第八十話 把握者
7444年5月30日
国王に挨拶をして、第二騎士団の大隊長にも挨拶をした。
国王には、
「よう、グリード。年明け以来だな。先月お前が城に来た時は俺いなくてよお……。モリーンたちが宜しくってさ。ところで、今回、またお前が絡んでる件もあるみたいだな。この前バルドゥックの報告を受けたとき、ちらっと聞いたぞ。なんだったっけ、殺人者だっけ? あ、殺戮者ね。殺人者なら裁かれる方だよな。どちらにしても物騒なあだ名がついたな。迷宮でこんな短期間で上位に入ったなんてのは中々いないらしいじゃないか。グリードも有名になったってことだ。そりゃ多少の妬み嫉みは受けるだろうよ」
とかニヤついて言われた。
あんた、わざと間違って言っただろ。
「冗談はこのくらいにして、お前、よく無事だったな。輝く刃はバルドゥックでもトップクラスの冒険者たちだったんだろ? 俺だって名前くらい聞いたことあるぞ。今回報告受けるまで忘れてたけどよ。なに? ひょっとしてお前、結構強いの? まぁ、俺はさ、それでもお前が死ななかった、ってんでこれでも安心したぞ。お前、いいもん納めてくれるし、結構面白い奴だしな」
「は、ご厚情、痛み入ります」
俺が頭を下げている時に第二騎士団の大隊長が国王に何か耳打ちした。
この大隊長は顔だけは見た事がある。
「いいんだよ、こいつにはキンタマ握られてるようなもんだからな。堅苦しいのはもうとっくに無しなんだよ……。え? あ、そうなんか。お前ローガンとかとやったことあるんか。ビットワーズに勝ったって? 結構どころじゃねぇな、相当やるんじゃねぇか。ああ、確かお前の姉も第一騎士団にいるし、兄貴も引っ張られたことあるんだろ? なら、その若さで魔石の稼ぎ頭も頷ける。なんかすげー魔道具でも見つけたら持って来い。褒美を取らすぞ。いいもんだったら昔のグリムソン子爵みたいに天領の代官にしてやってもいい」
いつの間にか国王のキンタマを握っていたらしい。
それもそうかも知れないけど。
「ははっ」
頭を下げて畏まる。
「そういやお前んとこ、ロンベルティアに本拠置いたらしいな。ローガンが踊り狂って喜んでたぞ。第一騎士団だけじゃなくて他の騎士団にも卸してやってくれよ。なぁ、ヴァルモルト。お前もそう思うだろ?」
そう言って国王は警護の第二騎士団の大隊長を見た。
この人は見たところ四十を少し過ぎたくらいの中年の痩せた虎人族だ。
流石に目線が変な方を向いてしまうので【鑑定】は出来ない。
「ええ、是非うちでもあの鎧を採用したいんですよ。グリードさん、少しでいいんで回してください。私も昔は第一騎士団にいたんですから、いいでしょう?」
ヴァルモルト士爵はそう言って俺に微笑みかけた。
「はぁ、そうですね、考えておきます……」
うーん、全く無理じゃないけどなぁ。
一着二着くらいならいいかなぁ?
