表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄屑拾いの剣姫  作者: エビマヨ
58/70

第二十六話 冒険者ハイデル(1)

これまで書きなぐったものを垂れ流していましたが・・・いずれ機会があれば再編したいと思います。一旦、検索対象から外しました(汗


これまで読んでいただけた方が居られましたら、大変申し訳ありません。書いた分だけは投稿いたします。ありがとうございました。

 それから、ギルドハウスの地下で、剣の鍛錬の後にアンナから魔法の訓練を受ける事が私たちの日課に加わった。


 エルも私と一緒に魔法の訓練を受ける事になったのだけれど、彼の魔法のセンスがずば抜けている事が分かってアンナも驚いていた。


 エルは手始めに風盾ウインドシールドを練習させられた。これは風の膜を張って身を護る防御魔法で、剣や矢などの物理攻撃を防ぐのは勿論、魔法攻撃も遮断することができる。


 攻撃魔法の殆どは、火、水、風、土、雷の五つの属性のいずれかに含まれる。でも火は水に、水は風の魔法に弱く、そして風は土魔法に弱い。それに勿論、魔法の練度によっては優属性の魔法でも打ち負かされることがある。それでも、今までの気力の盾が物理攻撃しか防げなかった事を考えれば魔法耐性は格段に高くなる。


 お手本として魔術杖の先にアンナが風の盾を発現させたのを見ると、エルは手にした短剣に気力を練ってアンナが見せた魔法陣を描き、切っ先に風の盾を発現させた。一発で、しかも無詠唱で成功させてしまったのだ。


 それから、練習を重ねる毎に盾の強度は高くなって、しかもその盾の内側に、従来の硬化した気力の幕を張る魔法も重ね掛ける技を自力で習得してしまった。


 土属性の攻撃魔法は、石礫を飛ばしたり、岩の棘を生やしたりして結果的に相手に物理的なダメージを与えるものが殆どだから、風の盾が土魔法で貫かれても、気力の盾でその物理ダメージを軽減することができる。そうして数日のうちに、土属性にも強い独自の風の盾を編み出してしまった。


 ある日家に帰ったら、私が酷く不機嫌だとエルが非難して来た。でもその日の鍛錬場で、アンナが放った本気の攻撃魔法を、その独自の風の盾で弾いたのを見せられて衝撃を受けた。でもそれがすごく悔しくて、八つ当たりして不機嫌になっているなんて間違っても言えなかった。


 その他にも鉄礫の軌道操作や、縮地の連続使用による疑似空間移動をアンナの指導の下で練習していた。


 それに比べて私と来たら・・・


 まず、歯を食いしばって手を小刻みに震わせながら、小さな水の球を無詠唱で作るのをお昼までひたすら・・・只ひたすらに練習させられて、午後はずっと瞑想をさせられた。地下室の一番隅で胡坐をかいて瞑想しながら体内の気力を視る訓練をするのだけれど、集中が途切れるとすぐにそれを察知されて、すかさず鋭い叱責が飛んでくる。でもすぐ隣りでエルの魔法の威力がみるみる向上しているのを見せつけられて、そんな中で意識を集中しつづけるのは真に苦行に等しかった。



 その日の終わり、ギルドハウスを出たところでエルがアンナを捕まえて質問していた。陽は既に落ちて、辺りは夕闇に包まれている。


「二回までなら縮地を続けることが出来るようになったけど、三回目がどうしてもできない。魔法陣が発動しなくてそこで止まってしまう。」


 縮地は小さな魔法だから、移動できる距離が短い代わりに魔法陣の構築が簡単になる。だから多重構築も比較的簡単らしく、エルは左右の短剣に魔法陣を一つづつ描いて、順番に発動することで縮地を二回連続させる技を会得した。それだけでも凄いのに、三回目の縮地で更に移動距離を伸ばそうとしているようだ。


「デッドロックだね。一度魔法陣を発動すると周りの魔力が乱されるから、それが収まるまで次の魔法陣が発動出来なくなるんだ。でもそれを回避するためのテクニックが発現速度の遅延だ。つまり魔法陣の発動は複数同時に行うけれど、魔法の発現速度を遅らせてゆっくりにする。」


 隣で聞いていて、前にアンナが水球ウォーターボールをゆっくり発現して見せたことを思い出した。


「このテクニックはね、魔法陣を複数構築してそれらを同時に発動させるんだ。そのうちの一個は魔法を即時に発現させるけれど、残りはその発現を遅延させる。でも魔法陣は発動済みだから、デッドロックは起こらない。」


 そしてエルの短剣を指差した。


「お前の場合、両手の短剣で都合三つの魔法陣を構築する。その一つずつで二回、そしてそのあと、遅延していた縮地を発現させれば、デッドロックを回避しながら縮地を三回続けられる。」


 それから、魔法を遅延させる方法についてアンナの講義が始まってしまった。隣でちょっと聞いていたけれど、今の私には高度過ぎる内容で、仕方なくその隣で無詠唱の水球を一人で練習する事にした。


 今はレイピアを使って練習している。体の前でレイピアの切っ先を地面に向け、剣に青い気力を流し込む。そこで目を閉じて水球が生まれるイメージをすると、切っ先に魔法陣が現れて小さな水の球が出来上がった。


 まだ意識を集中しなければいけないけれど、前より大分スムーズに無詠唱で出来るようになった。魔法を解くと、その水の球が地に落ちてパシャッと水のはじける小さな音がした。


 その時、夕闇の中で私の剣を凝視する視線を感じた。


 その視線の主を探したけれど、周りに人影はなく、視線を向けられたのも一瞬の事だったので、誰の気配も見つけられなかった。でも悪意は伴っていないようだったのでそのまま魔法の練習を再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