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男なら一国一城の主を目指さなきゃね  作者: 三度笠
第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第四十四話 高い評価

7442年12月28日


 兄貴達とその場で別れ、警備をしている兵隊にモリーンへの伝言を頼んだ。兄貴達やゼノム達からは当然のように「国王陛下と王妃殿下達の呼び出しはなんだ?」と聞かれたが「今晩話す」と言ってその場は逃れた。まぁ実家には手紙で伝えてはいるので、問題はない。だが、流石にあの場でコンドームの納品とは思えないだろうしな。


 暫く待っていると二の丸の一室に呼び出された。指定された部屋に行くと警備の兵隊がいたが、俺が傍まで行くと既に話は通っているらしく何も言わないのに通してくれた。部屋の中にはユールとマリーンが居り、国王とモリーンとベッキーはいなかった。どちらかというと軍人上がりらしいこの二人の方が話がしやすい。


「グリードです。ご無沙汰しておりました」


 部屋に入るなりそう言って跪き臣下の礼を取った。


「おお、グリード、して、例のものは?」


 挨拶もせずユールが言った。あ、やべえ。王室に納品用のやつ、馬車に積んだままだった。っと財布に一袋入ってる。今回はこれでいいか。


「は、こちらに。正規の納品用の品は馬車にありますので、後日納品に参上しますが、あの場では、そのぅ、騎士団の方々も沢山おられましたゆえ、馬車から荷を降ろせなかったのです。ですので、今あるのはこのひと袋だけです。来週改めてご要望頂いております数量をお納めに参りますので今日のところはこれでご容赦を……」


 そう言って最後に残っていた一袋を献上した。


「面を上げて構いませんよ。グリード。礼を言います。もうそろそろ残りの数も心もとなくなっておりました。助かりました」


 マリーンがそう言って俺から最後の一袋を受け取り胸に押し抱いた。うーん、うちの村で作った商品をそうやって大事そうにしてくれるのは嬉しいな。


「ところでグリード。あなた、騎士団の装備品の納入に来たと言っていましたね。鎧の納品だったのですか?」


 ユールが質問した。不思議そうだ。


「はい。今私が着用しているものとほぼ同じものを第一騎士団からご注文頂き、本日十着納品させて頂きました」


 俺がそう答えると、


「え? 本当に十着だったのですか?」


 と言われた。こんな事で嘘言ってどうするよ。


「は? はい。確かに十着納品致しましたが……ローガン団長閣下以下、第二中隊の方々に合計十着でございます」


「マリーン、第一騎士団の帳簿はどうなっていますか?」


「はい、そう仰られるかと思い、既にこちらに用意してあります。ユールスフォル様」


 え? なに? 抜き打ち検査ですか? だって鎧は個人で買うんだろ? 何買ってもいいんじゃねぇの? 兄貴からはウェブドスの騎士団では武器は支給されるけど防具の類は個人調達だって聞いてたぞ。姉ちゃんも何も言ってなかったし……。


「ああ、グリード、貴方は心配いりませんよ。……おかしいですね。8月の終わりに申請されているのは金属鎧プレートメール六着の補助費……え? たった9700万Z(金貨97枚)? これでは三着くらいしか買えないではないですか……」


 ユールはそう言って俺をひとまずは安心させたが、その後になにやら不穏な発言をしている。


「9700万Zですか? グリード、本当に十着の鎧を納品したのですか? 詳しく事情を教えて貰えますか?」


 マリーンも続いて疑問を持ち、俺に質問してきた。何だ?


「はい。確かに十着、納品いたしました。8月にご注文を頂戴した方々から採寸し、本日全ての納品を終えました」


 他に言いようはない。なにやら面倒な感じになってきた。汚職とか、それ系の。


「いいですか。グリード、ユールスフォル様は安心しても良いとは仰いましたが、事はそう簡単な問題ではありません。まず、私の疑問に答えなさい。一つ、たった四ヶ月で十着の金属鎧プレートメールの納品をどうやってしたのか? 申し訳ありませんが、そなたの出身のバークッドは鎧の産地として有名ではありません。職人もそれほどいないでしょう。一つ、そなたは十着の鎧を納品したと申しましたが、補助費の申請は金属鎧プレートメール六着分になっており、価格も異常に安価です。販売証明を見せなさい。一つ、先に関連しますが、今回納入した鎧の単価を言いなさい」


 物憂げな顔をしたユールとは対照的に厳しい表情でマリーンが俺に詰問した。何だ何だ?