「あと、『鞘』でしたっけ。あれも都合してくださいよ。この前、“エメラルド公爵クラブ迎賓館”に行ったら、驚きましたよ! 王家の紋章入りのやつ、あれ、いいですよね!」
「だろ!? あれ、最高だよな! グリードんとこも本当にいいもん作ったよ。グリード、お前さ、何度も言うけど准男爵位くらいなら何とかしてやるからもう冒険者辞めてもっと『鞘』作れよ。きっとみんな喜んで買うから遊んで暮らせるぞ」
「恐れながら陛下、私にはやりたいことがあるのです。何度もお断りして誠に心苦しいのですが……」
「ほう?」
ヴァルモルト士爵は興味深そうに声を出した。
「どうせ大したことじゃねぇんだろ? それともあれか? 冒険者で稼ぎたいのか? じゃなかったらそこらの阿呆どもみたいにログモック王とかジョージ陛下に憧れてんのか?」
国王は足を投げ出し、ケツを前にずらして肘掛に片肘をつくと背もたれにだらしなく寄りかかりながら言った。
「……」
下を向いて苦笑いしかできなかった。
俺の夢は痴者の夢らしい。
否定出来ないのが痛いところだが。
「陛下、ジョージ陛下を悪し様に仰いますな。大体、ジョージ陛下やログモック王、コーラクト王のようになりたいというのは男子なら誰でも抱く夢です。斯く言う私も十代の頃は真剣に憧れていたものです」
ヴァルモルト士爵はフォローなのか何なのか、一般論を言った。
だいたい、俺まだ答えてもいないし。
国王はヴァルモルト士爵を見ると馬鹿にしたように口を開いた。
「なにお前、ひょっとして本気で言ってんの? 絶対に、完全に、疑う余地なく無理とは言わねぇけどさ、いくらなんでも現実的じゃねぇだろ?」
ま、それが普通だよなぁ。
国王は更に、
「あのグリムソン子爵だってファイアボール使える魔法の杖を献上したから祖父さんが子爵にしてやって代官やらせたんだけど、領土やるって話だってあったんだぞ? つってもまぁダート平原だけどよ。あの頭のいいグリムソン子爵だってそりゃ昔はジョージ陛下に憧れてたろうさ。でもよ、やれる領土はダート平原か北の、昔分捕ったとこだけだぞ。そんなとこで国作ったってグラナンもデーバスも黙ってねぇだろ。そりゃウチは領土やった手前、あいつらと違ってなんも手出しはしねぇけど、攻撃されても手助けもしねぇ。グラナンやデーバスに取られたら全力で取り返すが、そうしたらウチのもんだ。グリムソンの爺さんもバカじゃねぇからそんなこと解ってたんだろうけどな」
と言った。そりゃそうだ。その小さな独立国だって滅亡の際に立たされりゃ必死に抵抗するだろうし、侵攻勢力も無傷な訳はない。
弱ったところをロンベルト王国軍が侵攻してまた元に戻るだけだ。
国王は俺に視線を戻すと、
「だからグリード。お前、悪い事は言わねぇから、グリード商会大きくしろって。そんで『鞘』もっと売れよ。な、そっちのがいいぞ?」
と言った。
それを聞いていたヴァルモルト士爵は、
「陛下、別にグリードさんは国を興したいと言ったわけではないですよ……」
と先走りを宥めてくれた。
「え? ああ、そうだったな。でもグリードはどうなんだ? 実際のとこ、ジョージ陛下やログモック王に憧れはねぇのか?」
と国王が言った。
大隊長、立場ねぇじゃねぇか。
「は……それは……」
畏まったまま憧れていると返事しそうになってしまった。
思いとどまったけど。
「え? なに? お前、本気なの? 小僧のお前に教えてやるけどよ。確かに子爵以上の上級貴族なら別にいつ独立したっていいんだぜ。周りから認められないかもしれないけど、結果的には認めざるを得なくなるしな。でもその時は外国と同じだ。元の国から攻められるかも知れないし、別の国と接してりゃその国から攻められるかも知れん。そん時は誰も助けてはくれないだろうけどな。出来たばっかの小国がそれまで所属してた国や別の外国の軍隊を単独で跳ね返せるなら立派な独立国だからな。だが、それが出来れば、の話だ」
国王はそう言いながら脇にあった小机のお茶を一口飲んだ。
