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私は早速、それを家の鍵に取り付けた。彼女の見ている目の前で。彼女は、小さく、あっ、と声を漏らしたが、すぐにその顔を前に向き直した。まぁいいか、なんていう言葉が背中越しから聞こえてきた。そんな気がした。
私との会話が影響したのかどうかは分からないけれど、彼女はその日からほんの少し、いじめられた。オタク女子が辿る道なのかも知れないと、私は恐怖を感じた。彼女の悪口にはいつも、アニメ好きのキモい子ってワードが含まれている。
私もアニメが好きだし、ライトノベルだって読んでいる。この教室では、それを公表している女子は彼女しかいないけれど、他の教室には何人もいるし、この教室にだって私のような隠れオタクは多いはず。私はいまだに自分がオタクだってことは隠しているけれど、それを理由に彼女がいじめられているのは気に入らなかった。だから私はハッキリと、彼女の悪口をわざと彼女に聞こえるようにコソコソ話す女子の塊の前に仁王立ちし、彼女のことが気に入らないなら直接言いなさいよ! そう大きな声を出した。突然の出来事に呆気にとられていたのか、女子の塊は、私の方に顔を向けながらも口をポカンと開いていた。