸収】
【特殊技能:霧化】
【特殊技能:蝙蝠化】
【特殊技能:地魔法(Lv.6)】
【特殊技能:水魔法(Lv.6)】
【特殊技能:火魔法(Lv.6)】
【特殊技能:風魔法(Lv.5)】
【特殊技能:無魔法(Lv.6)】
そんなところか。
ヴァンパイアロードは一足飛びにヴァンパイアにする事が出来るって訳ね。
とにかく、完全にヴァンパイアの体に慣れていないうちに勝負を決めさせて貰うとしよう。
さっきは何とかなったみたいだが、もう簡単には行かせねぇぞ!
左後方に風魔法を使用。
斜め前にすっ飛びながら、発射角度を調整しつつ攻撃魔術を使う。
火炎討伐!
今度はちょっと多くMPを込めてやった。中心になっている小型火球の左右だけじゃなく、上下にも同様のファイアーボールがある。
それだけじゃない。速度も大幅に向上させた。
それが四角錐のように僅かづつ広がりながらヴィルハイマーを目掛けて飛んで行く。
避けたら回復に夢中の親玉に当たるぜ!?
「グッ!」
流石にヴィルハイマーは焦りの表情を浮かべてその場を動けないでいる。
そして、もう慣れたと言わんばかりの速度でアンチマジックフィールドでも使おうと歯を食いしばっているのが判る。
だが、間に合わなかったようだ。
そりゃあそうだろ。
最初は二十秒くらい。次は僅か二、三秒でアンチジックフィールドの精神集中を終えたとは言え、今回は魔術の飛翔速度を倍くらいにしてやったのだ。
ついでに奴との距離は二m強という至近距離だ。
五発のファイアーボールはことごとくヴィルハイマーに命中した。
やはり避けたり弾こうとはしなかったか……。
何かを守りながら戦うってのは難しいもんだ。
精神的な物であれば大きな力になってくれる事もあるだろうが、物理的な物だとな……。
「ぐあおぉぉッ!!」
あんまりな断末魔を残してヴィルハイマーは崩れるように両膝を突き、地に伏した。
超一流と謳われた緑色団のリーダーも碌にその力を発揮することも出来ず、惨めに死んだ。
俺は僅かに顔を顰めると、奥に居るヴァンパイアロードを睨む。
ヴァンパイアロードと視線が交錯した。
「人の家に土足で踏み込み、あまつさえ召使いを殺傷するとはいい度胸だな、小僧」
仰る通り過ぎて答える言葉を持たない。
だが、代わりに俺の奴隷たちが返事をしてくれた。
「弱ってるぞ、油断するなっ!」
「こっちに追い込めっ!」
「メック! 今だっ!」
「ルビー、どいてっ!」
絶賛タコ殴り中らしい。
なお、相手はヴァンパイアでは無いようで、唸り声や吠え声、たまに「キャイン!」という声がしているから番犬だったんだろう。
既に結構なダメージも与えているようだし、あっちは放っておいても問題あるまい。
さて、確認しなきゃな。
こっちの素性については明かしたって構わん。
どうせ殺さなきゃならんし。
ヴァンパイアロードはボロい服を着て傷んで指先の見えているブーツを履いている。
ブーツの材質はよく判らないが何かの革だろう。
髪はボサボサになって肩辺りまで伸びており、髪と同色の灰色をした髭がシワだらけの肌にうっすらと生えている。
『爺さん、あんたの名前は?』
目の前のヴァンパイアロードは俺の日本語を聞いてもピクリとも反応しなかった。
俺より千五百年くらい前の生まれのようだし、現代の日本語が通じないんかね?
それとも、ひょっとして外国人だったのかね?
