事実は妄想より辛苦なり
なんか一つ前の話で終わっては俺の終わらせ方が下手くそなのが改善しないなぁと思って、蛇足つけました。
糖分で殴りながら、謎の疾走感もつけたいなと思って、『甘さと速さで駆け抜ける』をコンセプトにこれから書こうと思っています。
投稿ペースがゆっくりなのはツッコまないでください。
例の告白騒動(?)から一週間が明けた。
アレ以来、特に二人の仲は良くなったり悪く(?)なったりを繰り返していて、普段と変わらないような日常が続いているんだけど。
その様子を遠巻きに見つめているであろう母親からのプレッシャーが日に日に強くなっているように感じたのは、俺の気のせいでしょうか。
今朝も、朝飯を食っているときに
『祥子ちゃんとはまだ何もやってないの?』
って突然のド直球が飛んできたからな。
怒られるどころか、むしろみそ汁を吹き出さなかったのを褒めて欲しいレベル。
「う、うん……。」と正直に答えた後は、「そう……。」と言ったきりその後特に追及してくることはなかったが、その間が逆に怖すぎて普段よりも朝食のスピードを落として食う羽目になった。
『据え膳食わぬは男の恥だろうが!!』と言わんばかりに、時折強い視線を送ってくるような気がして、何も悪いことをしていないのに謝りたくなってくる。
いや違うから!!別に俺がヘタレなわけじゃなくて、俺的にはそういうのはまだ早いと思ってるだけだから!!!
……。
うーん、これはヘタレ!!!wwwww
こう書くと確かに分かりやすいな。
どうみても俺に非があるのが一目瞭然だ。
いやいや待てやっぱりおかしくないか?
『最近の純愛エロゲーはキチンとセックスの前に初デートを挟むパターンが多くなっていてつまんね』(ソースは祥子、この後めちゃくちゃぶん殴った)
というのに、俺たちは二次元の世界をも飛び越えてしまうのか!?
それとも俺の貞操観念が固すぎるのか。
あるいは、『どうせ好き合ってるのなんて付き合って間もないころだけなんだから、今のうちに盛り合っておきなさい』
という母親からの隠喩的なメッセージなのか!?
俺の母親なら確かにやりかねないが、それはそれで毒親過ぎるっ!!!!
……。
そんなくだらないことを考えていると、あっという間に午前の授業を終えるチャイムが鳴り響いて、俺がせっかく途中まで綺麗に書いていた板書は俺が写し終える前にその姿を消してしまった。
昼休みに突入したので、いつものように祥子と向かい合ってお弁当を食べる。
祥子の方はともかく、俺はあまり人前でイチャイチャするのが好きな方ではないので、その辺は祥子も分かってくれている、らしい。
らしい、と付け加えたのは、最近ちょっとその様子が崩れてきてるから、なのだけれど。
「そういえば、今日の告白ってどんなの~?」
「いや、そんな『今日のお弁当ってどんなの~?』みたいなノリで聞くことじゃないからな?
しかも今日の告白ってなんだ、普通告白に2度目はないからな?」
まあ、俺たちにはあったかもしれないが。
でもあれは、告白というよりもカミングアウトの方が近いよなぁ。
つーかカミングアウトって聞くと何だかコイツのとんでもない趣味を聞かされそうで怖いなぁ……というところで俺は考えるのをやめた。
「えー、でも罰ゲームの内容は絶対だよ?」
「罰ゲームで告白は本当に人にトラウマを植え付けるからやめろ」
実際に見たことがあるわけじゃないが、漫画や小説でそのシーンを初めて見てしまった時のその散々たる心理描写は俺の心に深く傷を残してしまった。
未だに俺の人生の中のトラウマベスト3くらいには入ってくるだろう。
祥吾君に過去いじめられたアレはなんか風化したので殿堂入りということで。
「いや、そんな嫌がらせじゃなくて、私に告白してくれればいいんだけど……。
ダメ?」
祥子の方もあざとい上目づかいで問いかけてくる。
あざといと分かっているのに、その小さな瞳を純粋にこちらに向けられてしまうと、俺の脳内も思わず判断能力の低下を引き起こし、その可愛さの前に正常ではいられなくなる。
「!*>?+}¥・「:「……ダメ」
「お、おう!?に、日本語を喋って!?」
思わずガタッと身を乗り出しながら、神速で『分かったいいに決まってるだろむしろさせて下さい』と9割ほど言いかけたところで、ここが学校だったことを思い出した。
