その44 《テーマ・漫画》 『少年マンガのよくある展開』についてうすく語ってみる②
前回の流れを強引に数字にしてみようと思います。
まず、一般的な小学生のサッカー少年の平均スキルを1とした場合、物語におけるザコ中のザコであるナントカ小のメンバーの平均値を、1弱と仮定します。
シュウアク小は全国レベルの選手もいるので、平均2の戦闘力(?)
これだけで一般的な少年サッカーチームの倍の戦力があります。
で、ボールはトモダチ少年の数値ですが、少年サッカーの年代では周囲より抜きん出ている早熟な存在が無双することもよくあり、一人優れた選手がいるだけでチーム力ががらりとかわったりもするので、そういった人を5とした場合の倍、おおよそ10としておきます。
ナントカ小のキャプテンだけは、ちょっとだけレベルが高いので、シュウアク小の人達と同じ2となります。
この二人とザコ選手達を合わせれば、シュウアク小のフィールドプレイヤーとほぼ同等の戦力です。
天才キーパー君ですが、ボールはトモダチ少年と同等の天才なので、これも10。
総合力では、シュウアク小のチーム力30に対して、ナントカ小は20程度となります。
まだまだ劣勢ですが、ここに偶然もう一人の天才少年が転校生として加入することによってなんとかバランスがとられ、ぎりぎりで引き分けとなります。
次にシュウアク中学ですが、この30までパワーアップしたナントカ小を完膚なきまでに叩きのめしたわけですから、一人一人が、ボールはトモダチ少年と同レベルの、10前後の数値を持つものと思われます。
チーム力は約100。
総合力の差がありすぎて、ボールはトモダチ少年が一矢報いるだけで精一杯です。
それを一人一人が上回る、圧倒的な力のナントカ中の戦闘力は120から150といったところでしょうか。
そのナントカ中を一人で蹂躙できるシュウアク高校やナントカ高校は、一人一人が戦闘力100以上のバケモノ軍団です。
総合力、1,000くらい。
平均値にはなっていませんが、気にしないでください。
かなりの差がありますが、まだまだ根性と練習でなんとかなる(?)レベルです。
実際のケンカなんかでも、10人を相手に勝ったからといって単純に10人力があるというわけではなく、タイミングや状況がかなり結果を左右します。
格闘技経験のある大人でもナメプしたあげくに急所にふい打ちをくらえば、素人の子供に負ける可能性がうっすらとあります。
体重80kgの友人は、4歳の少女にこめかみへの肘打ちをくらい、地に膝をつきました。
もしあの時に彼女がたたみかけていたら、友人はもうこの世にはいません。
その上で、少年マンガの場合だと景気がいい方がわかりやすいので、やや(?)誇張された数字だということをご理解ください。
このあたりまでは、なんとか許容できるレベルです。
ここからインフレがすさまじくなってきます。
ナントカ高校が足元にも及ばないシュウアク大学校やナントカ大学校は、平均1,000の総合10,000。
千と万です。
世界観崩壊の足音が聞こえてきます。
高校や大学のトップレベルだけが加入でき、さらなる研鑽を経たFCシュウアクとSCナントカは、さらにえげつない数値となります。
一人一人が10,000前後の超戦闘集団。
チーム総合は100,000以上です。
いちおうプロのはしくれなのだから、大学生達すら軽く赤子扱いします。
別のジャンルでいくと、ざくっとこのあたりがシルバーセイントに相当します。
地域リーグの底で個人の平均値が10,000だから、10近くもカテゴリーが違い、ピラミッドの最高峰であるJ1勢ともなると、もはや一人頭100万以上のスキルを持つはずです。
平均1,000,000、チーム力では10,000,000以上です。
代表クラスともなれば、さらに、その五倍から十倍はいくでしょう。
一人あたりがJ1のチーム力に相当する1,000万パワーを誇る、超トップ集団です。
日本代表のチーム総合力は、約1億以上。
このあたりがゴールドセイントに相当……
さて、本来ならここで最終回だったはずなのに、編集部の意向でやめさせてもらえません。
結果、さらにインフレが加速します。
代表チームを軽くひねるアジアサッカー軍団は、控えめにいっても日本代表チームの三倍から五倍以上のチーム力がありそうです。
アメリカ代表はさらにその倍。
個人で1憶、ついにチーム全体で10憶超えです。
そしてワールドカップ戦のトップクラスなら日本代表の百倍以上の戦力、個人個人が10億以上のトータル100憶ものチーム力があるはずです。
ブラジル代表は総合200憶以上。
ラスボス、メッッシー一人で、日本代表チームの100倍の力を持つ、100憶パワーです。
メッシーだけで、日本代表チーム100チームと渡りあえる戦力で、ゴールドクラス千人分に匹敵します。
もともと予定していなかった展開なので、もうめちゃくちゃです。
というか、作者の人も連載当初は高校編あたりまでしか考えていなかったと推測されます。
連載開始当時、戦闘力がたったの10しかなかった主人公達の最終章での相手は、戦闘力100憶。
このキャラが連載開始当時から存在していたと考えると、10億分の1の力しかなかった主人公達のことなんて、当然のことながら眼中にありません。
チリのような存在です。
それがたったの二年余りで自分を脅かすことになろうとは、誰も思いもしないでしょう。
とにかく、とんでもないことになってしまいました。
ということで。
ではまた。