日本人っぽいところは無いし。
シワだらけの老人になっちゃってるから良く解んねぇけど。
『衰老、這個名字?』
解らんか。
まぁ、東洋っぽくないし、瞳は緑っぽいし、仕方ない。
『Старик, это ваше имя?」
ダメか。
『Hey dotage, what's your name?』
念のため英語でも訊いてみるがやはりなんの反応もない。まぁ、この中でラグダリオス語と共通なのは最初と最後だけで、意味が通じるのは最後だけだろうし。
「……田舎者が。どこの方言だ」
ヴァンパイアロードが答える。
日本語、中国語、露語、英語が通じないと俺はお手上げだ。
「……名前聞いてんだよ、名前」
どの程度回復しているか【鑑定】で確認しながら尋ねる。
【HP:0+1245(498) MP:269+50(558)】
結構戻っちまった。
なんだかんだで三人始末するのに手間を取り過ぎた。
「人に名を尋ねるのであればまず己の名を言うのが先だ」
ごもっとも。
「アレイン・グリード、川崎武雄だ」
「長い名だな……我の名はデイオークだ」
「そっちじゃねぇ。前の名を訊いてる。生まれ変わる前の名をな。固有技能持ちさん。どこの国だ?」
初めてヴァンパイアロードに驚きのような表情が生まれた。
「ほう? 汝は何故それを……? グリードカワサ……と言ったな、どうだ? 転生を知ってるなら我に仕えんか? さすれば永遠の命をくれてやろう」
「はっ、アンデッドになってか? ご免こうむるね」
あ、不定命の方かも知れんが、そっちも遠慮しとく。
用心しつつ銃剣を構える。
「む……ツェールか……いや、象っただけか」
木銃を見たヴァンパイアロードの顔が一瞬だけ用心深そうな感じに変わったが、すぐに平静を取り戻した。
「ふん、偽のツェールなど……」
そう言うとすぐ脇の机の表面(!)に左手を突っ込んで何かを取り出し、俺に向ける。
あ、あれは、拳銃? か?
見た感じは変な銃に見える。
銃把を握り、引き金に指を掛けている。
銃把の上には大きなどんぐりの実のようなずんぐりとした涙滴型の機関部があり、そこから流線型に銃口……が見当たらない。
先っちょがとんがっているだけだ。
おもちゃの光線銃のような形をしている。
ふざけてんのか?
ん? 光線銃?
【どー・つぇー・く-52型】
【-】
【状態:故障(経年)】
【加工日:-/-/-】
【価値:-】
【耐久:6】
【性能:-(30)】
【効果:ウィード社製熱線銃 。ヒムノス暦43648年正式採用。第三次エンクード戦役の戦訓を活かした傑作銃と言われ、非常に高い評価を持つ】
本物かよ!? でも、壊れてんじゃねぇか。
しかし……。
俺、一体今どんな顔してるんだろ?
何故か不明だがヴァンパイアロードは銃口(無いけど)だけを俺に指向しながら銃をゆっくりと左右に振っている。
「よもやと思ったが、読んでいるのか?……まさか、ゲイン?」
ヴァンパイアロードは今度こそ驚愕に目を見開いている。
俺を置いてきぼりだけど。
っつーか、あの動き、【鑑定】を知ってる?
鑑定対象が視界に入ってるならウインドウは動かない。
従ってウインドウを読んでいるのであれば俺の目玉もそう大きくは動かない。
まして、対象の動きを目で追うなんて事にはならない。
「そ、そんな筈は……確かに……確かに殺した筈……ズグトモーレ、いやゲインはあの時死んだ筈だ!」
何、一人で興奮してんだよ。
「あんた、どこの国の生まれなんだよ? 『日本』を知ってるか? 『倭』でも『倭国』でもいい。『西暦』って解るか? 『エー・ディー』でも『アンノ・ドミニ』でもいい。『キリスト』って知ってるか?」
「何を言っている?」
「どこの国か知らんが『地球人』だろ? 『アースノイド』でもいいけどよ」
不思議そうな顔をしていた。
「ゲインではない……か。汝の言葉は解らないことが多いな」
「あんたもな」
「我は……いや、どうでも良い。今一度問う。転生者であれば我の僕となって協力しろ。この間違った星を元に戻すのだ」
はふん?
間違った星?
