表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/28

水族館



「光島さんっ!」


「ん、なんだ?」


夕飯を食べ終わり、まったりと漫画を読んでいる光島さんに声をかける。


 ちなみに光島さんは小説とか漫画も好きみたいで、俺の家にあるやつを最近はずっと読んでる(5冊くらい増えた)。


 好きなのかと聞いた時はテンパっていたが、俺も好きなので嬉しかった。捲る手を止め、光島さんが俺を見上げてくる。


 ドキドキするけど、それを極力出さないように頑張りながら、尋ねてみた。


「水族館行きませんか?」


「……。…は?」



◇◇◇



「やばいです、俺中学生並みにワクワクしてます」


「落ち着け」


運良く二人席が空いていたのでそこに腰を落ち着け、俺たちは電車に揺られていた。


 私服の光島さんは何回か見たことあるけど、今日は特にカジュアルだけどお洒落な服装だった。まぁ、本人がそもそもめちゃくちゃかっこいいから、なんでも似合うと思うんだ。


「どこのエリアに行きたいですか〜?」

 

「ん〜…。あっ!」


マップを眺めていた光島さんが、声を上げた。恥ずかしそうに顔を赤くするその視線の先を見ると、ペンギンエリアだ。


「ペンギン!いいですね、行きましょう」


「え、…うん」


驚いたような顔をした後、ふわんと嬉しそうな笑顔になった。想定外の笑顔の破壊力はバカ強い。


「あと、くらげ見たい…」


「あ、俺も行きたいです!大水槽も外せませんよね」


「わかる」


二人で水族館マップを見て、こしょこしょ話し合って盛り上がる。


 高校生みたいな感じで、正直言って嫌がられるかもしれないと思ってはいた。でもキラキラした顔でパンフレットを眺めている光島さんは嬉しそうで、愛おしい。


「ペンギンもクラゲも可愛いですよね」


「うん。クラゲはふわんふわんしててひたすら見てられる。ペンギンは歩き方がかわいいから一番好き」


もちろん他のやつも好きだけど、と言いながら語る光島さん。なんかそういう姿は新鮮で、だからこそ嬉しくなる。


「…俺のこと子供っぽいって思っただろ」


「思ってませんよ」


ニコニコと眺めていたら、唐突に言われた。反射的に返すと、本当か?という目で見られる。本当です。


「じゃあ信じる。…こういうの、さ。昔から憧れてたんだ。でも、子供っぽいかな馬鹿にされるかなって思って、言い出せなくて」


だから、ありがとう。照れたように頬を掻いて、光島さんがぽつりと言った。なんだか胸の奥がきゅっとなるみたいな感じがして、そのまま声を出す。


「…じゃ、今日は行きたかった時の分までめちゃくちゃに楽しんじゃいましょう」


「ん。今日はよろしく頼む」


軽く同意して、でも本当に嬉しそうにしている光島さんがすごく可愛くて。


 このままでいてほしいと考えて、でももっと色々な顔が見たいと思ったのは、秘密だ。



◇◇◇



「っわ、ぁ…」


入場した途端に、南国の海を思わせる巨大水槽があった。この前も見たけれど、やっぱり綺麗だ。光島さんが隣にいるからだろうか、何割か綺麗が増えている気がする。


「すごいですね…」


「な。綺麗…」


光島さんは魚を、俺は魚と光島さんをしばらく眺めていた。


 水族館は時間感覚が曖昧になる。いくらでもここにいられそうな気がして、不思議だった。


「…そろそろ次のところ行かないと回りきれないんじゃないか?」


かなり眺めたあと、はっと気づいたように光島さんが言った。じゃあ行きましょうか、と歩き出す。


 道中でもエスカレーターの上が水槽だったり、下がガラスで魚が泳いで行ったり。楽しそうにはしゃぐ光島さんを見る度に、胸がなんだかまたきゅっとなって、抱きつきたくなる。


「お、くらげだ」


当初の予定よりも少し遠回りして、クラゲの大水槽にたどり着いた。時計を見てそれにようやく気がついたくらい、時間はあっという間に過ぎている。


 椅子がちょうど空いていたので並んで座り、ゆっくりライトアップされるクラゲたちを眺めていた。


 左手をちょっと動かして、光島さんの右手に触れる。そっと指を当てると、びくっと光島さんが俺を見た。怖がらせてしまっただろうか。


「ごめんなさい。手を繋ぎたかったんですけど、嫌ですか」


「…いやじゃない、けど。びっくりしただけだし」


別に誰も見てないだろうし、と小声で呟き、光島さんから手を絡めてくる。思った以上に細い指と滑らかな手に、どっきんと心臓が速くなった。


「…す、すみません俺ちょっと手汗がやばいです」


「むっちゃ緊張してんな」


正直クラゲどころじゃなかった。心臓のドドドドドという音が光島さんに聞こえてるんじゃないだろうか。


「すみませんホント、こんな中学生みたいな感じで…」


予定では、キリッとさりげなく手を繋ぐつもりだったのになぁ。言われたとおり、緊張で手汗がやばいかもしれない。光島さんは嫌じゃないだろうか。初歩的なことでこんななるとかって引かれていたら、ちょっとだいぶ悲しい。


 不安になりながら、光島さんを見ると、意外にも光島さんも口に人差し指を当てて真っ赤だった。


「や、平気。…俺もドキドキしてる、し…」


だから変じゃない…と、きゅっと手を握られる。ん゛ん゛っという声がつい出てしまった。なんだこの可愛い人。


 …やばい、どうしよう。幸せすぎるほどに幸せで、すごく、好きだ。この人も、この時間も、本当に大好きだ。





 

予定を見直したら試験だ林間学校だで時間がないことに気がつきました作者です。アホですね。


というわけで投稿予定を変えます。月曜日(今日)に一話投稿、水曜日に一話投稿、金曜日に二話投稿(完結)にします。変動しててすみません。


◇◇◇


ちなみに早乙女は、斑鳩と事前に来たことがデート中に彼女にバレて一瞬修羅場になりかけたようです。斑鳩と早乙女はお互いに「恋愛感情は全く持ってないが他人に自信をもって勧められる人」だと思ってますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