第百六十話 スカーフェイス
7446年3月25日
シャーニ義姉さんは昼過ぎに到着した。まだ時間も早かったので一休みしたらそのまま王都の商会の方へ行って明日には騎士団への納品や採寸を行うと言っていた。また、俺の里帰りの件だが、一昨日と昨日の夜に殺戮者の皆とも相談して決めた。
クローとマリー、二人の転生者のこともあるし、結局俺は一度バークッドに帰ることにした。実家への挨拶などもあるのでミヅチを伴う。また、グィネも同行する。理由は簡単。道中の地図作成の為だ。
グィネは自由民だが俺たちも同行するし、何よりグリード商会の従業員でもあるので領地をまたいで移動することに問題はない。通行証も二号一種の免状持ちであるグリード商会の従業員登録から簡単に発行されることは解っている。あともう一人、身の回りの世話をさせるためにエンゲラも同行させる。
ミヅチやエンゲラはともかく、グィネを伴って帰ることを言った時、当然の如く口を挟んできた奴がいた。
「え~、グィネも連れて行くなら私も連れてってよ」
「ちょっとラル、少しは考えなさいよ」
「え~、だって、グィネばっかずるいじゃん。そう言うベルも行きたいっしょ?」
「え? そ、そりゃ少しは行きたいけど……王都以外出掛けたことないしね……」
「何言ってんだバカ。遊びに行くんじゃねぇんだよ」
遊びに行くんだけどさ。
「私も行きたい、行きたい、い~き~た~い~!」
ちっ、仕方ねぇな。
「おいラルファ、よく聞いてくれ」
アホの両肩に手を置き、自分でシリアスだと思う表情を作るとしっかりとその目を見つめる。赤らむなよ……なんかケツが痒くなるだろ。
「全員は連れていけない事は理解してるよな?
……うん、そうだ。
俺の奴隷たちは置いておくとして、虐殺者も根絶者も今が鍛えどころだ。それはお前も言っていた事だろう?
誰かがしっかりと面倒を見る必要がある。そうなるとさ、残る奴を考えろ。
ゼノムは頼りになるが、最愛の存在が傍に……何ヶ月もいないと気が気じゃなくなるだろう。
トリスは最近頭を使うようになったが、補佐するのがベルだけじゃまだまだだ。誰かが知恵を貸してやらにゃあ。
ベルはしっかり者だが突っ走り過ぎるきらいがある。トリスじゃまだ手綱を握れない。誰かが抑えに回る必要があることは解るよな?
バストラルは新婚だし、ズールーは俺の奴隷頭だ。動かす訳にはいかない。
もう解ったろう?
いいか、お前が一番長く俺と付き合いがある。俺がいない間、皆の内で俺が一番信用して任せられるのは一体誰だ? 俺に全部言わせるのか?」
「え? ……うん……そういう事なら……あたし……かな?
