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 取り残された私とナナ人は、言われた通りに寝ようとは思わなかった。食事もまだだったのだから当然ともいえる。

 部屋の中でも食事は取れるけれど、やっぱり外に行きたいなと私が言い、ナナ人が同意した。

 変装はもう必要ないかとも思ったけれど、念の為にと忘れずに変装していった。

 それはどうやら正解だった後に知ることになる。まぁ、この日も次の日もそれから暫くはなにも問題はなく、私はなにも知らないままだったんだけれどね。異世界からやってくる人間は、やっぱり狙われやすいってことなのよね。この時は単純に私の顔が有希に似ていることからモエルンに守られていたってだけのことかも知れない。真相は分かっていないけれど。

 部屋のクローゼットには様々な服や帽子などが置かれていた。メガネもアクセサリーも沢山ある。選び放題の変装し放題だった。

 ナナ人は顔がすっぽり隠れるマスクのような帽子を被り、その上から小さくて丸いメガネをかけた。布製のその帽子には細かい隙間が満遍なくあるので視界を妨げることはない。服は真っ白で細い布を腕から足まで身体中に巻き付けていた。まるでミイラだとは口にもしない。

 私はカツラのような被り物を見つけ、黄金でキラキラ光る石が沢山ついたネックレスを首から下げた。胸にはサラシを巻き、ダボダボの白いズボンを履いた。腕輪もいっぱい付けてみた。気分はエジプトを表現してみた。

 宿の外には多くの人がいたけれど、賑やかと呼べる雰囲気ではなかった。俯いて歩いている姿ばかりで話し声が聞こえてこない。

 誰に声をかけようかと様子を観察していたけれど、動きを見せると誰もが避けてゆく。他人との関わりを避けているのは明らかで、まるで現実社会のビル街のようだと思った。

 とにかくお腹が空いたよ。ここに突っ立っていても楽しいことは起こらなそうだからね。

 ナナ人にそう言われて動き出した。もう少し観察したい気分ではあったけれど、お腹の騒めきには勝てなかった。

 空いている食事屋を探すのは大変だった。お店自体は多く見かけたけれど、どのお店も準備中となっていた。

 そもそもここの人達はなにをしているのだろうか? 誰もがただ当てもなく歩いているように見えてしまう。目的を持った行動をしているようにはどうしても見えなかった。

 こんな時間に街をフラつくなんて危険じゃないか。有希はなにをしているんだい? 君達を放っておくとはどういうつもりなんだ?

 目の前に現れたのはプールサイドとは違う服装のモエルンだった。

 それで変装をしているつもりならまぁ、成功かも知れないな。どこからどうみてもまともではない。その格好ならここでも目立ちはしないだろう。

 モエルンはそう言った後、兎に角私について来なさい。空腹を満たす場所はここにはないからな。

 そう言いながら歩き出すモエルンの後を追いかけていく。

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