思わずぽかんとしてしてしまった俺を見てヴァンパイアロードは苛ついたように言葉を継ぐ。
「汝……違うのか? まぁ良い……汝にも解るように言おう。カミラ、いやリルスという女を知っておるか? 闇精人族の」
当然知っているが、何となく嫌な予感がしたので黙っていた。
「……知らんか。もう何百年も音沙汰がないから流石に諦めたか……いや、そんな筈はない……か。あの女の目的を挫くのだ」
「目的?」
つい言葉が出てしまった。
「そうだ。間違いを正そうとせず、当初の目的にのみ固執するだけの最早怨念よ」
見た感じ、碌に髪の手入れもしていない爺さんのあんたの方が怨念にまみれているように思えるけどね。
贔屓目抜きでも。
「何を……?」
でもさっぱり解らんちんだ。
全部最初から説明して欲しいものだ。
「今までの話で理解出来ぬ輩にそれを言う必要はない。さぁ、我の僕となって新鮮な精気でも集めて参れ」
だめだ、こりゃ。
要は下僕のヴァンパイアにでもなって迷宮の冒険者をさらって来いって事だろ?
間違いを正すのだかなんだか知らんが、そんなこと出来るか。
「何言ってんだかさっぱりだよ。碌に説明もなく勧誘したって誰が付いてくもんか。それより、目ン玉置いてくか、死ぬか、好きな方を選べ」
まさに押し込み強盗より酷いことを言って銃剣を構える。
ズールーたちの方は未だにカタが付いていないらしい。
まだ戦闘中のようで指示する声や、武器が壁や床を叩く音が聞こえる。
「個人的な恨みは無いが、今からお前を殺す。眼球くれりゃ黙って帰るがな」
「ふぅむ……我ら以外にも……調査すべきか? いや、今更……」
構えていた役立たずの熱線銃を下ろし、こちらを見たままブツブツ言っている。
「……我に従わぬのと言うのであれば、無理にでも従って貰うとしようか……ケェェッ!」
ヴァンパイアロードは壊れた熱線銃を手首のスナップだけで俺に投げ付ける。
そして自らの背後に風魔法を使ってその場から急に突っ込んできた。
「ムッ!」
突っ込んで来ると同時にストーンボルトを放って来る。
ミサイル付きかは不明だったので即座にアンチマジックフィールドで相殺した。
しかし、ヴァンパイアロードは突撃速度をそのままに、右手を手刀の形にして肩の横に振り被っている。
麻痺か何かを狙っているんだろう。
右手を突き出して来た。
突きはかなりの速度だったが予想出来ていた為に躱すことが出来た。
カウンターで銃床を腹に叩き込もうとする。
しかし、左手でブロックされてしまう。
パリーじゃなくてブロックかよ……骨も折らずに……なんて奴だ。
直後にアンチマジックフィールドをキャンセル、ストーンボルトを五本弾頭で使う。
見越していたのか、風魔法を使われて避けられた。
「ぬ……驚くほど早い魔術行使だな……」
こうして、お互いに魔術や体術を駆使しての高速戦闘となった。
・・・・・・・・・
そして今。
「く……埒があかんか……」
焦りの表情を浮かべたヴァンパイアロードが呟く。
俺の体が持つなら多少時間は食うだろうがこのままでも削り勝てるだろう。
しかし、流石に骨がミシミシいう程の勢いで吹っ飛ぶのはいかにもキツイ。
ヴァンパイアロードが言う通り新しい展開になって欲しいところではある。
お互いにじりじりと立ち位置をずらしながら睨み合い、どうにかして隙を作ろうと牽制し合う。
女のヴァンパイアの死体をまたぐ。
相手はタイガーマンの死体をまたいでいる。
タイガーマンが腰の後ろに差しているナイフでも拾おうと言うのか、こちらを窺いながらそっと手をのばそうとしている。
させるか!
即座に攻撃魔術で邪魔をした。
ナイフはひしゃげた筈だ。
残念そうな顔で睨んでくる。
ヴィルハイマーの死体をまたぐ。
ついでに奴の握っていた長剣の柄に足を引っ掛けて俺の後ろに蹴り飛ばした。
その隙を見てヴァンパイアロードは女ヴァンパイアの武器に飛びつこうとする。
誘いだよ、間抜け。
剣を握っている女の腕に伸ばした手にストーンボルトが命中!
