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本田君はすぐにクラスの中心人物になりました。
女子の間ではファンクラブのようなものまで出来ていて抜け駆けは許さない雰囲気でした。
私は高校でも地味グループだったので本田君と話すこともありませんでした。
でも、勘違いしてもらいたくないのですがそれが嫌だというわけではありません。
私はイケメンが苦手だったのです。
このことは誰にも(ゆっこにもてるみんにも)言っていません。
言っても信じてもらえないでしょうし、モテない女のひがみだと思われるのが嫌だったからです。
私は恋愛弱者が常に恋愛強者に恋い焦がれているなんていうことはないと思っています。
本田君は顔がいいだけでなく優しくて、スポーツも得意で、おまけに勉強まで出来るようです。
いわゆる完璧超人です。
私の持っているあらゆるコンプレックスを刺激する本当に苦手な人です。
だから、本田君が私に声をかけてきた時は本当にびっくりしました。
「あれ?平瀬さんて、もしかして入学式の日、会った人?」
「そ、そうですけど」
「やっぱり。あの時はごめんね。怪我はなかった?」
「ええ、まあ」
「良かった。ずっと気になってたから。じゃあ、またね」
本田君は行ってしまいました。
はぁぁぁぁぁぁぁぁ緊張したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
いや、緊張しますよそりゃ、私、イケメンは苦手ですけど嫌いではないですから。
この緊張感も苦手な要因と言ってもいいくらいです。
とにかく私は本田君が苦手なのでした。