「いままでだってそんな例はごまんとある。独立しなくたって領土ごと別の国に寝返るなんてのもよくある話だ。忌々しいが、ジュンケル侯爵領なんかそのいい例だ」
今、国王はジュンケル侯爵と言ったが正確には伯爵だ。
ロンベルト王国の北方に領土があって、今はグラナン皇国へと寝返っている。
もともとこのあたりの土地はその昔ロンベルト王国がグラナン皇国に侵略戦争を仕掛けてもぎ取ったものだ。
その当時、この地を治めていたのがジュンケル伯爵という人だった。
侵略戦争の途中、グラナン皇国に見切りをつけたジュンケル伯爵はロンベルト王国側に寝返ることで領土を認めてもらい、ロンベルト王国の侯爵に叙せられた。
それが再度寝返ってグラナン皇国の伯爵に戻っているのだ。
数百年の間にそんな事は合計五回もあったそうだ。
ある意味でジュンケル侯国とか伯国と言ってもいいかも知れない。
ロンベルトとグラナンの属国になったりならなかったりしているようなもので、税だって碌に上納していない可能性がある。
こんな土地、大きな国の境界線上には大なり小なり幾らでもある。
以前も話した事はあるが、南方のデーバス王国との国境沿いには幾つも秘匿された開拓村が入り乱れているからそのあたりからの税なんて税収としてきちんと国庫に収められた事なんか一度もないんじゃないだろうか。
「もしお前が望むなら、ダート平原の天領の村なら百億Zで売ってやってもいいぞ」
勿論冗談だろうけどな。
あんなしょっちゅう紛争が起きる辺境のしょっぱい村一つ、百億Zなんてボロ儲けもいい所だ……。
だが……。
「百億Zですか、流石に高いですね……」
苦笑を浮かべながら国王を見上げた。
「はっはっは。いや、本当に百億Z払ってくれたら適当な領土ごとくれてやってもいい。それで何年かでもデーバスに対抗してくれりゃ国にとっていいこと尽くめだしな……。お? これいい考えじゃねぇか? アホな奴が買ってくんねぇかな?」
「陛下……幾ら何でもそんな人は流石にいないと思いますが……」
ヴァルモルト士爵はやれやれというように頭を振りながらぼやいた。
元々俺はデーバスの脅威に晒される事の多い南方より東方に建国するつもりだった。
ダート平原と異なり確かに土地は痩せているらしいから東方のバクルニー王国やカンビット王国とロンベルト王国との間にはここ数十年、紛争はない。
最後の紛争だってデーバスとのそれよりも、更に小さな規模の紛争とも言えないような程度だったと聞いている。
この三国が国境を接するあたりであれば、山地なので余計紛争になる事はないだろうと考えていた。
このあたりをロンベルト側で治めるリーンフライト伯爵はあんまり裕福ではないので金を払って適当な娘でも保険で嫁に貰って縁戚関係を作ると同時に領地も買おうと思っていたのだ。
それだって百億Zも払えば山一つ、最低でも神奈川県くらいの面積を買ってお釣りが来るだろうと踏んでいた。
何しろリーンフライト伯爵領は面積だけは結構広いらしいし。
お釣りで奴隷を買ってもいいし、最初の十年とか税を無税にしてやれば移り住んで来る平民の次男次女だっているだろう。
ゴムはともかく、山ならある程度は産出するであろう金属を加工したりして何とか工業的に立国出来る余地はあるだろうと思っていたのだ。
農業だって全く出来ない訳ではないだろう。
段々畑を農奴に作らせればいい。
普通じゃ水の便なんかで無理だけど、俺は水なら魔法で出せるしな。
一月くれたら琵琶湖だって作れるだろう。
そんな広い平地はあのあたりにはねぇけど。
川から水を引いて、溜池を作る。
その工事の間くらい水を農地に供給するくらいのこと、訳はない。
だが、ダート平原か。
今まではデーバスの事が脅威として頭にあったので考慮してなかったが、肥沃らしいし、二年耐えられたら俺なら行けるかも知れない。
あ、そう言えば美紀が、いや、リルスが『デーバス王国の生まれ変わりたちには気をつけて。いつか貴方の障害に』とか言ってたな……。
これは、東方で建国しようがいずれ邪魔が入ると言う事だろうか?
それとも建国関係なしに何かちょっかいを掛けてくるという事か?
