その22 《テーマ・特撮》 『帰ってきたウルトラマンのお気に入りエピソード・ベスト3』についてうすく語ってみる
帰ってきたウルトラマンのお気に入りをぬけぬけと発表してみます。
第三位から。
第三十一話『悪魔と天使の間に…』
問題作その一です。
宇宙人が化けているとはいえ、正義サイドの人間が子供の姿をしているモノに手をかけてしまいます。
宇宙人の巧妙で悪辣なワナなのですが、こういったパターンで主人公を陥れる系の話は、どうも胸くそが悪くなってきます。
魚眼レンズを使った、青く光る少年の目も夢に出てきそうです。
中身が宇宙人とはいえ、子供の姿をしたものが血まみれでのたくっているのはトラウマシーンです。
ゼラン星人の造形も気持ち悪いですし、プルーマというかわいらしい名前に似つかわしくない怪獣も凶悪ですし。
十一月の傑作選ですか。
う~ん……
第二位ですが、やっぱりあの回ははずせませんね。
第三十三話『怪獣使いと少年』
十一月の傑作選という言葉でくくるのはあまり好きではないのですが、この『怪獣使いと少年』はケタ違いにクオリティが高いです。
問題作その二にして、事実上の一位です。
内容はかなりヤバめです。
文字に起こすと問題だらけになってしまいます。
要するに、タブーとされる問題に、あるかないかわからないほどのささやかなオブラートをかぶせて、ストレートに表現してしまった、という感じです。
怪獣が出てこなくても、話だけでぐいぐい引き込まれます。
オマケにムルチとのバトルは、シリーズ屈指のベストバウトですし。
これ、当時でも、よくオッケーが出ましたよね。
というか、結構大変なことになっていたようですね。
かなり人事に影響を及ぼしてしまったみたいです。
でも、今やありきたりともなったこのエピソードを事実上の一位に推したくなった理由は、本筋とはあまり関係のないちょっとしたシーンでした。
差別問題のテンプレのごとくに忌み嫌われる少年に対して、街の人間達はひたすらつらく厳しく当たり、礼儀正しく訪れたパン屋さんでも冷たくあしらわれて門前払いされます。
それを見ていたパン屋の娘が、少年を追いかけていってパンを手渡します。
誰も信じられなくなっていた少年は、同情はいらないと言ってそれを拒絶しますが、パン屋のお姉さんは、うちはパン屋だからパンを売るのは当然、と平然と答えるのです。
うれしそうにありがとうという少年と、手を振って見送るお姉さんの笑顔が素敵です。
このシーンが好きで、これだけのために自分的な評価を上げてしまっています。
この話の唯一の救いですが、それだけにその後の悲劇が一層引き立ちます。
完成度はピッカいちです。
でも終始陰湿な雰囲気が続く上、出てくる怪獣がムルチという魚みたいで弱そうなやつだったため、子供のころは敬遠していた回でもありました。
ということも踏まえて、子供(自分)向けヒーロー番組の評価としては、上位にくるべき内容とは言いがたいので次点としました。
怪獣もの的な自分的第一位は、これ一択でした。
夕陽をバックに、グドンとツインテールの二大ムチ怪獣と激突する前後編。
第五話『二大怪獣 東京を襲撃』と第六話『決戦! 怪獣対マット』です。
帰りマンといえば夕陽。
そして弱い。
とにかく弱い。
スペクトルマンやアイアンキングと同じくらい弱い!
前編のラストで二大怪獣の挟み撃ちにあい、夕陽を背に受けながら絶体絶命のピンチを迎える帰りマンの姿は、このシリーズの象徴とも呼べる名シーンでしょう。
パニクって、ハヒハヒしてます。
キングマイマイやナックル星人の回も含めて、夕陽のシーンは帰りマンの重要な記号でもあります。
エヴォンゲリオンにもオマージュっぽくリスペクトされているほどですから、その認知度は何をかいわんやでしょう。
ということで。
ではまた。




