1.『印』
1.『印』
空からふわりと、男が降り立った。
森に埋もれるように存在している、大きな集落の手前。……翠林族の集落だ。翠林族の集落としては、かなり大きい部類に入る。五百人以上は住んでいるだろう。
集落の方から、男が一人、駆けてきた。翠の髪の毛が特徴で、それだけで翠林族と分かる。逃げているような様子だった。集落を出たところで足を止め、後ろから追っ手がないことを確認すると、息を整え始めた。しかし、すぐに前方に立つ男に気付き、緊張感を露わにする。……懐から、短刀を取り出して。
空から降り立った男は、外套を目深に被り、翠林族の男を見据えているようだ。身動きもしないで。
「……そこを退け」
翠林族の男は言う。右手に短刀、左手には皮袋を握っている。
「盗みでもしたか?
裏の認定をされるぞ。
……その財布か?置いて行け。報告はしない」
身動きをしない理由は、怯えての様子ではない。短刀如きでは、彼にとって、恐れを抱くものではないようだ。
「……裏など、今さらだ。捕まれば即座に認定される。死ぬよりマシだ。
金目のものを置いて去れ。さもなくば、殺す!」
殺気。外套の男は、ため息をついて、右の人差し指を翠林族の男に向ける。その指先が、光った。
「……っ!
『印』を使うのか!?クソッ!」
短刀をしまう。財布であろう皮袋の中身を抜き出し、皮袋だけ外套の男に放って、横手の林に逃げ込んだ。外套の男は、追うことをせず、その皮袋を拾った。
男は、じっと皮袋を眺めてから、呟いた。
「……相当、厄介な事態になってしまったな。
予想していたとはいえ、こうなる前に報せたかった。
とはいえ、まぁ、そもそも時間の問題だった。
……いや。無関係な可能性はあるな。ただの物盗りであれば良いが」
その皮袋を左手に持ったまま、集落へと向かった。
集落の中にすら、木が生えている。ある程度は伐採したのだろうが、集落は森の中に、木の生える密度の低い場所に、木々の間を縫うようにして家を建て、人々が住んでいるような印象を受ける。
今日は市が立っているようだ。一番近い露店に寄り、外套の男は店の翠林族の男に言った。
「水をいただけないだろうか?」
家の前に露店を出したらしい、その店の店番の男は、外套の男に怪しむような視線を向ける。翠林族は他の種族と比べて背が高いが、外套の男もそれに近い身長がある。五尺七寸といったところだろうか。大和族で五尺をそこまで大きく超えることは少ない。
「……飲み水でよろしいか?」
「ああ。代記で願いたい。……訳あって、本名は伏せたい」
「……顔を見せていただけないか?」
「構わない」
外套の男は顔を晒す。……黒髪だ。恐らく大和族だが、顔立ちが整い、かなりの美形だ。平均的に男女とも美貌の翠林族と比べても、負けていない。だが、どこか迫力を帯びて、怖い印象を受ける。
「大和族で、代記!?
珍しいが、法筆は持っているのか!?」
「ああ、この通り」
懐から取り出された、一本の筆。魔法の筆と言って良い。翠林族の社会にとって、特別なものだ。
「……本当に持っているのか。
これに、何でもいいから、書いていただけないか?」
店番が持ち出した、なめした動物の皮。翠林族は、それへと筆記し、束ねて帳簿として使う。店を営む者ならば、必ず用意しているものだ。例えば集落の長などに、報告の義務がある。集落の長は、それらを全てまとめてから、翠林族の大長に報告することになる。……税金のためではない。
大和族の男は、そこに一字、『風』と記す。大和族も、翠林族も、そして武蔵族も、使う言語や文字に違いはない。店番も、その字を読めた。ただ、その文字は、墨の類では記されていない。まるで、光によって書かれたような文字がそこにある。暗闇の中ならば、はっきりと分かるように浮かび上がることだろう。
「確認させていただく」
店番はその字に手を翳した。三つも数えないほどすぐに、血相を変える。
「……負の評価が無い?