多分後者だろうな。
俺がちょっとだけ考えている間、国王とヴァルモルト士爵はダート平原を国内の貴族に売りつけて儲けるだの、そんなの無理だの喋っていてくれた。
二人の会話が止んだ瞬間、タイミングを見て割り込んだ。
「陛下、お取り込み中のところ申し訳ございませんが、私はまだ百億Zなどという大金を稼いでもいないですし、有用な魔道具を得た訳でもございません」
「そりゃそうだ。え? なに? その気になっちゃった訳じゃねぇよな?」
なら面白そうな顔しないでくれよ。
「ええ、今はまだ……」
「ほう?」
俺の答えを聞いた国王は急に雰囲気を厳しいものに変え、声音を下げた。
「今はまだ、と言う事はこれから先はそうするつもりという事だな?」
「はい」
国王を見上げて聞き間違えの無いよう、しっかりと発音した。
国王は腰を引いて椅子に掛け直すと少し身を乗り出して来た。
「一応言っといてやる。グリード、お前さ、俺は確かに言った事は守るつもりだ。王が一度吐いた唾を飲んじまったら話にならないからな。だが、今もそれなりに稼いでるらしいが、百億Zっつったら本当に大金だぞ。ダート平原は確かにいい土地だが、しょっちゅうデーバスと小競り合いしているし、お前の領土が占領されても俺の軍隊が取り返したらロンベルトの物に逆戻りになることは解ってるんだよな? その後ガタガタ言っても俺は取り合わねぇぞ」
「はっ、勿論です」
「わかってりゃいいけどよ。お前、もう少し先の見える奴かと思ってたんだけどな……。確かお前んとこの商会は赤免状だったな。今のうちに優秀だという噂の兄貴にでも任せておいた方がいいんじゃないか? 俺は『鞘』さえ買えりゃいいからよ。卒がないとは言え、所詮はまだガキか。興が失せたわ。もう下がれ」
「はっ、失礼いたします」
国王、ロンベルト公爵トーマス三世は俺に失望したのか、手を振って退出を促したので素直に従った。
だが、言質は取った。
「……おい、グリード」
背を向けた俺に国王が声をかけた。
俺は振り返って臣下の礼を取って返事をする。
「はっ」
国王は少し厳しい顔だった。
「俺は今、お前のことを馬鹿にした。今の所その評価は覆らん。悔しかったら有用な魔道具か百億Zを耳を揃えて俺に差し出せ。そうしたら……それが出来たら見直してやるし、馬鹿にしたことも取り消して謝罪してやる」
「ははっ」
「せいぜい気張ることだな」
そして俺はバルドゥック行政府の謁見の間を退出した。
胸を張って。
・・・・・・・・・
正午から裁きは行われたが、輝く刃のビッケンスは予想通り死罪になった。
警察権を持つバルドゥックの騎士団に没収されていた彼らの装備品は返り討ちにした正当な持ち主(つまり、俺のことだ)に返還された。
夜の帳が落ち始め、刑の執行が全て終わったあと(俺は自分の分であるビッケンスの刑が済んだら露天商を冷やかしてぶらぶらしていたが、平服に着替えるために宿に戻っていた)、ヴァルモルト士爵から呼び出しの使いが来た。
この街で殺戮者が逗留しているボイル亭を探すのは簡単だしな。
バルドゥックで最高の宿である楡の木亭のロビーに出向くと、国王の警備責任者であるヴァルモルト士爵が待っていた。
勧められるままロビーの端のソファに腰を掛ける。
楡の木亭にはソファがあるのか。
スプリングがないからパンパンに羽毛や藁なんかを詰めているだけだから座り心地は木の椅子よりマシ、といった程度だけど。
「グリードさん、第二騎士団への鎧の販売の件、よろしくお願いしますね」
ヴァルモルト士爵は丁寧に喋り始めた。
「ヴァルモルト士爵、私は准貴族ですし、ご覧の通り歳も若いです。陛下の前でもないのでそこまで丁寧な仰りようは、その……」
「確かにその通りですが、貴方はグリード商会の長です。そしてグリード商会は第一騎士団に鎧などを納めている我が国にとって大切な商会ですからね。今後は我ら第二騎士団ともお付き合い頂くのですから、これは当たり前のことです」
