その9 《テーマ・映画》 『映画』についてうすく語ってみる
映画もたぶん好きです。
でも実はそれほど観ていません。
子供の頃はテレビで放送される名作やアクションものは、ほぼかかさず観ていました。
たとえつまらなくても、話題作は必ず押さえていたものです。
お金がなかったので、映画館にいくことはまれでした。
社会人になると時間がなくなって、そこに割くだけの情熱を持てませんでした。
実は、それほど好きではなかったのかもしれません。
理由は自分でもわかっていますが、決して映画というメディアが好きなわけではなく、よくできた物語が好きなだけなのだからだと思います。
だから、むしろ見逃したらそれっきりの映画館に出向くより、レンタルやテレビでの放映をこたつに入りながらゆっくり観るのが好きなのです。
これはスポーツ観戦にも言えることですが、スタジアムで直接熱気を感じるより、自宅でテレビ画面の中継を観るのが好きなのに似ています。
夏休みの最高の贅沢は、クーラーのきいた部屋で一日中高校野球の中継を観ることです。
たぶん間違っていると思いますので、さらりと流しておいてください。
間違っているついでに白状しますと、自分は映画館に出向く時に、すでにその映画を観た人や、ネタバレサイトから、ほとんどすべての内容を確認してから挑みます。
先にも書いたとおり、よくできた物語が好きなので、それをリラックスした状態で一つももらさず観ておきたいからです。
後から伏線がどうだったとか、あの時実はああだった、とか言われても、それを確認するためにまた同じものを見直さなければならず、それが自分にとって無駄だと感じてしまうからです。
ビデオの巻き戻しですら、そう感じてしまいます。
加えて、どうなるんだろう、とドキドキしながら観ていると、集中力が低下して、結果大事な部分を見逃しかねないからです。
驚いたり、意表をつかれたりすることに喜びを感じません。
日常でも誕生日会とかで自分が主役になるのが苦手でした。
サプライズをされても素直に喜べず、ああまた何かお返しを考えなきゃ、メンドいな、などと不埒なことをまっ先に考えてしまいます。
実際、心拍数が上がるだけでそれを冷静に受け止める余裕がなく、言わなくてもいいことを言ったりして、むしろ相手をがっかりさせやしないかとヒヤヒヤしてしまいます。
性格的なことなのでしかたありません。
一度観ただけで映画やドラマの内容を詳しく説明できる人って、本当にすごいと思います。
自分にはそれだけの記憶力と集中力がありません。
どんでん返しとかサプライズとかも苦手です。
慌しい中でそれをやられても、ああおもしろかった、とはなりません。
それに本当におもしろいと思えば、後で何十回も見直したりしますから。
初回の衝撃をおもしろいと感じられない自分は、人生の楽しみを一つ放棄しているのかもしれません。
そういったジャンルの集大成でもあるホラーも好きなので、その点はジレンマがあります。
何が言いたかったのかよくわからなくなってしまいましたが、好きな映画を三本あげた時にそれがすべてかぶる人は、この世に一人もいないことは確かでしょう。
そういうのからインスピレーションを受けて生まれた何かが、多くの人の賛同を得ることは不可能でしょう。
ということで。
ではまた。