そうだよね。アルの言う通りだった。
あはは……まだ私も考えが足りなかったようね……。
……うん。よし! あんたがいない間、あたしがしっかりしないと!」
とか言ってんの。
相変わらずチョロくて助かる。
そもそも殺戮者に関してはお前に何も任してねぇよ。
聞いていた皆も生温かい目で一人意気込むアホを見つめていた。
また当然だが、俺の帰省に伴って八層の探索は中断される。虐殺者と根絶者の方は残った皆で面倒を見て貰う事になるが、無理をさせなければ元々ベテランが多いから大丈夫だろう。それより、俺が戻る頃には更に下層への切符を手に入れているかも知れない。ゼノムは「任せておけ、それに元々彼らも実力は高い。お前が戻る頃には五層に行くくらいにまでは引っ張り上げられるさ」と言って笑っていた。
殺戮者の方はトリスとゼノムに任せておけば問題は無いだろう。彼らなら俺とミヅチが居なくても七層まではまず安心だ。余裕を見て、俺がいない間は五層くらいまでにしておけばそうそう問題も起きないだろう。極稀に出てくる強力な部屋の主さえきっちりと注意して回避してくれればグィネの地図を持っているからこちらは大船に乗った気持ちでいられる。
細々とした指示をしたが、トリスには「委細は任せる」と言いおいて、念のために五千万Zの現金をゼノムに渡した。そして、俺たちはそれぞれの軍馬に跨るとシャーニ義姉さんが指揮する隊商へと組み込まれた。体格の問題から俺はグィネと、ミヅチはエンゲラと、それぞれの乗馬の訓練も兼ねて二人乗りだ。
王都に遊びに行ったり、乗馬訓練と称して度々俺の馬に乗っているグィネはともかく、エンゲラは「奴隷の分際で馬に乗るなど……」と言って恐縮しきりだったが、第四騎士団の戦闘奴隷だって指揮官は馬に乗ると聞いている。戦闘は無理でも歩かせるくらいは出来るようになってくれ。
王都では粛々と納品などを済ませ、ロズラルたちには今回俺たちも一度バークッドに戻ることを伝え、二ヶ月半くらい留守にすることを言った。その間、何か問題が発生した場合などはトリスかゼノムに報告して欲しいとも伝え、ついでにそろそろ時期なので身の回りの整理をしておけとも言っておいた。
彼らは王都に来てからそろそろ二年が経つ。次回の納品時には彼らに代わる番頭一家がロンベルティアに来るはずだ。時期的に言って夏くらいだろうか。引き継ぎなどもあるので交代には一~二週間程の時間が見込まれるだろう。
王都で増えた家財道具などもあるから、せめて馬車二台に収まるように整理しておいて貰う必要もある。バークッドに帰る時だって完全に空荷で帰りはしないのだ。キールやドーリットで商売もするし、その為の仕入れだって普段から行っている。
毎月のようにバークッドまで定期的に来て貰い、日用品を販売して貰っているドーリットのサグレット商会への恩返しの意味も含めて彼らに都会の珍しい品物(大抵は映りがあんまり良くない鏡や小瓶に入った香水等と言った高価な小物や綺麗に染められた布等だ。場合によっては魔石を運ぶのを他の商会から請け負う事もある)を持って帰る事だって重要な仕事なのだ。勿論只じゃないけど。
・・・・・・・・・
バークッドへの旅は順調に進んだ。バルドゥックから海岸沿いに南西方向へ百㎞、三日程進むと、グィネも知らない場所になった。ここからは彼女の言葉も数が減り、きょろきょろと周囲を見回していた。彼女の記憶には街道沿いの地図がしっかりと刻み込まれ続けているのだろう。
道中、宿泊以外に何日も滞在するようなこともしなかったので、昔ゼノムとラルファに出会った山道のあたりまでは出発してから二週間程で来ることが出来た。あの時はてれてれと遊びながら何日か途中の街に滞在したりしていたので、ここからバルドゥックまでは三週間も掛かったんだよなぁ。見るもの全てが物珍しかったんだ。ガキだったし。今でもそうか。