え? 俺、第二騎士団に納品するなんて約束してないぞ。
「しかし……鎧の生産量にも限界はありますし……ご満足頂ける量を供給出来るかどうか……」
俺がそう言葉を濁すと、
「そりゃあ、理解していますよ。一着ずつでもいいんです。まずは現場の小隊長クラスから注文を受けてやって貰えませんか? お願いします」
そう言ってヴァルモルト士爵は自分の子供みたいな年齢の俺に頭を下げた。
「……」
「今日の裁きの件で確信しました。証拠品として提出されたゴムの鎧も拝見させていただきました。あの軽さで矢を弾く防御力。実戦の多い第二騎士団には絶対に必要なものです」
第二騎士団は第一と異なり正式に歩兵部隊を抱えているから第二から第四までの騎士団は混成連隊みたいにひとつの騎士団であらゆる戦闘を行う事が可能な編成になっている。
まぁ普通軍隊と言ったらこうだろうね。
第一騎士団はエリートだから、紛争の指揮を執ったりで実際に戦場に出て敵と直接鉾を交える機会はそう多くない。
勿論、必要とあらば先陣を切って戦う。強いんだしね。
対して第二騎士団はデーバスとの紛争の主戦力だ。
全体の指揮自体は第一騎士団の騎士が執る事が多いが、第二騎士団はその構成員の半数くらいは恒常的にダート平原の領土の守備隊に組み入れられている。
当然守備隊には諸侯の軍隊も居ない事はないが、恒常的に駐屯はしていない。
畢竟、第一騎士団よりは末端の人員の直接戦闘の機会は多くなる。
「……わかりました。しかし、三~四ケ月に一着が限度です。価格や納期、採寸などのご連絡はあとで騎士団の方へさせて頂きます」
それを言うとヴァルモルト士爵はあからさまに安堵した顔を見せた。
「ありがとうございます。本当に助かりますよ。……それと、朝の件ですが、あまりお気になさいますな。グリードさんは陛下に気に入られていますよ。陛下は本当に失望した相手にはあのようなことは仰いません。何も言わずに役を解くか、あまりにも常軌を逸してお怒りの時は……腕の一本も切り落としてしまわれます。殺しはしませんがね。私も話に聞いただけで実際に見たわけでもないですし」
「……そうですか」
「あの後、陛下は仰られていましたよ。あなたならグリムソン子爵のように凄い魔道具や大金を得られるかも知れないなって。それに、こうも仰っておられました。あなたは、陛下が唯一気を許して話せる相手だ、と。『鞘』を通じて陛下の大きさもご存知な数少ない男だとね」
ヴァルモルト士爵は愉快そうに笑いながら言った。
確かに、去年の夏ごろからLサイズ程ではなく、かと言ってMよりは少し大きいらしい国王専用にカスタムしたコンドームを納めている。
国王の前で型を作らされたのだ。
もう少し大きいとか、小さいとか、それはもう、ウザ、煩い注文だった。
クビレを付けた事に対しても非常に喜んでいたし。
俺の顔にも微妙な笑みが貼り付いているだろう。
「手助けはしないが、今回の事件のように一切の邪魔が入らないように手配してやれ、とも仰られていましたよ。一体どうしたらそんなことができるんですかね?」
ヴァルモルト士爵は可笑しそうに笑いながら言った。
確かにそんなの無理だ。
彼の笑いにつられるように、俺もつい笑ってしまった。
「そうですか……これは気合いを入れて頑張らねばいけませんね。陛下に謝って貰えるなんて痛快ですしね」
そう言ってヴァルモルト士爵としばし歓談した。
俺とヴァルモルト士爵がロビーで話しているとき、階上から国王がすこし此方を見ていたらしい。
俺の斜め後ろ側だったので気付かなかった。
GWの更新予定ですが、29日から一週間家族旅行に行きますので更新は途中に一回くらい予約投稿する程度だと思います。ごめんなさい。
頂いたご感想は全て拝読させていただいております。お返事については活動報告にてさせていただいております。たまに活動報告にも目を通して頂けますと幸いです。




