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7/7

エピローグ

これにて本作は、完結です。

流石に『なろう』投稿では、初夜シーンは書けませんでした。orz


H30.12.24 一部削除

冒頭部の状況叙述シーンがちょっと引っ掛かりそうでしたので削除しました。

 俺の寝ている寝台の掛け布団だが、俺以外の膨らみがある。

 つまり俺の隣で、三田雪那(みたゆきな)が寝ているのだ。

 

「雪那は素晴らしかった」


「九朗お義兄(にい)さまも素敵でしたわ」


 俺が呼びかけると、雪那も答えてくれる。

 こんな日が俺にも訪れることになるとは……感無量だ。


「なあ雪那、どうしてクリスマスイブに俺の元に来てくれたんだ?」


「九朗お義兄(にい)さまが下げられた特別な靴下は、明らかに求婚の意思が()められておりました。わたくしたち【お嬢サンタ】には(わか)ったのです。あの時、わたくし以外にも二名の【お嬢サンタ】が空を駆って接近しておりました。偶然にもわたくしが最短位置に居りましたので、競争を制することが叶ったのですわ」


「そうか……通常ではクリスマスプレゼントを貰うのに高級靴下なんか下げないものな。では、『隷属の(しずく)』の影響は如何(どう)だったんだ?」


「九朗お義兄(にい)さまはえっちですわ。あの時、高級靴下に(よこしま)な魔法や媚薬が振り掛けられていることに気付いたのは、靴下を履いてからでしたわ。確かに媚薬の影響で幾許(いくばく)かは発情して仕舞いましたが、意志の力で抑え込みました」


「俺が目覚めた時、雪那は泣いていたじゃないか」


「あれは競争に敗れた【お嬢サンタ】たちから、罠に掛かったわたくしのことを悪し様に(ののし)られて悔し泣きをしていたのです」


「本当か!? 俺には絶望して黄昏(たそがれ)ていたようにみえたが……」


「そ、そんなことはありませんわ!」


「本当か?」


勿論(もちろん)、本当ですわ! わたくしは初めから九朗お義兄(にい)さまのことが気に入っておりました」


 妙に力説する雪那だが、俺の方に向き直ったことで掛け布団の隙間から乳房の一部が(のぞ)いているが、気付いていないようだ。

 豊かに膨れた雪那の乳房は、とっても良いものだった。

 結果として、俺の彼女になったのだから深く追求することは、野暮というものだろう。

 俺は雪那の説明に同調することにした。


「では、雪那は初めから俺のことに好意を持っていた訳か」


「はい、雪那は九朗お義兄(にい)さまと添い遂げたいと考えておりました」


 それから雪那は、自身の育った高位次元でのことを話してくれた。

 高位次元では、男女の出生比が一対九程度と極端なアンバランスであるという。

 つまり高位次元では、女性が有り余っているらしい。

 しかも大半の女性は、美少女や美女であるらしい。

 俺が絶句したスネグーラチカの絶世とか傾国とか形容されるべき美貌も、一山幾ら程度の凡庸(ぼんよう)なものだったらしいのだ。

 そんな(いびつ)な世界なので、男性たちは(あわ)れな女性の救済という名目の慈善事業としてでハーレムを開くのだという。

 中にはサンタクロースのように、一人の女性と添い遂げている聖人君子も存在するらしいが、現実問題として一夫一婦では女性があぶれてしまう。

 だからハーレムを開いて一夫多妻なのはしようがない側面もあったようだ。

 スネグーラチカの母親は、とある有力者の第十三夫人だったそうだ。

 そんな彼女でも、男性のお渡りがあってスネグーラチカが生まれた訳であるが、彼女たちに対する父親の態度は冷たかったそうだ。

 そして母親が病を得て死の床に就いた時でさえ、父親は現れなかったという。

 だからこそ、スネグーラチカは自分だけを愛してくれる殿方に嫁ぎたいと願ったらしい。

 しかしながら、自分だけを愛してくれる男性を高位次元の世界で見つけることは困難なことだった。

 だからこそ、サンタクロースが募集した【お嬢サンタ】のバイトに申し込んだのだという。

 【お嬢サンタ】は大変人気の高いバイトであり、競争率も高いらしい。

 そんな狭き門を(くぐ)り抜けてスネグーラチカは、【お嬢サンタ】になったのだ。


 そして俺の意図を見抜き、枕元に下げた高級靴下を目標に空を駆けて遣って来てくれたのだ。

 俺の雪那に対する想いが一層深まる。


 俺は三田雪那を愛し、大切に(きずな)を深めていこうと誓ったのであった。


お読み下さり、ありがとうございました。

皆様も良いお年をお迎えください。


1.登場人物紹介

 美田(みた)九朗(くろう) 19歳 俺は……だ。

 大日本帝国大學の文学部哲学科の二回生。

 理屈っぽい性格らしく、チタンフレームの眼鏡を掛けたクールな容姿なのだが、女性にはモテない。


 お爺さん

 九朗の祖父。古書などの虫干しを命じた人物。


 スネグーラチカ(Снегурочка, 雪娘) 16歳 わたくしは……ですわ。

 吹雪のような長いストレートの銀髪に藤色掛かった銀目の美少女。

 【お嬢サンタ】として人界にてクリスマスプレゼント配りをしている途中で、九朗の仕掛けた罠にかかり彼の所有物となる。

 嬉し恥ずかしの聖なる『契約の初口付け(ファーストキス)』を経て、人類に堕ちることとなった。


 三田雪那(みたゆきな) 16歳 わたくしは……ですわ。

 流れるような黒髪と茶目の美少女。

 正体は人類となったスネグーラチカであり、九朗の再従妹(はとこ)にして許婚(いいなずけ)と世界が改変された。

 何だかんだで相思相愛のふたりである。


 サンタクロース

 クリスマスイブの夜に、良い子にしていた子供たちにプレゼントを配ってまわる聖人。

 配布対象の激増に伴う業務多忙を緩和するために【お嬢サンタ】制度を考案した人物でもある。


2.その後のふたり

 その後、九朗は雪那と無事に結婚し、一男一女を(もう)けたが、新婚のごとき熱々の関係が長い間続いたという。

 雪那の美しさは群を抜いており、アイドル事務所からの勧誘などもあったようだが、彼女は一笑に付したという。

 そして彼女の通っていた女子高校では、ファンクラブが結成される事態となっていたらしい。

 一方、雪那という美少女の彼女を得た九朗は、周囲のから(ねた)まれたり(そね)まれたりといった初めての経験をすることになったようだ。


 何事にも良い面と悪い面があるというのが、九朗の得た教訓でしょうか。



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