その16 《テーマ・アニメ》 『機甲創世記モスピーダのお気に入りエピソード』についてうすく語ってみる
調子にのって、モスピーダのお気に入りエピソードについて語ってみようと思います。
といっておいてなんなんですが、別段、ベストエピソードというものが思い浮かびません。
物語の締めとなる最終話も、終わらせるためのやっつけのような気がします。
しいて言えば、通して見た全話、ということになります。
その中でもあえて、お気に入りをあげるとすれば、要塞突破ブギやライブ・イン・強奪作戦、氷河都市のフォルテを押さえて、
三位には、第18話の『老兵たちのポルカ』を推薦します。
とっても地味な話です。
でも渋い。
ファンの間でも結構人気があるみたいです。
第一次地球降下部隊の生き残りである老兵部隊は、戦うことを諦め、追いはぎのような暮らしに身を落としていました。
彼らは、血気にはやるスティック達の行動を無駄だと笑いとばしますが、ダージリンと呼ばれる仲間の死が彼らを目覚めさせます。
ダージリンは、第三次奪還軍の司令官となった息子の命令を信じて、一人で特攻して戦死してしまったのでした。
仲間の敵討ちのために立ち上がった彼らでしたが、インビットの攻撃の前にはなすすべなく、それでも前線基地を叩くために戦艦での特攻を試みます。
一見、前後のつながりのないボトルショーのような感じですが、彼らの功績によって、レフレックスポイントへの道が多少なりと開かれたはずです。
こういうのがあるから、モスピーダは他のアニメとは一線を画しているのだと思います。
二位は、第23話『黒髪のパルティータ』です。
ラスト前最後の単発エピソードですが、物語上非常に重要なエピソードです。
これも結構鉄板エピのようです。
第三次地球降下部隊と合流するためにレフレックスポイントを目指すスティック達でしたが、その道中で軍の報道カメラマン、シノブと出会います。
黒いバートレイに乗ったシノブは自分の任務に忠実なあまり、味方達がインビットに全滅させられそうな場面でも助けようとせずにカメラマンに徹します。
それが主人公サイドの反感を買うのですが、決して冷徹なわけではなく、インビット討伐のため、残された味方達のために、彼女なりのポリシーを貫いていたのです。
シノブはただ淡々と任務をこなしていただけではなくて、スティック達と過ごした穏やかな日々をポートレートとして残していました。
そこに映し出された彼らの楽しげな様子は、平和を願う彼女の笑顔のようでもありました。
終盤でシノブは、任務のために自ら危険な場面に飛び込んで撮影を続け、命を落とします。
そして、インビットであることが知られ、アイシャも仲間達のもとから去っていきます。
光あふれる平穏な日常のフォトグラフが風に舞う中、ラストシーンで流れる名曲『二人でいたい』が心臓をわしづかみにします。
イエローが思わず口にする、
愛すべき女性が二人、俺達の前から去っていった。なんていう日だ……
は、シリーズ屈指の名セリフでしょう。
そして、お気に入りエピソード第一位なのですが、自分的には第一話の『襲撃のプレリュード』ということになります。
一位なんですが、とにかくせわしい第一話です。
第二次地球降下部隊のスティックの船から、物語は始まります。
予備知識なしに視聴すると、その乗組員達がこの物語の主役サイドの主要メンバーなんだな、と錯覚してしまうほどの充実ぶりです。
そしてスティックの恋人、マリーンの登場と同時にプロポーズ。
詰め込みすぎです。
恋人同士が攻撃部隊の同じチームにいることもおかしいのですが、プロポーズのタイミングはそこじゃないでしょ。
それ以前に、結婚を前提とするなら、攻撃部隊への参加を思いとどまらせるはずです。
返事は後でね、
というフラグを立てるや、彼らの敵、インビットがはかったように襲撃してきます。
案の定、主人公スティックを残して、仲間達は全滅の憂き目に。
失意に打ちのめされるスティックの前に、地球の大自然が牙を剥きます。
火星育ちの彼には地球で見るものすべてが新鮮でした。
雨に驚き、雷に怯えるスティック。
これが雨かー!
と叫びたくもなるでしょう。
レギオスに逃げ込んだスティックが確認したのは、ペンダントに込められたマリーンからの結婚オーケーのメッセージでした。
軍人として、また恋人の敵討ちのために、インビットの本拠地でもあるレフレックスポイントを目指すスティック。
そして彼は、運命の仲間、レイと出会い、レイのピンチにモスピーダとなってインビットを駆逐します。
いろいろご都合主義なところもありますが、とにかく燃える展開です。
ラストシーンでスティックがペンダントを落とし、今は亡きマリーンからのメッセージが、レイの目の前で再び流れます。
果てしない大地を見据え、終わりの見えない孤独な戦いに臨むスティックの強固な決意が、そこからはうかがえます。
そこにかぶさる、主題歌をアレンジしたBGMがイカします。
何度見ても、震えてきます。
とにかく、もりだくさんの第一話です。
単発のオリジナルビデオとして、これで完結していてもおかしくないくらいの完成度です。
第一話なのに、俺達の戦いはこれからだ、感がひしひしと伝わってきます。
これで打ち切りでもいいくらいです。
自分的な傑作アニメの条件として、第一話のテンションの高さがあげられます。
ガンダムもそうですが、エヴァンゲリオンやガンダムシード、サムライ・チャンプルーやスクライドなどがその好例です。
第一話がしっかり作ってあると、後が多少グダグダでも、見続けることができます。
というか、後がひどくても、優れた短編のオリジナルビデオとして、第一話だけ何度も見返したくなってきます。
なので、今でもこの第一話だけ何度も繰り返しで観ることができます。
結局何のひねりもない鉄板三本になってしまいました。
ということで。
ではまた。