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3 サイバー攻撃を受けてますよ。

緊急事態が発生した。

外に止めてある車を乗っ取ろうとしているらしい。

まずは、敵の正体を掴まなければいけない。


私はまず、研究所のネットワークに有線で接続する。

緊急事態中は外部から無線で接続するのは不可能だからだ。

そして、インターネット上からネットワーク関係、

プログラミング関係の知識を入手。

一瞬で私は天才的ハッカーレベルの知識を獲得した。


そして、研究所のネットワークから車のシステムを完全に管理下に置く。

次に、ネットワークの接続部分をポートと言うが、

現在解放してあるポートを把握する。

解放してあるポートからのデータを、車ではなく研究所ネットワーク内の

ダミーポートへと迂回、隔離する。これで、ひとまずは安心だ。


次に、私は頭の中で考えただけで高度なプログラムを組み立てていく。

そう、迎撃用のプログラムを一瞬のうちに作り上げたのだ。

そのプログラムを隔離エリアに転送し、敵の情報を入手するように命令する。


「博士、攻撃はダミーのポートに誘導して隔離しました。

システムには影響ありません。

犯人と思われるサーバーを外国で見つけました。どうしますか?」


「そうか、ありがとう。相手にこちらの情報を一切与えないように注意してくれ。

気づかれないように。可能な範囲で相手の目的を調べてみてくれるか?」


「わかったわ。」


私は、迎撃用プログラムに相手ハードウェアの情報を入手する様に命令した。

早速、相手の情報が送られてきた。

それによると、相手はスマートフォンだった。


おかしいな、こういう場合相手は常時接続の環境が望ましいので、サーバーを用意してくるものだが。まあ、たしかに、スマートフォンも着信のために電源は常に入った状態だが。


私は不審に思いつつも、相手のスマートフォンのすべてのポートに

確認用のデータを送信させた。普通は外部からのアクセスは不可にするのだが、

普通に開放されているポートを発見した。データーベース操作用のポートである。

初期状態のまま放置されていたのかもしれない。

罠の可能性もあったのだけれど、試しにデータベースを新規作成してレコードを

一つ追加してみる。うん、普通に追加された。


犯人のレベルは低いのかもしれない。今度はデータベースに画像に見せかけた斥候プログラムを送って保存させてみる。このプログラムはデータベースが保存する際に自動的に実行されるように細工をしてある。しばらくすると、仕込んだ斥候プログラムがポートを開き暗号化したデータを送信してくる。この送信データはログに記録されることもない高度なものだ。


受け取ったデータを復号化し、調べてみると驚くことが書かれてあった。


「博士、敵の目的がわかりました。どうやら、この国の自動車を乗っ取り、

自動運転機能で全国各地で無差別に事故を起こすというテロが目的のようです。」


「な、なんじゃと!」


博士は驚き、目を大きく見開いた。

本当に、そんなことになれば大事である。

しかも、すでに車へのハッキングは始まっているのである。


「これは、何としても止めなければいけない。

まどか、テロを止めさせることは可能か?」


「すでに、どのくらいの車がハッキングされて動き出しているのかが

わかりません。早急に相手のプログラムを強制終了させます。

よろしいですね?」


「うむ、頼む。」


こうして、私の初めての戦いが始まろうとしている。


目が覚めてから1日目で、争いに巻き込まれるってどんだけ不運なのだろう。

しかし相手はテロリスト、手加減はしない。


私は、方針を決めた。

第一目標、テロリストが新たに攻撃をできないようにする。

これは、現在の攻撃してくる相手のプログラムを強制終了させればいいかな。

第二目標、相手の情報を公開して社会的に抹殺する。

これは斥候プログラムに相手の個人情報を入手させれば良い。

こんなところでいいかな。


では、早速行動開始する。

まず、斥候プログラムに攻撃してくる相手のプログラムの強制終了を試みた。

しかし、一度強制終了させてもすぐにまた再起動した。

これではキリがない。


仕方がないので、相手のプログラムを解析することにした。

メモリー上のプログラムを直接改変するのだ。


まずは攻撃の経路を特定した。

自動車メーカーにハッキングしてデータベースにある車両に攻撃しているようだ。

そこで攻撃目標を自動車メーカーから、とりあえず我が国の防衛省システムへ変更してやる。

これで、次回攻撃を実行すると知らない間に国を攻撃してしまうというわけだ。

これでもうハッキングはできなくなるはずだ。


「博士、プログラムの強制終了は失敗したので、

仕方なくプログラムを改変し攻撃目標を我が国の防衛省へ変更しました。

これで、次回から自動的に我が国の防衛省に攻撃するようになります。」


「なんだと・・・、しかし、確かにそれは有効かもしれん。。

これで、ハッキングに気付き次第テロリストの存在が明らかになるか。

後は国に対応を丸投げすれば良いか。」


うんうん、博士も少し気が楽になったみたいだ。

次は、相手の詳しい情報を公開してやらないとね。


しかし、私はテロリストが自分の情報をこの端末に残すはずがないと思っていたので、相手の情報は何も出てこないのではないかと考えていた。念のため、先ほど侵入させていたこちらの斥候プログラムに命令し個人情報を探るためのコマンドを送ってやる。しばらくすると、暗号化された相手の個人情報が送られてきたようだ。


「博士、相手の個人情報が残っていたようです。

今、斥候のプログラムから情報が送られてきました。今から解析してみますね。」

「そうか、それはよかった。頼む。」


そう言って私は送られてきた暗号文を復号し、その内容を見た。


なんだこれは。


その中身は、いくつかのフォルダーが含まれており、

どうやら、ドキュメント関係の書類が含まれているようだ。


文書タイトルは、【パスワード】・・・?

