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その51 《テーマ・漫画》 『いらかの波』についてうすく語ってみる



 いらかの波という漫画が好きです。



 前にどこかで書いたと思いますが、かなり古い少女漫画です。

 ですが、自分の中では今も昔も、ベストラブコメのままです。

 何十年もずっとそうです。


 まだ小学生だった自分は、ヒロインに初恋のような感情を抱いていたのだと思います。


 ちなみに初恋はリアルも含め、ドラマや芸能人や特撮やアニメや小説等、ジャンルの数だけあります。

 でもマンガのヒロインとしては、いまだにいらかの波に出てくる茜ちゃんを超えるキャラには出会っていません。


 月刊誌の別冊マーガレットに連載されていましたが、時々姉が買ってくる別マをこっそり盗み読みしていて彼女と出会ってしまったのです。

 姉はどちらかというと、なかよし・りぼん派だったので、気が向いた時にだけ買ってくるようでした。


 まだ少女漫画というジャンルに目覚める前のうぶな(?)マンガ少年にとって、なかよしやりぼんは四コマまんがくらいしか読むものがなかったため、いらかの波との出会いは衝撃的でした。


 少しだけ内容に触れると、ある日茜ちゃんの通う中学校に、孤児院から小林夫妻に引き取られてきた、わたる君という少年が転校してきます。

 自由奔放な性格のこのわたる君が周囲を巻き込んで引っかきまわしていくのが、物語のアウトラインです。

 わんぱくな野生児のわたる君は、相手が番長だろうと近寄りがたい先輩であろうと臆せずアプローチし、いつしか誰もが彼の魅力に取り込まれていきす。


 たぶんもともとはこの、わたる君、というキャラに憧れて読み始めたのではないかと思います。


 ケンカが強くて人気者でその上かわい子ちゃんにモテるという、思春期の少年にとっての理想が凝縮されているようなキャラでした。

 やや背が低いことが難点なくらいです。


 ひょうひょうとして誰にも心の内を読ませないようなわたる君ですが、彼は子供のころに事故で大工の父親を亡くしており、その父親の念願だった赤い瓦屋根の家を作るために大工になりたい、という夢がありました。

 つらい過去があるにもかかわらず、弱みを一切見せず、周囲の人達を幸せにしていく彼のバイタリティがとにかく魅力的でした。


 つい気になってしまう茜ちゃんの気持ちもわかります。


 さて、ここからは茜ちゃん語りになります。


 河あきら先生の描く女の子は独特なタッチで、当時お星様キラキラだらけの少女漫画の中では異質でした。


 少女漫画に出てくる主要キャラを大別すると、おおむね二つのタイプに分かれるのではと思っています。


 一つは、かわいく美しく無害で、誰からも愛される、読者にとっての理想が投影されたようなキャラクター。

 主にこちらの方が主流だったと記憶しています。


 もう一つはどちらかというと今時の少年漫画に出てくるような、挑戦的な顔立ちの、いわゆるジャジャ馬タイプです。

 はいからさんやキャンディキャンディがその類かもしれません。


 茜ちゃんもジャジャ馬タイプのヒロインで、少年マンガも含め、当時の委員長キャラとしてはよくあるパターンだったようです。


 ですが茜ちゃんが他のジャジャ馬娘達と一線を画すのは、恋愛感情が行動原理に結びつかないことでした。

 これは少女漫画のヒロインとしては珍しく、かつ、致命的な欠点だったのかもしれません。


 ですが当時小学生だった自分が茜ちゃんを見て、カッコイイと思ってしまったのは確かです。


 ロボやヒーローが出る物語こそがすべてで、なかば少女漫画というものを見下していた自分が、膝を屈した瞬間でした。


 茜ちゃんのように勝気で、始終やかましく怒鳴りちらして平気で男子を蹴っ飛ばしたり、ハラへっちゃった、と、あっけらかんと口走るヒロインは、少女マンガ業界(?)では珍しかったはずです。


 少年マンガのポジション的には、三つ目がとおるのワトさんや、ハレンチ学園のじゅうべえあたりが相当するのでしょうが、茜ちゃんは彼女達のようなチート能力や冒険心など一切持たない、一介の優等生です。

 どの学校にも何人かはいる、何も言われなくてもみんなが散らかしたもののお片づけをしてくれたり、ごく自然に先生のお手伝いをしてくれる、しっかりした子の方が印象が近い感じがします。


 下級生が不良にからまれていれば当たり前のように助けに行き、悪いことは悪いと物おじせずにはっきりいう、七十年代当時のごく普通の委員長キャラでもありました。


 コートのポッケに手をつっこみながら高校生の不良グループをあんた達呼ばわりする茜ちゃん、素敵すぎです。


 当時は、まだツンデレという言葉が影も形もなかった頃で、朴念仁な主人公の存在が気になって仕方がなくてついついストーキングしちゃうような今時のツンデレキャラとはほど遠く、周囲を振り回す主人公を意識しながらも、常に二、三歩引いたスタンスで見守っているあたりが逆に新鮮です。


 突然始まる鬼ごっこも、茜ちゃん大好きなわたる君のちょっかいから始まることが大半で、むしろ好きな子にかまってほしくてちょっかいをかけるわたる君の心情に妙に共感し、うらやましく思っていました。


 泣かない。弱みを見せない。


 男勝りでちょっとだけやきもちやき。


 そして一番のポイント。


 最後の最後まで結局デレない(ツンデレじゃないですね)。


 ベタベタくっついてくる人間を自分が苦手なこともあって、こういったネコ科キャラに振り向いてほしいという身勝手な心理を見事にくすぐってくれています。


 こういうキャラって、女性の人にしかつくれないのかもしれません。

 自分なりに近づけたキャラをつくろうと思っても、結局どうしてもデレさせてしまいます。



 強くてカッコいいだけじゃなく、お互いが気づかないうちに、本当の意味で相手を内面から支えてあげられる、稀有なキャラだと思います。


 自分がショートカット萌えに目覚めたキッカケでもあります。

 高校生になって髪伸ばしちゃったのは残念ですが……


 後にも先にも少女漫画を購入したのはそれだけで、なおかつ、いまだマイベストラブコメです。

 もうボロボロですが、捨てることなんてできません。



 ということで。


 ではまた。







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