そうこうしているうちに更に一週間程が経ち、天領を通り抜けてペンライド子爵領に入る。子爵領の首都、カールムにある適当な宿に入り、皆で晩飯を摂っていた。俺たち四人は入った店が混んでいたのでバークッドの皆とは少し離れたテーブルに着いて食事をしていた。
エンゲラは会話に加わらず静かに食事を摂っているが、ガキ、それも女ばかりの俺達に因縁でもふっ掛けられないかと心配な様で用心深く周囲に視線を飛ばしている。そこまで神経質にならなくて良いのに……ズールーに言い含められているとは言え律儀なことだ。そんな忠犬を他所に俺達はと言えば、
「そう言えば、このあたりにも『転生者』が居てもおかしくはないんですよね」
「それもそうね……でも、探しようが無いしねぇ……」
「ですよね~。マリーさん、でしたっけ? 彼女みたいに家が商売をしていたり、それが上手く行っていたりしたらそうそう動かないでしょうし……私だってあんなことがなければ今頃は行商人をしていたと思います」
「うーん、そうだよな。農奴に生まれたとしても本来は生まれた村から出る方が少ないしな……クローやバストラルは特殊な例だろうし……」
「そう考えるとトリスさんは結構大変だったんですね……」
「苦労が偲ばれるわね。相当歩き回ってたって聞いたわ」
と、愚にもつかない話をしていた。
周囲では別の隊商らしき商人たちが先月に襲撃を受けたというオークの集団の話をしていた。彼らはペンライド子爵領の南東にあるヨーライズ子爵領との境界ギリギリの街道で襲撃を受けたらしい。確かウェブドス侯爵領ともほんの少しだけ境界線があったはずだ。
カールムの南には高さ一千五百mのピートス山を最高峰としたピートス山脈がウェブドス侯爵領の手前に聳え立っている。多少ヨーライズ子爵領の方向へ回り道をしなければならないが、境界まで何十㎞も距離があるから俺たちに害はないだろう。
通り道じゃないのであんまり興味はないが、ペンライド子爵領やヨーライズ子爵領の東にはあのダート平原があり、小さな領地が沢山あるのだ。とは言え、ペンライド子爵領とヨーライズ子爵領の境界にはあんまり関係がない。俺の将来的にもあんまり関係はないだろう。ダート平原じゃあオークなんぞよりデーバス王国のが怖いだろうし。
それはそうと、彼らの隊商は上手に奇襲を受けたためそれなりの被害を受けてしまったものの、見事に撃退したらしい。流石は辺境をうろつく三号(多分)の商会だ。護衛の腕も良かったのだろう。だが、襲撃を掛けてきたオークを殺す事は出来なかったようだ。
それなりの被害を与えているにもかかわらず襲撃側が被害を受ける前に撤収するとは余程慎重で頭の良いリーダーでもいたんだろうな。バルドゥックの迷宮とは異なり、ヨーライズ子爵領との境界をうろつくオークもそれなりだと言うことか。
その会話がちらりと耳に入ったらしいグィネはちょっと目を落とし、唇を噛んでいた。俺たち三人はグィネに焼酎を勧めてやるくらいしか出来なかった。
明日も朝早くから出発する予定なのでさっさと休むことにした。
・・・・・・・・・
7446年4月22日
やっとキールまで帰ってきた。ここまで来ればバークッドまではあと一週間の距離だ。義姉さんと俺たちは懐かしいビンス亭に宿を求めたが、二人部屋が一つと一人部屋が三つしか空いていなかった。最上階の一人部屋については義姉さんと護衛の従士のうち古株であるジムがそれぞれ宿泊し、階下の二人部屋に俺とミヅチが、その隣の一人部屋にはグィネが部屋を取った。部屋が足りずにあぶれたエンゲラと護衛の従士たちは少しグレードが落ちたが問題なく宿を確保出来た。
続いて義姉さんと従士達はウェブドス商会へ立ち寄り、王都で仕入れた物を卸し売りに行った。また、当然の如く俺達の方はウェブドス騎士団の本部へと馬首を巡らせる。クローとマリーは元気にやっているはずだ。今、彼らはどの程度武器に習熟出来ているだろうか? 正騎士の叙任はともかく、その目処くらいは立っているのだろうか?
