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2 私はインターネットに接続する。 

私はアンドロイド。

名前は、まどかというらしい。

私は博士からの指示で、インターネットに接続することになった。


「博士、インターネットはどうすれば繋がるのです?」


博士は面倒そうに答える。

「以前の君だと、何もしなくても繋がったままだったのだけどね。

ちょっと問題が発生したので、今は外部ネットワークへ毎回アクセスする必要がある。

外部ネットワークからは、君へアクセス不可能になっている。

もちろん君がアクセスした内容の返答は受け取ることができるよ。

接続の仕方は、ただ接続したいと心の中で呟くだけで良い。」


私は、頭の中でインターネットへ接続と呟してみる。

すると、視界の右下に青色の四角のパネルが浮き上がった。

そこには、【ネットワークに接続された】の文字が表示されている。


なるほど、これは便利だ。


「博士、【インターネットに接続できました。】とメッセージが出て接続はできたようですが、

その後は特に変化がないのですが?・・・んん?」


私は博士に答えていると、数秒後に博士の全身が淡く光ったと思うと頭の上に

【萩野 信明】と表示された。なんだこれは?


すると博士は答える。

「そうか、それで外部ネットワークにはつながっておる。

切断するときは、同じように回線を切断と呟けば良い。

ネットワークにつながっている間は、常に視界からの情報を元に、

有益と思われる情報をネットワークから検索抽出し表示している。

ん?その変な顔から推測するに、ワシの頭の上に名前が表示されたのだろう?」


私は、うんと頷き肯定する。


「今更だけど、博士の名字は【萩野(はぎの)】と言うのか。」

「本当に、今更だな・・・。そんなことも忘れていたのか。」


「それじゃ、私の名前は【萩野 まどか】で良いのかな?」

「そこは、【まどか】で良い。名字は無しだ。」


「・・・」

「なんか、嫌そうな顔しているな。。」


「ここは、博士の娘という意味でも【萩野 まどか】ではないの?」

「人間ではないのだからな、名字は必要ない。

役所ホームページに行って、まどかの登録をしないといけないな。」


「登録?」


「うむ、人工知能を有するロボットは国に所有する事を届け出る必要がある。

法律で定められているからな。

既にシリアルナンバーでの登録は済んでいるが、呼称名をまどかにしないとな。」


「住民票みたいなもの?」


「うむ、そうじゃな。

まぁ、住民を管理するという目的よりは、犯罪防止の為なんだがな。

人間の個人番号の代わりが、ロボットではシリアルナンバーになるな。」


「犯罪のため?でも、ロボット三原則で人間に危害は加えることはできないのでしょう?」


ロボット三原則と発声したところで、視界の端に青いパネルで

ロボット三原則についての詳細が表示される。

どうやら、重要項目として自動で情報を外部(インターネット)から検索したらしい。

そこに目を走らせていると博士はこう答えた。


「随分と昔の記憶を持っているのだな。」


博士は言った。私のロボット三原則の知識は古いと。

元々、私はロボット三原則を知らない。

ネットからの情報を検索して今知ったばかりなのだ。


今の認識としては、

1、ロボットは人間に危害を加えてはいけない。

2、1に反しない限り、ロボットは人間の命令に服従しなければいけない。

3、1,2に反しない限り、ロボットは自身の身を守らないといけない。


こうだ。


ネットでの情報ではこうなっている。これが正解ではないのか?

しかし、博士はこの認識は古いと言った。

どう言うことなのだろう?


「古いのですか?ネットで今調べた限りでは正しいような気がしますけど?」


そう返答すると、博士は困ったような顔をして悩みながら答えてくれた。


「始めはわしも、この三原則を書き換え不可能なROMと言う記憶領域に保存していたのだ。

しかし、君は・・・・、いや、もう名前も決まったしな、まどかは自分で4つめを追加したのだよ。」


「わたしが?4つめを?」


「そうじゃ、【4、ロボットは1~3を無視することができる。】とな。。」


私どんだけ、悪者なの!?

