天国と普通と地獄
あの世には天国と普通と地獄がありました。
男が言いました。
「神様、お願いです」
「私は 天国も地獄もイヤなのです。フツーの世
に行かせてもらえませんか?」
神様は言いました。
「なぜフツーがいいんじゃ?」
男は答えました。
「とても容姿がよい友人は、その顔の良さで、目
が合った相手がすぐ恋に堕ちて、好きでもない
人から追いかけ回されていました」
「大金持ちの知人は、お金がなくなる恐怖に怯え
常に金儲けのことばかり考えていました」
「私は の・太のような容姿をして偏差値……の
学校で学び、それなりに働き、サ・エさん
みたいな女性と結婚をして、可愛いニートの
子供を持ち、たまに家族みんなフードコートで
食事をするのが楽しみでした。そして最後は
イ・ンで葬式を出してもらいました」
「フツーは人混みに紛れて生きれるのです」
「それに幸せだけの生ぬるい天国は苦痛です」
神様が言いました。
「残念じゃがな、フツーの世は満員なんじゃ」
「あぁ、こうしている間に天国が埋まってしまったな」
「悪いが、地獄に行ってもらうことになったぞ」
男は言いました。
「神様 どうせ地獄なら、超イケメンで大金持ち
にしてください。一度 なってみたかったのです」
「それなら叶えてあげられそうじゃ」
「ただ今は 人間不足で赤鬼 青鬼しかおらんがのぉ~」
男は、青鬼 赤鬼に囲まれ、血の池や針山で楽しく
幸せに暮らしましたとさ。
男は悟りました。
『住めば都、幸せは自分の心が決めるんだ』
神様が言いました。
「フツーの世が空いたけど、なら もういいんじゃな」
「……」