ヴァンパイアロードの腕は俺の魔術を受けてズレ、女の手を掴む。
その間にもう一発ストーンボルトミサイルを放って長剣を弾き飛ばす。
そう憎々しそうな顔をしなさんなって。
ともあれ、いかなヴァンパイアロードとは言え、俺みたいに何かしながら魔術を使うのは無理のようだ。魔術の行使自体はかなり速い。しかし、その際にはどうしても一拍、何も出来ない時間があるのは確かなようで、やはりそこが俺のつけ目となるだろう。
【鑑定】でサブウインドウを見てみたいが、睨み合った状態で相手から視線を切る訳にはいかない。
死体もなくテーブルだの椅子だのも無い、足場の良い位置に来た。
ヴァンパイアロードのすぐ右前にはヴィルハイマーが転がっている。
折角いい位置を占められたからあんまり動きたくねぇな……。
しっかし、風魔法で飛んでいる間に攻撃魔術が使えるのは驚いたよ。
再度風魔法を使って進路を変えるなど、単純な元素魔法使うだけなら四層のヴァンパイアもやってたけどさ。
複雑な魔術まで……あんな真似まで出来るとはな……。
でも、膠着状態に持ち込んでいる以上、俺としては用心深く行動を観察し、何か魔術を使いそうであれば即座に攻撃魔術を叩き込む。
こちらに直接攻撃魔術を掛けて来るようであれば落ち着いて相殺し、その後の行動に対処するだけの話だ。
そして、ついに痺れを切らしたヴァンパイアロードが行動した。
俺と十m以上の距離をおいて向かい合ってゆっくりと横移動をしていた足を止めただけなんだけど。
何を狙っている?
だが、そんな場所で足を止めたことに疑問が生じる。
こいつ、戦闘には慣れてないのか?
非常に高い身体能力と、異常な程速い魔術行使に胡座をかいているだけか?
武器に執着するってのもよく解らん。
リーチにこだわってるんかね?
素手の方が怖いんだが。
奴のすぐ脇にヴィルハイマーが転がっている状態だ。
俺の動き如何では奴に取って移動の邪魔となる存在だ。
あんなところで足を止めるなんて……判ってないのか?
ヴィルハイマーの長剣は明後日の方だぞ?
ナイフくらい持ってるだろうが、手に入れるには体をひっくり返さなきゃだめだろ。
何を狙ってる?
でも動きを止めたんだから、今まで通り魔法に決まってる。
しかし、いつまで待ってもその手が魔術光を発する事はない。
魔術に集中しているのか、単にそのフリをしているだけなのかの判断がつかない。
「右だっ!」
「うわっ!」
「ジェス、注意しろっ!」
「グァルル……」
「つぇいッ!」
「弱ってるはずなのに!」
「くっそ!」
「グォン!」
「よく狙って!」
「ごめん!」
「ヘンリー、メック、陸、肆、捌で行くぞ!」
「「了解しました!」」
「俺に解るように言えっ」
あっちはあっちでまだまだ忙しそうだ。
援軍は当面の間期待薄だな。
用心深く奴の行動を監視し、即座に攻撃か防御に転じられるようにしておくべきだ。
「ふっふ。勝負は着いた」
ニヤリと笑みを浮かべ、嗄れた声で呟いている。
「はあっ!!」
ヴァンパイアロードは大声で叫びながらヴィルハイマーに手刀を突き刺す!
意外な行動だったが即座に放ったストーンボルトはヴァンパイアロードの横腹に突き立った。
もう一発!
今度は八本弾頭でミサイルまで付加して放った。
「おごぉっ!」
全て命中!
【HP:0+289(498) MP:164+50(558)】
大ダメージだ!
このまま一気に押し込んで……なに!?
「行け! 奴を倒せ!!」
こちらに向けていた横腹や胸に八本の石矢が直撃し、そのせいか一層嗄れた声でヴァンパイアロードは声を絞り出している。
相当な苦痛であるのは確かのようだ。
そんな中、素早く立ち上がった姿。
業物と言えるような重ね札の鎧に身を固め、右手こそ手ぶらだが、緑青と見まごうばかりの鮮やかな碧緑色に表面を染められ、先細りの台形の先端両脇から二本のスパイクが伸びている特徴的な小楯を左手にした中年の精人族。
ヴィルハイマーが復活した。
【状態:ヴァンプリック・デス・ナイト】
糞!




