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 そろそろ顔を出してもよさそうだ。頃合いを間違えると危険が待っているだけだもんな。

 その声ははっきりと外から聞こえてくる声だった。私の脳みそに直接働きかけてくる声とは明らかに違う。その声色も語りかけ方も別物だった。

 その声は私にはっきりと理解ができる。同じ言語を話しているのか? 私が勝手に翻訳をして理解しているのか? その答えは今でも分かっていない。それを知る方法は一つあるけれど今はまだ試せていない。

 ずっと側にいたのは知っているわ。あなたに会いたくてずっとここを彷徨っていたんだから。

 私は立ち止まってそう言った。後を振り向いては見たけれど、そこには誰もいなかった。

 僕が誰なのか知っているのかい? ここがどんな場所なのかも知っているのかい?

 その声は一言一言聞こえてくる方向が違っていた。四方八方から畳み掛けてくるかのように耳に痛く、頭の中でその言葉がグルグル回っているような感覚になる。

 君には僕を見ることはできない。それが何故なのか分かるかい? 分からないから見えてこないんだよ。

 見る必要なんてないわ。あなたがここにいる。それが分かっただけで私は嬉しい。後はあなたが心を許してくれるのを待てばいいだけ。あなたはこの世界で唯一の正しい心だから。あなたに会えて私はとても嬉しい。

 自分で自分の言葉が分からない。目に見えない何者かがいることは理解できたけれど、私はあなたを知らない。口から出る言葉と思考が混線する。

 君はなにも分かっていない。今のままだと君はこの林を出ることが出来ないよ。聞こえているんだろ? いつまでも黙ってないで声を出すんだ! この世界を救えるのは君だけなんだ! ずっとここにいても世界は変わらない。世界は動きを止めたままなんだぞ!

 あなたがいれば大丈夫よ。

 私がそう言っても、その声の元には届いていないようだった。その前の言葉すら届いていないかのように感じてしまう。

 だったらその声は誰に語りかけているんだ? 私はふとしゃがみ込む。そして地面の枯れ葉を拾っては粉々に砕くことを繰り返す。

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