しかも、何だ、この異様に高い地位点は!?
失礼致した!今すぐ飲み水をお持ち致します!
他に、何か必要があれば、何なりとお申し下さい!」
店番は姿勢を正して頭を下げた。大和族の男は、その大げさな態度に眉すら顰めるが、懐から更に銀貨を二・三枚取り出して言った。先ほどの皮袋から、ではない。
「頭を上げていただきたい。そう、大げさにされては困る。
少しなら金もある。飲み水だけで構わない。幾ら払えばよろしいか?」
「この上、代金をいただくなど、とんでもない!
……もう、お昼時です。何か、お召し上がりになられませぬか?」
「すまない、友人と予定がある。しばらく水分を取っていなく、喉が渇いた故に立ち寄らせていただいた。代記だけで、よろしいか?」
「もちろんです!少々、お待ちを!」
店番が慌てて裏手の家に引っ込む。十も数えぬうちに、水を注いだ木製の器を持って戻った。
「どうぞ!」
「かたじけない」
大和族の男は器を受け取り、ゆっくりと飲む。
半分ほどを飲んだ頃だろうか、村を巡回していた四人組の衛兵の一人が、その大和族の男を見付けて、仲間の衛兵に声をかけ、三人で大和族の男に近づいた。残る一人は、集落の中心部へと駆けてゆく。
「そこの大和族。ちと伺おうか」
大和族の男は、水を飲み干してから、器を店番に返し、衛兵の方を向いた。衛兵は木槍を持ち、突きつけてこそいないものの、構えている。
「……この集落の衛兵か。丁度良い。
この皮袋、誰かが盗まれた物のようだ。恐らく財布だ。返したいが、本人に中身を確認していただきたい。とても大事なものが入っていると思われる」
衛兵は皮袋を見た後、仲間と顔を見合わせ、大和族を囲うように動いて、木槍を突きつけた。
「貴様が盗んだのであろう。返せば、罪を逃れられると?
大人しく捕縛されれば、悪くはしない。……罰は受けてもらうがな」
店番が血相を変えた。衛兵よりも、彼の方が状況を正確に理解しているかも知れない。衛兵は、疑われている男が大和族というだけで、勘違いをしている。
「衛兵殿!この方に失礼のないように願いたい!
その方のおっしゃることを、しっかりと確認していただきたい!」
「……大和族の肩を持つか。貴様も捕まりたいか?」
一人は、木槍を店番に向ける。店番は一瞬怯むが、すぐに必死な態度で訴えた。
「どうか、確認を!
……そうだ。これを!その方の代記です!これを確認していただければ……!」
「……岳府。捕えろ」
店番に槍を突きつけていた男が、店番に迫り、「抵抗すれば、突く!」と脅す。しかし、その木槍が、次の瞬間に砕け散った。
「……なん…だと?
