01 俺を呼ぶ声ギャルばかり
ようこそおいでくださいました。
不思議な世界で大神くんががどうなるのか。
女子高生女神達に囲まれて、ニャトリーには厳しくされて、はてさてどうなることでしょう。
慣れないながらも新しい境地で書きました。
お気に入りのキャラクターがございましたらと思います。
それでは、ごゆっくりどうぞ。
いすみ 静江
俺は、毎日ゲームに明け暮れている自由な人で、家にいても肩身が狭かった。
しかし、ぶらりと呼ばれたように大きな山を目指したが、麓で足を滑らし、悲鳴も上げ忘れる程驚いた筈だ。
ここまでは、記憶がある。
――そこで、目に浮かぶこれは何だ?
「ニャン……」
あ、ピンクのもこもこだ。
「ニャニャニャニャーン」
大神直人さんだって?
俺の名前だ。
俺は、何故かお前の言葉が分かるな。
猫なんて可愛がったことないのに。
ん?
猫……か?
鶏にも似ているな。
「ニャートリトリブー」
ほう、ニャートリーと言うのか。
お前とはもう直ぐ会う予感がしてならないよ。
「ニャニャ!」
何だと。
令和予知が働いだだと?
ふむふむ。
これからの俺には、可愛い子が寄って来るとな。
まさか――。
「大神くん。張り切ろうね」
「大神さん。ありがとう」
「大神様。奇妙よね」
何だ、何だ。
本当に、俺はモテ始めたのか?
桜何とかさんに、菜何とかさんに、紫何とかさんだって?
「直きゅん。好きって言えないじゃん」
「大神殿。割と女だよ」
おー、凄い。
ギャルだ、ギャルだよ。
百何とかさんに、菊何とかさんだって?
まだいるのかな?
「大神直人さまへ。八つある恋の栞を挟んであるの」
「直坊。待ち焦がれるぞ」
秋何とかさんに、水何とかさんとは!
あは、もう笑いが止まらないな。
うーむ。
これは困った。
何れも美少女ばかり。
恐らく、女子高生だろうよ。
リアルに可愛い子の知り合いもいないのだがな。
俺は照れまくりだが、そうもしていられなくなった。
実際に女子の前に立ったら、どうしたらいいのだ?
ギャルゲーなら俺の腕の見せ所だけどな。
「ニャンニャニャ」
これって、ギャルゲーと違うのかよ?
な、ニャートリーよ。
俺って、結構可愛い生き物好きだよ。
迷子になったのかい?
「ニャーン」
啼き声一つとっても神々しく澄んだ空気の感じがするな。
ニャートリーは、不思議そうにこちらを見つめている。
お、羽ばたいて行ったよ。
遠く。
遠い空に故郷を求めるかのように。
「俺もどこか遠い故郷を目指して旅をしていたのか? それともさっきまでのゲームの世界だろうか」
もう一度空を見上げる。
ねぐらを探しているのか。
ニャートリーは深く空を掘った。
これは死の世界かパラダイスかと問いかけるように。
俺は旅のゲートを開ける前から、旅愁を感じてしまう。
「ニャンニャー」
ここが地獄だったとしても、見上げてみろよ。
――ピンクの毛玉が飛び回って、愛らしい天使みたいだな。