「は、まず、バークッド村で鎧を生産する場合、細かな調整迄含めて完全な鎧を製造したとして……大体四日~五日で三~四着は鎧の製造が可能です。但し、これは原材料が充分に備蓄されている場合です。それからこちらが今回納品した鎧の販売証明となります。単価は一着三千万Z(金貨三十枚)です。それとは別にカイトシールドは六百万Z、バックラーシールドは三百万Zです。申し訳ありません。バークッドはウェブドス侯爵領の奥地、ジンダル半島の先にありますので……その、輸送費用も馬鹿にならないので……結構高価になってしまいます」


 正直に答えた。それ以外に道はないし、何だか厄介事に巻き込まれているようだが、俺は単なる一納入業者だ。善意の第三者でいたい。まぁ、鎧の製造速度は本当に総力を挙げて製造するならもっと速いだろうし、数ももう少し多いだろう。


「「え?」」


 ユールとマリーンが口をそろえて疑問に思ったようだが、何が疑問なのか? ゴム鎧が帳簿上、金属鎧プレートメールになっていることまではどう考えても俺の責任じゃない。俺が責められる必要はないはずだと平気な顔をして畏まっていると、


「マリーン、ローガン団長とビットワーズ副長をここに」


「はい、早速」


 そう言うとマリーンは部屋の外の警備兵に何か言うと戻ってきた。


「グリード、そなた、嘘は申しておりませんね。今のそなたの発言には重要な問題がいくつかあります。ローガンとビットワーズの発言次第では更に重要です」


 ユールが少し厳しい声で言った。


「はっ。誓って嘘では御座いません。すべて真実です」


 そう言って頭を垂れた。


 暫くして団長と副団長が部屋に入ってきた。マリーンはすぐに気が付いたようで手の中で弄んでいたゴム袋をさっとポケットにしまった。


「お呼びでしょうか、ユールスフォル妃殿下、マリーネン妃殿下」


 そう言って俺同様に臣下の礼を取る。ユールが口を開く。


「そなた達に聞きたいことがあります。まず、八月に申請されております金属鎧プレートメールの六着分の費用、これはグリードの商会に注文した鎧ですか?」


 ローガン男爵が答える。


「はっ。新しい鎧ですので、種別が近いものにて申請しました」


「そうですか。種別はいいでしょう。しかし、今グリードから聞いたところ、今回納入したのは十着分だというではないですか。数が違うのは何故ですか?」


 またユールが質問した。


「はっ。個人装備品の鎧の補助費は七年に一度しか認められませんので……。私は五年前に金属鎧プレートメールを新調するときに申請しておりますし、他にも三人、既に補助費を申請しておりましたので、その分の人数を差し引いて、今回は六名分の補助費の申請にしております」


 ローガン男爵が答えた。へー、鎧の新調の費用も補助して貰えるのか。さすが第一騎士団。高給といい恵まれてるな。


「そうですか、では、そこも良いでしょう。次に価格です。単価は今グリードに聞きました。私の知る金属鎧プレートメールより明らかに、異常な程安いですね。それから納期も数にしてはおかしいと思いますが、そなた、よもや脅して値段を交渉したり、無理に納品を急がせたりしていないでしょうね」


 だんだんとユールの口調が厳しくなっていった。納入業者を虐めるな、ということだろうか。


「は、はっ、勿論そのような事は一切……」


 ローガン男爵もある程度理由を悟ったのか、微妙に俺を責めるような感じも伺える。俺、そんな事一言も言ってないぞ。


「先ほど五年前に金属鎧プレートメールを新調したと申しましたね。その時の価格は幾らでしたか? それと、注文から納品までの期間は?」


 今度はマリーンが聞いた。


「はっ。……確か7400万Zだったかと……。あと、納期は一年二ヶ月程だったかと」


 ローガン男爵が答えた。高級な金属鎧プレートメールってお高いのね。以前見た男爵の金属鎧プレートメールは確かに高価そうだった。それにすごく時間かかるんだな。


「ローガン、今のそなたの言葉と、グリードへの注文は矛盾していませんか? 一着三千万Zの価格で、納期は十着で約四ヶ月。金属鎧プレートメールがそんなに手軽に出来ると思うてか! しかもそなたが今着ている鎧はグリードのもの同様に黒染めまでしておろう! こんな短納期で価格もそこまで違うとなると今の鎧業者は皆潰れるわ! グリードのところにも大きな負担であろう! そなた、一体どういうつもりか!」


