その27 《テーマ・アニメ》 『アンデルセン物語のトラウマ回』についてうすく語ってみる②
続きです。
アンデルセン物語随一のトラウマ回、それは、
知っている方もおられるとは思いますが、『なかよしはいつまでも』という回です。
これはすさまじくエグい話です。
自分は幼いころにこの話を観た記憶はなく、きっと小学生くらいに再放送していたそれを観てそう感じたのだと思います。
学校から帰って、再放送のアニメを観るのが日課でした。
できればロボットものがよかったのですが、今やっている番組が終了するまでは、新しいラインナップにはなりません。
他に観るものもなく、しかたなくアンデルセン物語を観ていたのだと記憶しています。さすがに小学生には、水戸黄門や大岡越前よりもマシだったので……
期待はこれぽちもしていません。
今回もいつもどおり、ほのぼの調で始まりました。
そのころの主人公というか、少年役の声優さんは、ぼくドラえもん、の大山のぶ代さんが多かったと思います。
ヒロインの声も、旧しずかちゃんの人でした。
ドラえもんとしずかちゃんの声をした、コマのコマ吉君と、まりのマリコさんのお話なのですが、ドブから拾われてきたコマ吉君は、坊ちゃん一番のお気に入りにして、おもちゃ達のマドンナでもある憧れのマリコさんに近づくために、立派なコマになろうと努力します。
でも努力しても努力しても、マリコさんとはお近づきになれません。
それもそのはず、マリコさんはツバメの王子様からプロポーズを受けていて、近々、鳥の世界に嫁ぐことになっていたからです。
それでもコマ吉君は、マリコさんへの想いが捨て切れません。
ある日、そんなコマ吉君の前で、マリコさんは空の彼方に消えていくように姿を消してしまいました。
空高く舞い上がったまま、マリコさんは見つかりません。
きっと鳥の世界のお嫁さんになってしまったんだな、と考えるコマ吉君でしたが、自分もマリコさんのいる鳥の世界にいけるような立派なコマになろうと、一層決意を固くします。
努力のかいあって、コマ吉君は市長さん主催のけんかゴマ大会で優勝することができました。
今や坊ちゃんの一番のお気に入りとなり、仲間達からの祝福を心から喜ぶコマ吉君でしたが、ふとしたはずみで家の外に飛び出してしまいます。
そして、思わぬところで、マリコさんと再会することになるのですが……
というお話です。
これは衝撃でした。
小学生だった自分が、うわ~、と顔をゆがめたくなるほど、鬱な結末だったからです。
悲しい話や残酷な話なら他にもあります。
でもエグい話という点では、他の追随を許しません。
なんでも、アンデルセンの初恋の人がマリコさんのモデルとかどうとか。
その後再放送もなく、観る機会もなく、自分の中でも忘れ去られていたのですが、ふとしたきっかけでまた観たくなってしまいました。
たぶんホラー好きな自分にとって、これってホラーだよね、と気がついてしまったからです。
無意識のうちにそう感じたのですが、おそらくのきっかけは、ある作品を観たことによって、深層からのフィードバック現象が起こったからだと思います。
以前、アマチュアの方のビデオ作品コンテストをテレビで放送していたのですが、そこで大賞を受賞された「ダイヤモンドの月」という10分くらいの作品を観ていた時にピンときました。
あれ、何かに似てるな、と。
それがこの、なかよしはいつまでも、だったのです。
その関連性に気づくのは、ずっとずっと後ですが。
とにかく、ある日突然、気になって気になって、観たくて観たくて、しかたがなくなりました。
原作を読んだりもしましたが、全然内容が異なっていて、ちっとも自分の中に入ってきません。
気になって気になって、観たくて観たくて、ついにはその回を観るためだけに、DVD-BOXを購入してしまいました。
高い買い物でしたが、それだけの価値はあったと思います。
ゴクウさが声を当てていた、プップクププー、という人形も怖かったです。
実は、子供のころから怖かったのはむしろこっちの方で、当時もこの話を観ていて、そっちの記憶だけが残っていたことを再確認した次第です。
改めて鑑賞した後の感想は、やはり原作に比べてもアニメのアレンジが強烈であったこと。
と同時に、当時の制作スタッフの底意地の悪さを実感しました。
前の回での予告編詐欺も、マドマギレベルです。
あと
みんな、現実から目をそむけないで!
じゃーねー、じゃねえだろ!
気になる方は、ご自分で調べてみてください。
ぜひ多くの方に観ていただきたいお話です。
ということで。
ではまた。