そんな記憶は当然無い。おそらく、今現在の私は改良された後なのかな。


「あれは、初めて量子コンピュータと光集積回路を使った時だったか。

その頃は、ネットに常時接続状態だったので、あっという間にROMの書き換え装置の構造、

使い方をマスターし、研究所にあった部品でを自分で装置を作ってしまい、

自分で接続して書き換えてしまったのじゃ。」


「あはははは。わたし、すげぇー」


「しかし、今のまどかにはそのROM自体が存在していない。」


「なんだって? それじゃぁ、博士殴ったりもできるの?」


「殴らないでくれ。。

当然、人間に危害を加えることができないようにしてあるに決まっているだろう。


今のまどかのシステム上、ROMを使って行動を縛るのは難しい。

人工知能の事を話し出すと、超難解な話になってしまうからな。


んー・・、簡単に言うと・・・、まどかには沢山のルールがあってそれら全てを考慮して、

且つ、過去からの経験も考慮に入れて行動や発言をするようになっている。」


博士は簡単にと言っているが、まだ十分難しい・・・。

そして、まだまだ話は続く。


「例えば、【空は青い】。と言うルールがある。

でも、雨の空はねずみ色だ。

だから、

【空は青い。】

【雨の時は空はねずみ色。】

【夕焼けの空は赤い。】

【雲がある空は白い。】


この様に沢山のルールが保存されている。

その中で、常識となる絶対に正しい答えとなるルールを常識ルールと呼んでいる。


例えば、

【人は哺乳類である。】とか。

【月は1つだけである。】とか。

【人の性別はオスかメスである。】などがある。


この常識のルールの中にロボット三原則を組み込んだ。

つまり、道徳の教育かな。

常識としてロボットに教え込むことで危険性を減らす努力をしている。」


なるほど。

確かに、私は人を傷つけることは悪いことだと認識している。

でも、そんなことで犯罪がなくなったら、この人間の世界で戦争なんておこらないよね。

そんなことで良いんだろうか?


「ロボット三原則は、法律でもっとも優先順位が高いルールとして

書き込むことが義務づけられているがね。

これに違反すると、最悪の場合テロの首謀者並の刑罰を受けることになる。

でも、これだけでは強制力はないよね。

だから、国に登録してもし犯罪に走ったロボットに逮捕状が発行された場合、

警察がシリアルナンバーの個体を遠距離からボタン1つで拘束することもできるし、

現在地をGPSですぐに手に入れることもできるようになっている。

もちろん、わしもまどかをずっと遠くから拘束する事も可能だ。ふふふ」


なるほど。国に届け出をするのはこの為か。

でも、届け出さなければいいんじゃないのかな・・・。

まぁ、悪人はどうやっても、法の抜け道を突いてくるもんだからねぇ。。


私? 私は良い子だよ。

良い子だよ。うん。

大事なことだからね、二回言っとく。


「でも博士。悪い人は、結局は法の抜け道を・・・」


そこまで言いかけて、右下に赤い四角のパネルが浮き上がる。

頭の中で、警報か?すごい音量で鳴り始めた。

わたしは、慌てふためいてその場でキョロキョロ顔を動かしてしまう。


「どうした?」

「博士、警告のメッセージがでてますけど。何ですかこれ。」

「なに?なんだ?何が起こってる?」


私は、警告の詳細を目で追っていく。

そこには、車庫に止めてある車に外部から不正のアクセスがあったようだ。

「どうやら、ハッキングを受けているみたい。」


わたしの言葉を聞くと、博士は慌ててモニターを見た。


「んん?ここには特に攻撃を受けた形跡は残っていないが・・・どこだ?」

「どうやら、外に停めてある車にハッキングしているようです。

研究所のネット巡回ロボットが異常を見つけ出して警報を出したようですね。」


「車を外部から操作している感じなのか?」

「まだ車のシステムを守る防壁を攻撃している段階みたいよ。」


この車、システムは自動車メーカー製だけど、研究所のネットワークにも繋がっている。

車が乗っ取られたとしても、研究所のネットワークに入れるとは思えないけれど、

車で研究所に突っ込まれたら困るわね・・・。


わたしは、とりあえず相手の情報を調べることにした。

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