 途中からユールは激しだした。まずいな。俺のところの生産力はさっき言ったはずなんだがな。価格についても言いだしたのは俺だ。多少不興を買っても口を出さざるを得んか。


「恐れながら、ユールスフォル妃殿下。発言をご許可くださいませ」


 俺はそう言うしかなかった。


「許す。なんですか?」


 ユールはそう言って俺の顔を見た。その表情はお前のために言ってやってるんだぞ、と言わんばかりだ。


「恐れながら、ユールスフォル妃殿下。勘違いがあるようでございます。まず、私の鎧は一見すると金属鎧プレートメールですが、金属鎧プレートメールではありません。ゴム製の鎧です。それに、先ほど申し上げたバークッド村の生産力も嘘ではございませんが、原料のゴムも無限にはございません。今ですと四ヶ月に十着くらいの原料が精一杯です」


 そう言って畏まった。ローガン男爵はあからさまに安心した様子で息をついている。


「「え?」」


 ユールとマリーンは信じられないことを聞いたというように声を合わせている。


金属鎧プレートメールではない? ゴム製? ゴムは柔らかいではないですか。鎧になるのですか? それに見たところ……グリード、そなたの鎧、触ってもいいですか?」


 マリーンがそう言って畏まる俺の前にしゃがみ込んで来た。


「は、どうぞ。……と、小手で宜しければ外しますが」


 そう言って俺は左手の小手を腕に固定するゴムベルトに手をかけた。


「え? そのように……案外簡単に外れるのですね」


 ちなみにゴムプロテクターは第二世代から体のパーツごとに着脱が容易になるように設計してある。簡単に装着の仕方を説明すると以下のようになる。


 最初に腹部と背中の下部を覆うような胴回りのパーツに両足を突っ込んでわき腹をゴムベルトで固定する。ここはあまり強く締めなくてもいい。次に上腕部のパーツを着ける。上腕部外側のプレートと肘をガードする半球に近いパーツが一体になったものをつけてベルトで固定する。


 それから胸部と背中の上部が肩で接続された胸部パーツをかぶり(胸くらいの丈で袖無しのノースリーブのシャツの右脇の下だけが切れているようなものを想像してくれ)、右脇の下あたりにあるベルトを締めて前後から身体を挟む様に固定する。右だけが切れているのは剣で切られるのは左側が多いからでそれ以上の理由はない。肩の防具は両肩のパーツをゴムベルトで体の前後から繋げてあり、胸部のパーツの上から着用する。肩部から腕にかけてこれまた細いゴムベルトで上腕部のパーツに固定する。


 同時に腹部と背中下部から上に伸びている幅広のゴムベルトの先のフックを胸部の内側に引っ掛ける。ここは背中側を誰かに手伝ってもらったほうがいいが、慣れれば予め引っ掛けておくことで対処可能だ。最初は腹部のパーツもゴムベルトで肩からかけるようにしていたが今の世代では改良済みだ。


 次に腰だ。以前言ったことがあるが脇がつながっていない寸詰まりの砂時計みたいなやつを穿いてベルトで腹部と背部にフックで引っ掛ける。これだと腰の両脇が心もとないので、腹部パーツの脇前後に草摺みたいな腰部を保護する複数の腰パーツを引っ掛けるが、腰パーツには全部をまとめるベルトも付いているのでこれも締める。胴体部のパーツはパーツ間に隙間が出来ないように重なっている部分が結構ある。