開いてみると、中にはいろいろなサイトで使用されていると思われるパスワードが、何と暗号化もされずにそのまま書かれている。これは何だ?忘れ防止の為、書類としてパスワードをまとめて保存しているのか?ネットに繋がっている端末に暗号化もしないでパスワードを保存しておくなんて、ありえないだろう。なにか、おかしい。テロリストがこんなミスをするはずがない。


気を取り直して、私は他に手掛かりはないか探す。

いくつかの書類を目で追っていくと、ある書類のタイトルが目に止まった。

そのタイトルとは、【Emailアドレス】だった。。


ここまできて、私は何やら嫌な予感が頭の中を駆け回る。


私は、急ぎヒューマンブックというSNSにアクセスし、

メールアドレスとパスワードの欄に今入手したばかりのパスワードと

メールアドレスを入力しログインボタンをポチッと押してみる。


なんということでしょう。

あっさり、ログインできてしまったではないか。


そこには、女子大生と思われる人物の紹介が表示されていた。


視界右隅の青いウィンドウに表示される、女子大生と思われる写真を見ながら

私は途方に暮れていた。

どう考えても、この女性がテロリストだとは思えない。

パスワードの管理体制。同じくメールアドレスの保存方法。

データベースの初期設定のまま放置。

どれをとっても、初心者としか思えないのである。


私は嫌な予感に頭を支配され、この女子高生のスマートフォンへ送り込んだ斥候プログラムを使って攻撃を中止する様にプログラムを改変した。

しかし、すでに何度かは我が国へ攻撃をした後だったようだ。

我が国からの逆探知アクセスも確認した。

こんな事になるなら、始めから攻撃を中止する様に改変するんだった。

我が国へ攻撃させる方が犯人が早く逮捕されると思ったのだ。


ふと、ひらめいた。

私は彼女のメールクライアントを調べた。

そこには予想通りウイルスが添付ファイルとして送られていた。


「博士、大変申しにくい事なのですがぁ。」

「なんじゃ?」


「犯人と思った相手は、ただの初心者の女子大生と思われます。間違えちゃいました。」

「なんじゃと?ちゃんと、発信元を確認したんじゃなかったのか。」


私は、あらかじめ調べておいたことを報告する。


「どうやら、メールを不用意に開いた事による、ウイルス感染の可能性があります。

しかし、どのウィルスパターンにも該当しない新種のようです。

すでに、攻撃は中止させましたが、我が国に何度か攻撃した後でした。」


「くっ・・、まずいな。国が彼女をほっておくとは思えない。

彼女を助け出す必要があるぞ。どこに住んでいるのだ?」


「えーと、ip6アドレスから推測すると、

我が国から東にあるゴル・カントという国に住んでいます。」


ip6アドレスと言うのは、パソコンのインターネット上の住所の様な物だ。

ゴル・カントは、我が国ニュージリア国から東に飛行艇で数時間の所にある国だ。


「なにぃ・・・、よりによってワシの出身国じゃないか。。

仕方が無い、ワシはパスポートとチケットを手配するから、お前は旅行の準備をしてくれ。」


私は、軽く頷いて肯定する。

研究所のネットワークから有線を抜き、服や旅行に必要な小物などを揃えて鞄に入れる。

しかし、武器などは見当たらない。

この世界の武器はまだ火薬を使用した銃と呼ばれる古典的なメカニズムの物が使われている。

さすがに、これから敵と戦うかもしれないのに武器も持たずに行くわけにはいかないだろう。


「博士、武器は何処にしまってあるのでしょうか?」

「・・・、そうかまだ知らないのだな。武器はお前自身だ。」


「はぁぁぁ?」

「その内、詳しく教える。服と歯ブラシくらいあればいいぞ。急げ。」


何を言っているのか?私が武器だと?

これは詳しく聞く必要があるようだ。私は、用意ができると博士の元へ近寄っていく。


「博士、準備ができました。えーと、お金などは博士が持っているのですよね?」


「ああ、多少は電子マネーとしてもってある。大丈夫だ。

と言っても、ほとんどお前が自分で稼いできたお金だけどな。

それも忘れているか?」


何を言っているのか、このオヤジは。。


「そうなんですか?では、何故私のお金を博士が持ってるのよ・・・?」

「・・・、お前に渡していると異常に増えてしまって、

あらゆる所から目をつけられるからだろうが・・・・。」


「・・・。」

「まぁ、その話も後だ。用意ができたなら出発するぞ。」


「はい。」


納得がいかないが、とりあえず出発することにしよう。

ここより東の国、黄金の国と言われる国へ。


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