騎士団本部の門にはいつかのように門番のような兵隊が二人立っていた。誰何されはしたが、俺とミヅチはバークッドのゴムプロテクターを装着している。その声は柔らかいものであった。いつの間にかバークッド縁の者への対応が変わっているのだろう。そう言えば、この鎧はバークッド村の従士たちへの支給を除けば第一騎士団くらいにしか販売していない。第二騎士団にも少量だけ販売してはいるが、ウェブドス騎士団には販売していないはずだ。
進み出た俺は右手を差し出してステータスを確認して貰うとクローとマリーへの面会を求めた。しかし、残念なことに今騎士団は最小限の人員を残して、二週間前から大多数が出払っているとの理由で面会は叶わなかった。キールから北東に大人の足で一日半程行ったブライズ村に出たというホーンドベアー退治の為らしい。
今朝、無事に退治出来たと言う連絡が入ったそうなので早ければ明日の夕方、遅くても明後日の夕方には戻るだろうとの事だった。ホーンドベアーには従士が二人も殺されてしまったようだが、犠牲者はクローでもマリーでもないらしい。亡くなった二人には申し訳ないがそれを確認して少しホッとした。
いないものは仕方ないのでクローとマリーについて聞いてみた。正騎士の叙任を受ける予定はあるのか、あるのなら何時頃か、またそうでないなら評価はどうなのか、気になることは多いのだ。しかし、流石に団員の内部評価について部外者である俺たちには門番の口も堅いようで、何らの情報も得られなかった。
どう聞いてもその身が無事である以外の事については喋ろうとしないので、つい、俺の兄貴夫婦はここの出で、嫁さんに至っては団長の娘だぞ! と親族の威を借りたくなったがみっともないので止めておいた。まだまだ俺も若いな。
そもそもグリードの家の者であることは彼らもステータスを見て知っている筈だ。そんな俺に取り入ろうとしないあたり、きちんと綱紀が保たれている証拠である。職務に忠実なことは良いことであり、そんな騎士団が居るウェブドス侯爵領は良い領地なんだ。いや、負け惜しみだ。そもそも彼らには俺に取り入ったって何の益も無かった。
仕方ない。彼らにはバークッドからの帰り道に会えば良いだろう。マリーの実家のビンスイルの店に顔でも出そうかとも思ったが止めておいた。帰り道でいいだろう。
ビンス亭に戻ると、ミヅチは意を決したような表情で俺にナイフを差し出した。
「額と頬の傷を消して」
「いいのか? 治らない可能性の方が高いって……」
ミヅチの顔の傷はかなり昔、子供の時分に負ったものだ。怪我が酷くて完全治癒でも治しきれなかったと言っていた。そりゃあね。傷を負ってすぐに治癒魔術を掛けなければ傷が残ることもある。ミラ師匠にはもう身体自体「傷が有る事が平常になっている」だろうから傷を抉って再生の魔術を掛けても綺麗に治る見込みは低いだろうと言われていたのだ。新たな傷はすぐに治っても、古傷まで一緒に再生してしまうと言われていた。
治らないのであればわざわざ痛い思いをするだけ損だし、そもそも顔を抉るなんて勇気はそうそう湧かない。確かに顔の傷は醜いと言われるポイントだろうし、ミヅチのコンプレックスになっていることすら考えられる。治したいという気持ちは理解出来る。
「うん……でも、今試さなければ一生勇気は出せないと思うし……。流石に自分の顔を抉る勇気は無いから貴方にやって欲しい」
汚さないように上半身の衣服を脱いで椅子に腰掛けるミヅチの目を覗き込んだ。意思は固いようだ。
「お前……。だけど、お前が望むのならやってやるさ」
一応念のためと思って自分の左腕を抉る。すぐに再生の魔術を……あんまり練習してないから一分近く掛かる。いや、これでも五十回くらいは練習したんだ。魔術の発動とともに俺の左腕の傷口はみるみるうちに肉が盛り上がり、綺麗さっぱりとした皮膚に戻った。血で汚れてはいるけどね。
おー、痛。すぐに痛み止めのために完全治癒も連続して掛けた。
俺の左腕を見ていたミヅチは少しだけ微笑んで頷いた。
ミヅチは手に持っていたタオルを畳み、噛んだ。
解ったよ。
……。
…………。
…………………。
「無理だな……。傷が戻っちまった」
ミヅチは俯いている。治癒魔術は充分に掛けたし、もう痛みは残っていないはずだ。
「ばか、泣くな」
「……」
「親父にも、兄貴にも、義姉さんにも、姉ちゃんにもその顔で会ってるだろ? 今更恥ずかしがるなよ……」
「……そんなんじゃ」
「……気持ちは解るけどな」
「でも、お義母さまにはまだお会いしていないし、村の皆さんにも……」
「誰も気にしやしないよ」
「私が気にするよ……」
「そっか……ごめん。軽々しく……」
「ううん、いいの。でも貴方だってこんな傷があったら……」
「確かに俺は傷のない頃のお前の顔を知ってるよ」
「じゃあ……」
「でも、俺は今の顔の方が魅力的だと思う」
翌朝、安宿に泊まっていたエンゲラは朝食の時、俺たちの隣の部屋に泊まっていたグィネに「顔が赤いわ。風邪引いてない?」と言っていた。グィネにはちょ~っと刺激の強い夜になってしまったようだ。俺たち、まだ若いしね。
・・・・・・・・・
7446年4月28日
遂にバークッド村に到着した。
しっかし、デンズルの街を過ぎたあたりから感じていたが、バークッドに続く街道って碌に整備もされていないのな。特にバーデッド村からバーデット村、そしてバークッド村へと続く街道は石がゴツゴツと転がっていたり、所々ぬかるみが残っていたりなどでとても状態が悪かった。これじゃあ確かに辺境もいい所だよな。それに伴って進行速度もガクンと落ちたしね。改めて王都ロンベルティアを中心に国王直轄領の街の間を結ぶ道の整備状況は非常に優れていたことがよく解る。
バークッド村を見るのは……実に四年ぶりか。懐かしい村の光景だ。
この道はこんなに細かったっけ?