 脚部はブーツを履き脛当て(グリーヴ)をふくらはぎの上下にゴムベルトで固定。足の甲については好みの問題だが、俺の場合はエボナイトで爪先を固めてある編み上げブーツなので何もつけていない。大腿部のパーツである佩楯はいだてもゴムベルトで固定し、こちらは結構重量もあるので。同時にゴムベルトで腹部にも引っ掛ける。脛当て(グリーヴ)佩楯はいだては双方共に、ベルトで留める後ろ側は5cmくらいの隙間はある。佩楯はいだてとは言うものの、日本の具足のように湾曲したでっかい板というわけではない。もうちょっと足にぴったりフィットしたものだ。俺が他の呼び方を知らないだけなので気にしないでくれ。


 薄い肘位までの皮手袋に手を通す。そして篭手のパーツに手を突っ込んで手の甲と拳に付いている金属のメリケンサックの内側の紐に親指以外の指を通してから握りを確認し、ベルトを締め全体を固定する。篭手部分は外側は肘に近い下腕部から拳までを完全に覆い、内側も下腕部中央10cmくらいをほぼ完全に覆えるようになっている。内側中央に分割線があり、多少隙間は開くがベルトを締めることによってほぼ隙間はなくなるように調整してある。


 なお、本来は鎧下も各所にベルトを通すためのベルトホールなどをつけているのが理想だが、鎧下のベルトホールはなくても長時間に亘って装着しないのであれば大きな問題ではない。


 そしてラグビー選手のようなインナーヘルメットを被り、あごパーツで固定したあと、昔のドイツ兵とか自衛隊で使っているようなアウターヘルメットを被ってインナー同様に皮ひもであごの下で固定する(今はヘルメット自体インナーもアウターも着けていないが)。アウターのヘルメットは昔の日本の兜のように両脇から後頭部にかけてエボナイトの板で板札錣いたざねしころのようにしている。前立ては好みもあるだろうし、付けていない。


 こんな感じなので小手とか脛当て(グリーヴ)なんかは最初に外すことになるし、慣れていれば外すのは楽だ。さっさと外した左の篭手をマリーンに渡す。ユールも興味深そうに見ているのですぐに右側の篭手も外して渡す。


 こんこんと叩いたり、いろいろな角度から捻くり回している。俺の篭手は俺専用の特別製で本来であれば篭手の外側に鉄の棒を入れて簡易盾にしているのだが、俺はその代わりにミュンに使い方を仕込んでもらった千本を十本ずつ入れている。太さ3mm、長さ20cmくらいの鉄の針だ。盾としても使えるが、引き抜きやすいように、篭手の表面には千本を収納する穴に沿って切れ目が入れてあり、引き抜くのではなく、端っこを持ち上げるようにすればすぐに外せるようにしている。それにマリーンが気付いた。


「これは何ですか?」


「普段は簡易的な盾の代わりに腕の外側に仕込んでいる鉄線です。防御力を重視する場合もっと太い鉄の棒を四本、下腕部に入れます。本格的に盾を使うのであれば、そう言った物は重量増になるので入れません」


 俺の説明で理解したのかどうかはわからないが、頷いているので理解してくれたのだろう。だが、俺は冷や汗ものだった。武器を持ち込んでいるじゃないか。手裏剣とバレなかったのでホッとした。次から気を付けよう。メリケンサックがあるので、篭手も武器だから外しますとでも言って入口の衛兵に預ければ問題ないだろう。


「これは全部ゴムで出来ているのですか?」


 ユールが聞いてきた。


「一部革紐なども使っていますし、金属部分もありますが、基本的にはゴム製です」


 俺がそう答えると、


「え? そうなのですか。ずいぶん軽い鉄だとは思いましたが、そもそも鉄ではないのでしたね……」


 と言ってまた叩いたりしている。


「恐れながら、両妃殿下。確かにその鎧はゴム製であり、防御力自体は金属鎧プレートメールに及びません。しかし、その重量はご覧の通り、非常に軽く、体も動かしやすいのです。ご存知の通り、第三中隊のグリード卿や従士のアムゼルとグロホレツも使っており、性能は証明されております。そして、何よりも安価です。修繕費用も驚く程安いのです。今第一騎士団では、抜け駆けして八月に発注した団長以下十名と、今回発注した第三中隊の十名については問題「それは今関係ないだろう」


