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無自覚な誘惑-3

彼女が帰り道に発した一言で、俺の甘い幻想は一気に消え去りました。


「は?」


は?


本能と感情が綺麗に一致して、もの凄い速さで祥子に詰め寄っていく。まだ薄く残っている洗剤の匂いと祥子の甘ったるい匂いが混ざって、制服から発される匂いがすんごい俺好みのものになってるのは秘密です。これは清楚系ですわ。


「え、お前本当に何も努力してないの?おかしくない?ネットで調べたけど女の子めっちゃ肌のケアとか頑張ってるらしいじゃん?」


美しくなるために女の子が頑張ってることとか俺めっちゃ調べたよ?なんで男がこんなの調べてんだって途中でとてつもない虚無感に襲われてやめたけど、それでも祥子を褒めるための準備はしてきたはずなのに?この仕打ち?酷くない?


「いやー、全然。なしてそげなこと調べようとしたとね?」


その様子を一切悪びれようともせずに、俺の二の腕に顔をうずめながら祥子が純粋無垢な眼差しを浮かべて見つめてくる。そこに小首をかしげて可愛さの追撃を加えてきた。くらりと目眩がしそう。


あぁ~もう可愛いから許す!!!



「いや、うん。あのー、授業中にな?俺が祥子を溺愛しすぎてるという問題に関してずっと考えてたんよ。んで、今特に何もしてないって言われて全国の女性陣に謝れと言いたくなったけどカワイイから許しちゃう俺甘すぎだろ……←今ここ」


首元まで真っ赤になってるんだろうな……と感じながら、めいっぱい顔を逸らして答える。


近くに人の気配がなくて助かった。男の照れ顔なんて誰得だよホントに……。


「あ~……うん、どうも……」


GW中に何度も密着したりその声を間近で聞き続けたからなのか、最近になって祥子を見ていなくとも、その声音だけで祥子の今の気分というのは分かるようになってきた。



それで、今の気分はというと……



そっか、これ以上ない程幸せなのか、良かったね……。


以前、祥子に『私をこれ以上義明に依存させてどうするの!?』なんて死ぬほど嬉しいセリフを吐かれたことがあるが、俺だって負けず劣らず祥子への依存度合いが加速している気がする。


あぁ~~もう!!!これじゃ本当に共依存になっちまうじゃねえか!!!


そりゃあ勿論祥子のことは死ぬほど大事にしたいし、お互いにそう思ってはいるのだが、例えそうだったとしても、本来なら自分より大事な存在なんて出てくる方がおかしいし、祥子のために自分を大事に出来なくなるなんて、そんな本末転倒は誰も望んでいないのだ。


だからこれ以上祥子を好きになっちゃバカップルを通り越してむしろ危ないな―――と思っているのに。



「大丈夫?なんだか凄く強面になってたから心配なんだけど……」


ぎゅっ。


右腕に幸せな感触を覚えてそっと横を見やると、本当に心配そうにこちらを上目遣いで見上げてくる恋人の姿があった。


おっと、ついつい祥子の姿が天使に見えてしまうな。気を付けないと。



……思わずおでこに手を当てて尊さを逃がさないと、ちょっと耐えられそうになかった。


「お前のせいだぞこのクソアマっ!!!」


「え!?突然の理不尽!?」


「あと大好き!」


「突然の告白!?ちょっと録音し損ねたからもう一回言って!」


「人生にたらればは存在しないんだ、諦めろ」


憤りと尊さを同時に抱えてどうすればいいのか分からなくなったので、とりあえず片方ずつを吐き出すことにしてみたが、祥子の反応と相まってこれが中々に楽しいものだと気づいた。今度から感情の表現に困ったらこうしてみるか。

前作では1日3000アクセスを超える日もあったので、こっちもそのくらい人気になりてぇなぁと思う所存でございます。


次回は8/11に投稿します。「はよ寝ろ」と親にストップをかけられました。マジですみません。


それでは、今回もありがとうございました!!

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