三十四話 気術使い
これまで書きなぐったものを垂れ流していましたが・・・いずれ機会があれば再編したいと思います。一旦、検索対象から外しました(汗
これまで読んでいただけた方が居られましたら、大変申し訳ありません。書いた分だけは投稿いたします。ありがとうございました。
ガキンッ!!
でも思いがけず、金属と金属がぶつかる音がして目を開けた。
何処から現れたのだろう?男が両手で握った大剣で鉄棒を受け止めていた。その幅広な剣は白銀色に輝く靄に包まれ、同じ色の魔法陣が刀身を貫いている。
”気術使いだ”
男は体をストンと落とすと、大剣とは思えない程に軽々と、凄まじく速い剣さばきで左から切り上げ、アルバンは思わず大きく後ろに飛び退いてそれを避けた。それから大剣を正眼に構えてゆっくり後ずさると、腰のポーチから何かを取り出してマリエラの後ろに向って投げた。そこに並ぶ兵士の一人がそれを受け取る。
「生きてここを出たかったら、そのお嬢さんのすぐ近くでそれを広げろ、今すぐにだ!」
その兵士の手には羊皮紙の巻物が握られていた。でもそこに並ぶ兵士たちは、彼が手にした巻物と男の背中を交互に見ていた。
「後ろの暗殺者が動くぞ。迷ってる時間は無い、今すぐ広げろ。」
その言葉の通り、入り口を塞いでいたシカリウスたちが回廊の中に入ろうとしていた。それを認めた兵士たちは、急いでマリエラに駆け寄ってその羊皮紙を広げた。
すると地面に金色の魔法陣が現れた。
それを見てシカリウスたちは慌てて彼らに向かって走り、その一人が魔法陣の中心に蹲るマリエラに短剣を突き立てようと飛び上がった。
バリバリッ!!
でも大剣の男が振り向きざまに剣を横薙ぐと、雷のような斬撃が飛んでその男を黒焦げにした。それを見て他のシカリウスたちは一斉に後ろへ飛び退いた。
直後に、魔法陣の中のマリエラと兵士たちの姿は、霞むように薄らいでそのまま魔法陣ごと一瞬で掻き消えた。
男が渡した羊皮紙は魔法のスクロールで、それに仕込まれた空間移動の魔法でどこかへ転移されたようだ。
「貴様!あいつらをどこに転移させた!」
アルバンが怒りを露わに鋭く叫ぶのが聞こえた。
マリエラがどこへ飛ばされたのか分からなかったけれど、でもアルバンに対峙するその男の白銀の気力を視て、マリエラがこの死地から無事に逃れられたことを確信できた。すると張り詰めていた緊張の糸がぷつりと切れて、そうしたら体が引き裂かれるような激痛に苛まれていることに気がついた。今までよく気を失わずにいられたものだと思いながら、目を閉じたらそのまま意識を失った。
朦朧とした意識の中で左の瞼を薄く開いた。右の瞼は貼り付いたように動かなくて、でもそれをこじ開けるほどの力も残っていなかった。視界を覆う睫毛の間から魔光石に照らされた石の天井が見え、そしてその前にさっきの気術使いの男の顔があった。
ダークブラウンの髪に、心配そうに私を覗き込むその瞳は、黒で縁取られた白銀色をしていた。今まで私とエルしか知らなかったから確信は持てなかったけれど、やはり気力と瞳は同じ色を呈すようだ。
「よく頑張ったな。でも死ぬなよ、もう少し頑張れ。」
治癒師は何処だ!男が叫んだけれど、気が付けば回廊にシカリウスたちの気配はなく、代わりに沢山の兵士らしき人たちの気配が溢れていた。エルの気配を探そうとしたけれど、意識を飛ばしてるうちにまた視界が闇に覆われた。
以下未完