 ビットワーズ準男爵が鎧について説明したが、男爵への弾劾になる前に男爵が止めた。準男爵は恨めしそうに男爵を見ているが、男爵はどこ吹く風だ。


 それを聞いたユールとマリーンは可笑しそうに笑うと言った。


「どうやら我らの勘違いのようですね。許すが良い。それに、高性能で安価な装備は歓迎ですしね……。しかし、ゴム製だったとは……」


 ユールはそう言いながらまだ俺の篭手をいじっていた。


「見たところ黒染めの金属鎧プレートメールかと思っていたのですが……たしかによく見ると違いますね」


 マリーンもそう言って俺の篭手に手を通したりしている。


「しかし、ビットワーズ、そなた、団長が抜け駆けして鎧を発注したのを問題視しているようですが、鎧程度のことでそのように目くじらを立てる必要もないではないですか? そなたも副団長ならもう少し心を広く持ちなさい」


 ユールがそう言うと、


「はっ、しかし……しかし、この鎧は金属鎧プレートメールには及ばないまでもそれに迫る防御力を持ち、且つ何分の一、という軽量です。毎度毎度騎乗して戦うわけではありませんので、騎士や従士達の命に関わりますれば……それを団長はまずご自分とその場にいた第二中隊の者達のみで発注し、それを指摘した第三中隊も自分たちだけで次回の発注をしてしまいました。私などは今回の納品直前にそれを知ったのですよ。先週ですよ、知ったの。それも二中の奴らがポロっと漏らしたから解ったんですよ。しかもその後三中のケンドゥス卿などは納品場所について私を謀りまでしています。到底簡単には容赦できません」


 ビットワーズ準男爵が恨めしそうにローガン男爵を見ながら言った。第一騎士団、せっこいなぁ、と思うが、確かに命に関わるなら幾らでもせこくもなるだろうし、糾弾する気持ちもわからんでもない。


「ふふっ、そう言いますな、ビットワーズ。次回の注文は貴方達がすれば良いではないですか」


 マリーンが可笑しそうに言った。


「はっ、ですが、次回以降の注文は団長が仕切るそうで……。それに……お言葉ですが両妃殿下方も既に現場を離れていらっしゃいます。前線で働く騎士の安全を「ビットワーズ! 無礼ですよ。私も10年前までは第一騎士団の第一中隊長をしておりました。そなたの気持ちは理解しています。……しかし、そこまで良いものですか?」


 ビットワーズ準男爵の言葉をユールが遮って言った。


「はっ、失礼いたしました……む、丁度良いことがあります。午後、河川敷の騎士団の演習場で余興がございます。そこなグリードとその兄姉、それと団長と私、ケンドゥス卿で模擬戦を行います。その中で今回の鎧を着用していないのは私とケンドゥス卿だけです。ご覧になりませんか?」


 ビットワーズ準男爵が挑戦的な目つきでユールに言った。


「おい、演習場では妃殿下方をお迎えする用意もしておらんぞ」


 ローガン男爵が慌てて諌めようとしたが、


「ほう、それは面白そうですね。グリードと一緒の鎧ですか……ふむ、見に行きましょう。それと、寒いのは大丈夫です、我らも元は騎士団出身ですからね。部隊単位での模擬戦ではなく、一対一の形式までは最近見ておりませんでしたから、ちょうどいい機会です。それに、グリード卿の兄は……確か本来グリード卿の代わりにそなたが第一騎士団への編入を推薦したことがありましたね。いいでしょう」


 ユールがそう言って決定したようだ。姉ちゃんの箔を付ける為にも頑張らなきゃな。あ、そうだ、兄貴や従士達、ゼノム達にも妃殿下の行啓があることを事前に言っておくべきだろう。


「グリード、そなたもやるのですか。怪我をしないように気を付けなさい。そなた、本業は冒険者で普段はバルドゥックの迷宮で魔物を相手にしているのでしょう? 冒険者は体が資本ですよ。それに、そなたには商会もあるのですからね」


 マリーンが俺のことを心配して言った。しかし、来週の納品物を心配しているようにしか聞こえない。


 

以前からメッセージなどでご質問を頂いていたゴムプロテクターのある程度細かな説明をしてみました。まぁ所詮私の想像の産物でしかないので大したものではありませんが。

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