GW直前の日-4
相変わらず変わり映えしない帰り道を二人並んで歩いて帰る。
変わり映えしない、なんて言うと否定的に聞こえてしまうが、いつもの日々に刺激を通り越して激痛しか与えてこない隣の元凶と並んで帰っている中では、こんな風に平和を感じさせてくれる時間というものはとても貴重で有難いものにしか見えない。
平和な日々なんて退屈!飽きた!なんてほざいている奴をたまに見かけることがあるが、祥子の馬鹿なノリに付き合い続けるのがどれだけ大変なのかを一度体験してみてからもう一度その台詞を口にして欲しい。大半のヤツなら間違っても二度とそんなふざけたセリフが言えないように調教されているだろうし、生き残った精鋭たちも余程のドMの集まりに違いない。
要は何が言いたいかといえば、こんなアホに付き合ってあげられる俺偉すぎやろ……ということが言いたいだけである。俺がドMであることを言いたいわけではない。
べ、別に、まあバカやってる時の祥子の活き活きとした表情は可愛いからいっかとか、祥子の方も俺が本当にテンション低いときは察して真面目に相談に乗ってくれるから実は優しいよなコイツとか、逆に祥子がバカじゃない時は余程の悩み事を抱えているときだから一緒に悩んでなんとか解決してあげたいだなんて思ってないんだからねっ!!
……思わずツンデレ口調で祥子へのフォローを入れてみたが、デレ成分多めすぎるだろ俺好きすぎか。ツンデレデレデレデレぐらいの比になってんぞ。こっそりデレとデレの間にデデデ大王とか混ぜ込んでもバレなそうなくらいにはデレてんぞ。何言ってんだ俺。
「反省会をしようよ」
そしてその道の途中で、祥子は突如としてそう言い放った。
「お?なんだ?今日の夫婦漫才についての反省がまだ足りてないと自己申告したいのか?」
「違う!そっちじゃない!あとその台詞もう一回言って、夫婦の部分だけ録音して後でリピートしたい」
「うーん、却下」
パッと両手を合わせて、まるで神頼みをするように真剣におねだりをされた。もしここで上目遣いでもされていたら台詞リピートどころか危うく「結婚してください」と言いかねないところだったが、顔は幸いにも俯かせてたのでなんとか撃退に成功する。
「そっちじゃなくて……あーいや、でもそっちの反省もしときたいかな?
あー、迷う!!ねえ義明、私はどっちを選ぶべきだと思う!?」
「よく分からんがとりあえずお前は俺に土下座をして謝るべきだろうということは分かった」