この瞬間的に、印を使ったのか!?」
印は、普通、瞬間的に使えるものではない。その代わり、同じ印であれば、誰でも同じ効果を出せる。……但し、腕前によって、制御の能力に大きな差が出る。実力より強すぎる印を使おうとすれば、そもそも印として形を成さないか、形を成しても暴走する。普通、狙った場所に効果を出せる程度の印しか、使うことはない。さもなくば、最悪、自身に向かって発動してしまう。
「喧嘩を売られたと認識した。私は買おう。
そこの衛兵長、この集落は消し飛ぶが、構わないな?」
大和族の右の人差し指が、輝いている。その光の軌跡が、すぐに『辰』の字を描いた。
「たっ、辰の印だと!?」
大印の中で、最も難しい印。使える者は、そういない。大印を使える者ですら、珍しいのだ。中でも辰の印は、水属性ながら、全ての印の中で最大の威力を誇り、確かに、それ一つでこの集落など消し飛ぶだろう。水没して、生き残る者が少しでもいれば、まだマシな被害となる。
「一つ目」
その印が、大和族の手で、地面に落とされた。……まだ発動はしない。つまり、この大和族の男は、ただでさえ難しい、印の複合による『印描術』を、最高難度の辰を含めてやろうというのだ。
その指が、次は『寅』の印を描く。大印の中では、難しくない印だ。……単独では。火属性故に、その威力は辰の印に次ぐ。問題は、水属性の印と、火属性の印を、複合しようとしていることだ。相反する属性故に、歴史上、それが出来る印描師は、数えるほどしかいないのではないかという難度になる。起こる現象は、恐らく雷。……辰と寅の二つのみの複合ならば。一発大きいのが落ちるなどという、生易しいものではない。
「二つ目」
寅も、地面に落ちる。……まだ、発動しない。つまり、この男は、三つ以上の印の複合を行おうというのだ。さすがにそれには、衛兵長も慌てた。ただ事ではない。大和族の男は、本当に、否、この集落など吹き飛ぶなどという生易しい規模ではない威力の印を使おうとしているのだ。
「ま、待て!話せば分かる!
その印を収めてくれ!頼む!この通りだ!」
衛兵長は木槍を捨て、土下座をした。他の衛兵もそれに倣う。必死のあまり、その額は地面に完全につけられている。
「一度、描いた印は、消せない。
さて。この集落を消し飛ばそうか」
更に描かれる、亥の印。……どれもを、瞬間的に。小印ならば、瞬間的に描ける程度の使い手はいる。しかし、三つ全て大印だ。普通の印描師は、大印を一つ完成させるのに、十を数える時間を要する。大印を使える中で、普通の印描師ならば、だ。大印一つを十を数える間に描き、完全に制御できる時点で、達人と言える実力を持っている証明になる。
「消し飛べ」
亥の印が落ちた。完成した複合印。それが一条の光と化して天に奔り、空から、一つの巨大な隕石が落ちてきた。……近くの、小さめの山に向けて。山に落ちた直後、衝撃波に近い強力な風が集落を襲った。収まった時、隕石の落ちた山は、上半分が消し飛び、恐らくは大きなクレーターが出来た。
「チッ!……外したか」
口ではそう言うが、意図的に外したのだ。その、歴史上、使うことを出来た者すらほとんどいない複合印を、この大和族の男は、完璧に制御してみせたのだ。本来、翠林族しか使えなかった印描術を。今は大和族にも使い手はいるが、その歴史は高々十年足らず。……但し、翠林族の印描術の歴史も、千年程度だ。それ以前の歴史は、何故か失われている。
「……さて。何を話せば分かるのか、説明していただこうか」
土下座していた衛兵は、あの風に耐えられた。しかし、使い手であった大和族の男は、立ったまま耐えていた。他に周囲に、立ったまま耐えられた者はいなかった。印描術だけでなく、体術にも優れているようだ。武器を持たれていたら、衛兵三人が叩き伏せられていたかも知れない。無論、その方が平和に済んだ。
衛兵長は脂汗を掻いて、必死に言葉を探す。もはや、冷や汗ですらない。言葉を間違えれば、被害はこの集落だけでは済まない。
「ふ~う~か~く~!!」
遠くから、女性の叫び声が聞こえる。そちらから、翠林族にしては背の低い女性が走ってきたかと思うと、大和族の男に飛び蹴りを食らわせた。大和族の男は、まともに食らって地面に倒れる。
「何をする、隼那!」
「こっちの台詞よ!