あそこに広がるタバコの畑はあんなに小さかったっけ?
あの辺りはゴムノキの畑になったようだな……。
なんでこんな所に蕎麦が広がってるんだ?
どうせ蕎麦を蒔くなら川の向こう側の方が……。
夕暮れ間際の茜色に染まったバークッド村の光景は別段美しくはない。
が、何故か俺の心を打った。
時間的に農奴たちは今日の仕事の片付けをして家路に向かう頃だ。
まだかなりの人数が畑に出ており、後片付けをしている最中だ。
「アル、懐かしい?」
エンゲラが慣れない手つきで操る俺の軍馬に、自分の軍馬を近づけてシャーニ義姉さんが言う。
「ええ……」
村の南から近づいて来た俺達に、畑に出ている皆が気付いて手を振ってくれる。だが、馬の数が増え、人も多くなっていることに改めて気が付くと駆け寄って来た。俺は村の農奴とはあまり親しく付き合っていなかったのだが、領主の弟の事は覚えているようだ。口々に「アル様! お帰りなさいませ」とか「アル様、お久しぶりです。よくご無事で」とか言われ、少しだけ驚いた。
「驚いた? 皆、貴方には感謝しているのよ。ゴムのことや畑の植え替え、千歯扱き、牛馬の農作業への導入。貴方が出て行った時から税は変わってはいないけど、収入自体が変わったわ。少しだけど農奴に渡せる給金も増えたようだし……。勿論、貴方が全部を作った訳じゃないけど、貴方が用意して、道筋を残したことが皆にも分かってるのよ。先代様が全てお話しなさったしね」
そうか……親父……。
「ま、私も昔、貴方には驚かされたわ。貴方のことはファーンから聞いていたのにね。でも、いい? ここまで豊かになったことに確かに貴方は関わってる。今のうちに一度くらい見ておくのも貴方の為になると思うわ」
義姉さん……。
ところで、ミヅチやグィネ、エンゲラについては当たり前だが丁重に無視されているようだ。しかし、ゴムプロテクターを身につけたミヅチを見て驚いた顔をする者も多かった。闇精人族を見慣れていないからだろう。ミヅチは俺と同じデザインのヘルメットを被ったまましっかりと顔を上げていた。うん、それでいい。
ああ、あそこに見えるのは家だ。
昔、家を出る時に作った水桶はまだそのまま使われているようだ。
変わってないんだな……。
と、すると、俺達四人はどこに泊まるのかね?
ま、俺とミヅチは客間だろうけど。
ああ、そう言えば言っていなかったな。
うちの村には風呂もあるんだぜ。
村の名前の件ですが、第一部の地図でバークッドに一番近いのがバーデッ[ト]、次がバーデッ[ド]という名前です。
因みに、ドーリットの街は同じ地図の半島の下の方で街が三つ並んでいますが、その真中にある、一番近い海岸から30Kmくらい離れている白丸です。その真上の村がクローの故郷、バフク村です。




