めりくり①
「光島さんっ」
休憩所で偶然、コーヒーを飲んでる光島さんを見つけた。思わず駆け寄ると、光島さんが顔を上げてちょっと笑う。
「や、斑鳩。商談帰りか?」
正解だったので頷いて、俺もココアを買った。外はもう寒くて、温い飲み物が嬉しい。
「いや〜、もうクリスマスが近いですね。駅前のイルミネーション、綺麗でしたよ」
「へぇ…。そんなのも確かにあったかもしれないな」
ごくごくとコーヒーを飲み干して、光島さんが缶を捨てる。あっ、行っちゃう。
「あ、光島さん」
「ん?」
なんでもない風を装って声をかけたものの、どうやって繋げればいいだろうか。やばい、なんも考えてない。
「…えっと、その〜…。あ、クリスマス!…って予定、あります…?」
◇◇◇
るんるん。
一言で言うとそれに尽きる。
弾む足でそのままケーキ屋さんのショーウィンドウを覗いた。サンタクロースの飾りの乗ったショートケーキ、クッキーの家のが乗ったチョコレートケーキ。
かわいいものって、見るだけで幸せだ。
「…ふへへ」
光島さんと、クリスマスに一緒に過ごす。それが決まってこんなに浮き足立っていることに、俺も驚いている。好きな人と過ごすクリスマスとか、久しぶりで幸せすぎだ。
…なんのケーキが好きなんだろうか。ご飯は俺も手伝ったりできないかな。やっぱ炭になるからダメか。
わくわくが止まらない。冷たい空気で痛い耳も、今日は全然気にならなかった。
◇◇◇
ぴんぽーん。
チャイムが鳴る音が聞こえる。はーい、と返事をして俺は玄関に向かった。
「いらっしゃい、光島さんっ!」
ドアを開けて、そこに立っている人に声をかける。白い息を吐きながら、紺のコートに身を包んだ光島さんが俺を見ていた。
「邪魔するぞ」
仕事を少し残ってこなしてくれたあと、スーパーに寄っていろいろ買ってきてくれたみたいだ。重そうなエコバッグを受け取る。
「あ…。ありがとう」
「いえいえ!買ってきてくれてありがとうございます!あと来てくれて!めっちゃ嬉しい」
受け取る瞬間、ちょっと指が触れた。その冷たさにびっくりする。
「光島さん、手冷た…。蘇生しますね」
「いや死んでねえ」
冷えた手を両手で包み、マッサージする。結局洗うし大丈夫だ、と言った光島さんの頬と耳が赤いのは、寒さのせいだけだろうか。
気になって手を伸ばしたら、もっと真っ赤になった。かわいい。
クリスマスということで、描いてみました。
②は明日投稿します
よいクリスマスを