周囲からの少し冷たいような、それでいて生暖かいような視線が俺に突き刺さり、顔を熱くしながらゆっくりと元の態勢に戻るが、その元凶は目の前でまるで全く悪気もなくニコニコしてやがる。
よっぽど俺に恥をかかせたのが嬉しいんだろうか。秒で許した。
いかんな、流石にそろそろ俺もバカップルの仲間入りを果たしてしまっていることを自覚しなければならない頃合いだ。
『リア充爆発しろ!!』と本気で考えたことはないが、
例えば登校中の道すがらで他のカップルがイチャついていた時なんかは『面倒くせ~なコイツら』と思いながらその様子を見ていた記憶があるので、今度は自分たちが他の人にそう見られないように気を付けなければならない。
まあ、俺としても人前でそんなニヤつくのは嫌なので、その辺はキッチリとするようにコイツにも心掛けさせておくか、というのは建前で。
祥子のカワイイ姿は俺が独占したいに決まってるだろバーカ!!!!、というのが本音である。
可愛いのが悪いから仕方ないね。
「あ、そこ、ご飯粒ついてるよ?」
「え、どこ?」
お弁当を食べながらそんなことを考えていたら、思わぬミスを祥子に指摘されてしまった。
顔に神経を集中して探してみるが、なかなか見つからない。
このままでは、俺が人生で一度はやってみたかった『しょうがないなあ。ご飯粒、とってあげるねっ!』のくだりをやってくれるに違いない。
本当はこんなの周囲からすれば目に毒なんだからこんなこと止めた方がいいに決まってるんだけど、俺の方もこれを一度はやってみて欲しかったから断れない。
み、見つけられない方が悪いから仕方ないよねっ!!という謎ツンデレの言い訳をしながら、俺の目の前では夢のワンシーンが繰り広げられようとしている。
すまんみんな、俺の欲望のために許してくれっ!
「ちょっと待って、今からつけるから」
「ふ~ん」
ぴとっ、という感触とともに、ご飯粒の粘っこくてすこし痒いような感触が頬に残った。
どうやら、祥子は自らその人差し指で俺の頬にご飯粒を丁寧に付けてから、祥子自身がつけたはずのそのご飯粒をとってくれるらしい。
おっと、なるほどなー。
祥子の場合だと、ご飯粒を付けるところからやってくれるのかー。
初心者にも優しい設計だねっ!
んな訳ねえだろうがあああああああぁぁぁ!!!!!!!??????
「はい、取れた☆」
もう一度その人差し指が俺の頬を触って、今さっき彼女がつけたばっかりのそのご飯粒を丁寧に取ってくれた。
そしてその後、周囲の視線を気にしながらその人差し指ごと口に入れてくれた。
もしこの一部始終の最初の5秒間を見逃していたなら、あたかも本当にこのイチャイチャが行われたのではないかと錯覚するほどには、彼女のその動きは流暢だった。
そう、最初の一歩を除けばまさに俺が夢見たシチュエーションだ。
いや、最後にその指ごと口に含んでくれるなんて思ってもみなかったから、俺の理想以上の行動を彼女はとってくれたことになる。
だというのに……。
だというのにどうして俺の心はこんなにもときめかないんだろうか。
「いや、『取れた☆』じゃなくてな?」
なんというか、なんというか、もう。
残念過ぎる……。
俺は何もしていないはずなのに、どうして俺はこんなにも疲れた気分なんだ。
さっきの授業中に考えていた、『俺はなぜ、祥子に手を出そうと行動に移せないのか』の答えがここに詰まっている気がする。
お前なぁ……。そういうとこやぞ。
俺は心の中で心底ため息をつきながら、それと同時にこんなことがあっても未だにコイツを好きでいる自分自身にも呆れて、再びため息をついてしまった。
はぁ~あ、本当になんでこんな奴が大好きなんだろうな、俺は。
目の前で未だにニヤニヤしながら幸せそうに弁当を食べている恋人の姿を見ながら、コイツのことが好きすぎる自分にもビックリしていた。
いや、やっぱり絶対俺の方が好きだと思うんだけどなぁ……。
やっぱり約束を守れない。
むしろ更新日に登校できたのがレアになりそう。本当になんでなんや……。
こんな体たらくでは次回更新日を書くのもおこがましいですが、プロの方曰く「更新日を書いておかないと、読者はついてこない」らしいので、更新日は乗っけます。
今度こそ、今度こそ間に合わせますからっ!!!!
次回は7/12までに投稿します。
それでは、今回もありがとうございました!!!