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GW直前の日

明日からGWが始まるということもあって、今朝の教室がいつにも増して騒がしかったのが俺たちにとってはかなりの救いだった。


みんながこれからの休みに浮かれている中、二人だけが別の理由で浮かれているのに気づくような慧眼の持ち主はまあ恐らくいないだろう。


つまり俺が警戒するべきは、このアホが自分からその事実を振りまいてしまうことだけだ。


口は災いのもとという言葉があるが、その言葉を祥子には百回、いや千回ぐらい復唱させて脳髄に叩き込ませてあげたい。


まあ何より残念なのは、どんなに理にかなった考えよりも「面白そう」という感情が彼女の脳内の大半を占めていることなんだが。いやそこが好きなんだけど、好きなんだけどさぁ!!状況と場所を考えてくれよ!!


「おはよ~~」


「よーっす」


「おはよう、相変わらず仲良しさんだねぇ」


いつものように既に来ていた島田さんたちと挨拶を交わして、今朝の会話のせいでピンク色に染まり切った思考を振り払うように机に突っ伏す。


忘れろ、忘れろ。


『普段の草食な感じとは違ってすっげードキドキした』と言った時のにやけながら照れている顔とか、『思いっきり私を求めてくれるのって、結構嬉しいんだね……』と言った時の昨日の俺の表情を思い出して本気で顔を朱くして恥ずかしがっている姿なんか忘れるんだっ!!!


邪念撲滅、邪念撲滅……と脳内で何度唱えても、もはや可愛いを通り越して襲いたいとしか思えないような祥子の昨日から今にかけての痴態を忘れられなくて、もう学校の中だというのに未だに興奮が収まらない。


うぅ、邪念には勝てなかったよ……


『そういえばさ、今日の上島さんなんかいつもよりもエロくないか?』


『いや俺には分からんが。というか本人いるところで言うなや……』


『いーや、あれは男を知った顔してるね。俺の童貞センサーがビンビンに反応してるわ』


『男を知ったら反応する童貞センサーって哲学的過ぎるだろ』


「っ!?」


遠くから聞こえてくる男子の声が思わず耳に入って、驚きのあまりさっきまで何を考えていたのかすっかり忘れてしまった。


まさか、本当にバレてるのか!?


でも待てよ、バレる要素はどこにもなかったような気がするんだが……?


「はぁ……ホント男子って最低だよね、あぁ潮くんは違うか。


あ、祥子ちゃんにとっては王子様だから結局男子はサイテーであってるのかな?」


「あ、あはは……。」


俺の話題が聞こえて顔を上げると、怒りの代弁と共に、渡辺さんが祥子をニヤニヤしながらいじるところが目に入った。


祥子は祥子で、その煽りに対して満更でもなさそうに照れながら笑っていた。もっと正確に言うなら完全に惚気ていた。


おいこのくだりそろそろ5回目だぞもう慣れろよ……



俺は何度も見慣れたその様子に辟易しながら、素早く開いた無音カメラのアプリでその顔を全力で連写する。



全く、ウチの彼女は可愛くて困るなあ!!!!

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