何があったのか知らないけど、あんな派手な印を使って!山が可愛そうとは思わないの!?」
「問答無用で罪人にされかけたのだ。仕方あるまい。
……それより、この財布、君のではあるまいか?」
大和族の男が、例の皮袋を差し出す。隼那はそれを見て、瞬間的に何であるのかを悟ったのだろう、血相を変えて奪うように受け取った。
「中身は抜かれた。恐らく、現金のみだが。……致命的な問題ではあるまい?」
急いで皮袋の口を大きく開き、簡単には取り出せないような隠し方をしてあった、小さな白く丸い石を取り出した。
「良かった……聖印は無事だった……」
「本物か。持ち主の前で確かめるべきと、中身は改めなかったが、無事に済んで良かった」
『聖印』。不穏な単語が飛び出した。事の重大さに気付いた衛兵長は、三つ数えるほどの時の後、意識を失って倒れた。
「……聖印が盗まれたことは、ここの衛兵共に伝えていなかったのか?」
「……言えないでしょ。サスガに。
さて。あなたたち。聖印を取り戻してくれた人に疑いを向けて、あの被害。ただで済むなんて思っていないでしょうね?」
残りの衛兵にとっては、判断を行うべき衛兵長が気を失っている以上、うろたえることしか出来なかった。
聖印といえば、翠林族にとって、何よりも重要な、一族の尊厳をかけて護り通すべきもの。取り返せたからいいものの、それでもなお、命を以って償うべき失態をやらかしたのだ。だから、逸早く事の重大さに気付いた衛兵長は、気を失ってしまったのだ。立場上、一番の責任者は、彼なのだから。判断をしたのも彼だ。申し開きのしようがない。もし盗まれてしまった場合、取り戻せなければ、血縁者全員で命を絶つという事態になる。さらに死んでなお、汚名が語り継がれてしまう。……過去に、実際にそういうことがあったように。
「内々で済ませてしまえ。再び、狙われているというだけだ。既に、他の集落で聖印が盗まれ、集落の全員が殺されるという事態になっている。
時期の予測はできていなかったが、こうなることは予想していた。……もっとも、今回のこの件に関しては、ただの物盗りの犯行の可能性が十分に高いと考えられるがな。
……盗んだのは、まだ裏と認定されていない翠林族だ。恐らく、どこの集落にも属していない。犯人を見付けるのは困難だろう」
「……捕まえなかったの?」
「殺して良いなら、捕まえられた。ただ、事態を理解していなかったのでな。
今、衛兵を失うのは愚策だ。厳重な警戒態勢を取るよう、長に報告すべきだ」
「……分かったわ。
ねぇ。聞いていた?この衛兵長の人を連れて、長に伝えて。『風鶴』の名前を出して、処分を待つように伝えれば、お咎めなしで済むはずだから」
聞いていた翠林族の全員が、驚愕する名前が出た。……唯一、彼の風鶴という名の大和族に水を提供した男が、驚きの後に納得した程度だ。風鶴の他には、負の評価が無く、圧倒的な地位点を持つなどという、そんな大和族などいないからだ。衛兵も、彼の代記の文字を調べれば分かっただろう。衛兵長など、名前まで特定できなければならないほどだ。法筆で書かれた文字には、地位点などの情報が込められている。だから、他人の法筆で文字を書くことは出来ないような処理が施されている。
風鶴は、翠林族の間で英雄視される、唯一の大和族だった。それも、半端なものではない。人物において、彼以上に尊重される者がいないほどだ。翠林族の大長――最も偉い翠林族よりも、だ。
翠林族にとって、聖印以上に大切なものは存在しない。大和族にとっての三種の神器に近いものだが、実際に絶大な価値のあるという大きな違いがある。……凄まじき力を秘めた石なのだ。恐らくは、先ほど風鶴が使用した、三つの複合印の威力よりも遥かに強大な力を発揮する。それ故に、制御が出来ないとされている。
