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創作の捜索  作者: そうさくちゃ
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1-2 非日常物語

「ハッァ、ゆ……夢.......か?」

 目が覚めるとそこは見慣れた部屋の天井だった。

 白い壁紙に白いカバーのついたLEDシーリングライトが光を放ち、部屋を照らしてくれている。

 8畳の1LDKの賃貸を照らすには十分すぎる光が寝起きの僕の目を殺しに来る。


 軍服の少女に殺される夢とはこれまた何とも言えないな......などと、脳内で感想を言い。

 周りを見渡してみると、白い不透明な袋が僕の部屋にある小さなガラステーブルの上に置いてあった。

 それは、見慣れた袋だった。

 自分の行きつけのコンビニで買い物をした際に商品を入れてもらうレジ袋。

 なんてことのない袋、だけれども今日はコンビニの中へ入って商品を買った記憶がないため、この場にあったらおかしい袋。

 疲れていて、ボーっとしながらコンビニによって帰ってきたというならば商品を買った記憶がないこともあり得るが、残念ながら今日は疲れることなんて何一つとしていない。 

 だから、記憶をなくしているなんておかしい。

 

 そうして、自問自答しながら自問自答をしている自分を俯瞰していると、ふと、背後に人の気配を感じた。

「……ぅあぁ、ぁあ、」

 後ろへ振り向こうとしたが、その前に首を絞められる。

 男性の腕というには細く、女性の力だとは考えられない程の拘束力を持った首絞めをかけられた僕は、突然のことにパニックになりながらもなんとか拘束を解こうとする。

 しかし、ビクともしない。

 

「おはようございます?でいいんでしょうか?」

 どこかで聞いたことのあるフワフワとした可愛いらしい声が耳元で聞こえた。

 その声を聴いた瞬間に、夢だと思って体験していたことをすべて思い出した、思い出さざるおえなかったというべきだろうか。

 恐怖が僕の思考を支配していく、体は抵抗を続けているがいつまでもつかは分からない。

 『死』という生物の宿命がすぐ近くまで迫ってきている感覚を感じる。

「君.、ぁは、ルリ、ル......」

 首を絞められている関係でハッキリと言葉を発せないセキ。

「はい、ルリルです。私を速く元居た場所に帰してくれませんか?あなたには悪意や殺意がないので、安心していたのですがどうやら違ったようですね。死にそうになったところで転移魔法なんてやってくれますね。転移魔法を使える人はとても少数なので失念しておりましたがまさかあなたが使えるなんて、わからないものですね」

 「は、ぁ、じぃ、で、ぐれ.....」

 そろそろヤバイ、意識が飛びそうだ。

 「放して欲しいなら、速く、私を元居た場所に戻してくれませんか?そうしてくれたら、首の拘束は解いてあげます」

 そうじゃない、そうじゃない、説明すらさせてくれないのかこの少女。

 初めて会った時は優しそうに見えたが、敵とみなすと容赦ないのか。

 「い、し、ぎがぁ、なぐなぁる」

 「それはいけませんね」

 少しだけ拘束が緩くなるが依然として、首を絞められていることには変わりがない。

 「はぁー!!はぁ、はぁ、はぁぁ」

 やっとまともに息が吸える。

 「どうですか?喋れるようになりましたか?」

 「ええ、おかげさまで」

「そうですか、それでは速く私を元居た場所に戻してもらえませんか?」

「それは、出来なッツ!!ァ、ァ」

 首を絞める力を強められる。

「噓はいけませんね~私はあなたから発せられた光に飲み込まれたらここいいました。つまり、あなたが術者だということです」

 いや、知らないないんだが。

「ほ、ん...どうに、でぇ、ぎないんだ。ぜ、づめ、いを、、せで、ぐれ」

「説明ですが?……そうですね、説明をしてもらいましょうか」

 一応、首の締め付けはほぼなくなった。

 とは言っても、依然として、腕は首元に回されておりいつでも絞め直せる体制が整っているようだが。

 そこから僕は、いつ首を絞められるかわからない恐怖を抱えながら、自分の知っていることをすべて話した。

 まず、自分が意図して連れてきたわけではないこと。

 そして、自分も訳が分かっていないこと。

 ここが地球と呼ばれる惑星の日本と呼ばれる場所の埼玉県であること。


「……」

 さて、判定はいかに。

 こんな話を信じてもらえるだろうか。

「そうなのですか、分かりました。あなたが意図して私をこの場に転移させたわけではないということは信じましょう」

 セキの首にまわしていた腕を外し、ベット横に立つルリル。

「よかった、信じてもらえて」

 首にまわされていた腕をよけられて安心をするセキ。

「しかし、そうなると困りましたね。私はいったいどうやって元の世界に戻ればいいのでしょう?」

 顎に手を当てながら首をひねるルリル。

「魔法で帰れるのでは?」

「それはできませんね。わたしは転移魔法に適性がないので」

 魔法に適性とかあるの?

 なにそれ?

「じゃ、ほかの魔法は使えるの?」

「そういえば、こちらに来てから魔法を試していませんでしたね。『ブラックルーム』」

 ・

 ・

 ・

 何も起こらない。

「何も起こりませんね」

「そうですね」

 なんというか、苦笑いしかできん。

 そこから始まる、謎の魔法詠唱大会。

 ルリルはおそらく自分が使えるであろう魔法を複数詠唱し始め、しばらくすると。

「これは......こちらの世界ではどうやら現実を壊変する系統の魔法が使えないようですね。身体強化系の魔法などは使えるようですが。何とも不便ですね」

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