アスカの迷宮
オルコットの呼び掛けで多くの囚人達が塔下層部から、
迷宮の最深部を経由しての脱獄に同伴する。
ただファントムは少し不服そうで無理も無い、
彼は外界の人間で立場は違えど本来は法を犯した者達を取り締まる責務が有り
状況が状況とは言え本来脱獄への加担は許されざる行為なのだから。
(リープ)
『ファントム……』
心配そうにファントムへ声を掛けるも、あくまで気丈に振る舞う。
(ファントム)
『フン!この世界とボクたちが居た世界では法律もルールも異なるんだ』
『なら、その事にいちいち翻弄されるなんてバカらし……』
言い終わる前にリュウカがファントムを抱き寄せる。
(ファントム)
『な……何を!!』
慌てて振り払おうとするファントムをお構いなく抱き続ける。
(リュウカ)
『いいから!』
『そうやって自分を騙し取続けてたら心が先に壊れてしまいますわ』
鏡界では、人や生き物やモンスターは衛星軌道上を飛ぶベルスター彗星の
高濃度のマナの影響で死なないが、心と精神が破壊され廃人化すれば
悠久の時の中、永遠に死んだように生き続けるか人喰いモンスターに喰われれば
マナを取り込まれて完全な無に還る。
(ファントム)
『鬱陶しいんだよ……』
口ではそう言いながらも、
ほんの少しだけファントムの心が救われたように感じた。
(オルコット)
『イチャついてるとこ悪いけど下層部を目指す準備が出来たぜ』
リープ達やオルコットの部下達を除いて同伴する囚人達の数は三十人以上、
何人かの囚人達は単独で下層部を目指す事に。
道中襲ってきたベルスター達や海から上がってきたモンスターの群れを
囚人達と力を合わせて撃退しながら下層部へと辿り着いた。
(カオス)
『かなり早く来られたな』
カオスが下層部の床のタイルを一枚剥がすと
下の方に真っ暗闇の空間が広がり、
松明を落とすと宝箱らしき物が底には有る。
(オルコット)
『差し詰めアスカの迷宮と言った所か』
迷宮自体は元からこの地に有った物で、
その上からアスカの塔が堕ちてきたような物だが、
名無しの迷宮寄を進むよりは気持ち的に名前が有った方が
幾分マシに思えてくる。
(カオス)
『気を引き締めて行った方が良い』
『奥から動く物影が見えたから』
『恐らくモンスターが巣くってる』