しかし、それが一度、ある大和族の手によって、全て盗まれた。それが原因で、大和族の中にも、今は印描術を使える者がいる。翠林族の場合、ほぼ全員がある程度使えるが、自由自在に使える大和族など、風鶴の他には存在していないとされている。
その聖印を、風鶴は全て取り返し、無償で翠林族に返却した。その時、既に、聖印の全てを管理していた一族は、全員、重すぎる責任に耐え切れず、命を絶っていた。まさか、風鶴が三年で全てを取り返すとは思われていなかったのだ。全てが無事に戻ることはないだろうと、翠林族の全てが諦めてすらいた。
風鶴が盗んだのではないかとの疑いは、一度は向けられることもあった。しかし、翠林族の大長をはじめ、頂点に近い地位を持つ者によって、その可能性は完全否定された。理由は、例えば集落の長などであれば語り継がれているが、秘密厳守とされており、ほとんどの翠林族は、ただ信じるしかなかった。
ただ、聖印の力は、大和族に盗まれる過程で、ほとんど失われた。何らかの手段で取り出されたのだろう。それでもなお、聖印の価値は翠林族にとって絶大であり、まだなお、制御できないほどの力は残っている。確かめれば、壊滅的な被害を伴うため、力の強い印描師によって、そのように保証されただけなのだが。
「風鶴殿!」
店番の男が、『風』の一字が書かれた帳簿を掲げ、風鶴に呼びかけた。
「お名前の一字を頂き、感謝の言葉もございません!家宝にさせていただきます!」
彼の反応は、決して大げさではない。むしろ、対等に口を利ける隼那の方が、翠林族としては例外なのだ。
衛兵は、もう黙ってなどいられない。衛兵長の次に偉いのであろう、岳府という男の指示で、衛兵長を担ぎ上げ、急いで立ち去った。死を以って償うしかない罪が、風鶴の保証でお咎めなし。恐らくその通りになるのであれば、文字通りに命拾いをした。それでも、生きた心地がしない。衛兵長など、後に風鶴の名前を知れば、再び卒倒することだろう。
「……ご飯、ご馳走するわ。ウチにいらっしゃい」
「それがな……」
風鶴が、村の北西にある、周囲で一番高い山の方を向いた。
「緋浦が、『熊を見付けたから、食おう』と言っていたのだ。恐らく、今、狩りをしていると思われるのだが……」
「ふぅん……。
アイツのことだから、羆相手に素手でしょ?」
「まぁ……そうだろう」
「相変わらず……無茶苦茶な奴ね。
いいわ。持ってきて。調理してあげるわ」
「助かる」
風鶴が頭を下げた。……直後に、爆音が聞こえるまで。
「……どういうことか、説明していただけるかしら?」
頭を抱える風鶴。仕方なしに、こう弁明した。
「……緋浦が、羆相手に、印を使った――ということではないかと」
「必要あるの?」
冷ややかな隼那の視線。耐え切れなかった風鶴が、爆音のした方を確認した。あさっての方を向いたともいう。むしろ、方角が合っていたのは偶然だった。
北西の山。その中腹が、明らかに禿げ上がっている。先ほどまで、しっかりと木々に覆われていた山がだ。爆音の大きさを考えても、半端な印を使ったのではないことが分かる。
「まぁ、武蔵族で、あれだけのことを起こせる印を使えるのは、驚きよねぇ」
イヤミである。ちなみに、一般的に、印を使える武蔵族は存在しないと言われている。翠林族である隼那が、先ほどの爆発の元凶が緋浦という武蔵族であるらしいことを当たり前に捉えているということは、少なくとも彼女は、緋浦が、唯一かも知れない例外であることを知っていることになる。
「……申し訳ない。急いで確認して参ります」
「そうしてくれると助かるわぁ~」
逃げ出す口実を得た風鶴は、急いで酉の印を描くと、空中へ飛び上がった。真っ直ぐ上へと。それから空中で、午の印を描くと、今度は横に、方角は爆発のあった山の方へと翔けていった。
「……正直な話、本当に印を使う必要のある事態であった方が問題よね」
隼那はそう呟くと、元来た方へと戻っていった。