3話*2節
「ねー今日どこ行くん??」
電車の中にて。今ここにいるメンバーの中で、あたしだけが行き先を知らないでいた。
今ここにいるメンバー、というのもお兄ちゃんの友達2人(お兄ちゃん曰く悠さんと洸夜さんというらしい)は現地集合らしくいまここにいないから、なんだよね。
「別に。大したところじゃねーよ」とお兄ちゃん。
隣で凛奈ちゃんがくすっと笑った。
「後もう2駅で着くよ。」
後もう2駅?
と、いうことは…。
「マジックランド?」
マジックランドとは、下沢駅(後もう2駅行ったところにある駅だ)の近くにある割と大きなテーマパークのこと。
あたしは、そのテーマパークのキャラクターの、ウサギの「リリン」が昔から大好き。
幼い頃(あたしが4才くらいだった頃)は家族でよく遊びに行った思い出の遊園地なんだ。(ちなみにお兄ちゃん(当時小3)は、車のキャラクター「カイリー」が好きだった。車好きはお兄ちゃんの黒歴史である(笑))
「お前、勘いいな。正解。」
お兄ちゃんは素直に驚いたらしい。でも下沢駅の近くに遊べるところってそこくらいだし。
「でも、何で?」
あたしが疑問を呟くと、お兄ちゃんはそっぽを向いた。うわー素っ気ない。
「あのね、美音ちゃん。」よっぽどあたしが心外な表情をしていたのか、凛奈ちゃんが袖をくいっと引っ張った。そしてお兄ちゃんに聞こえないようにこう言った。
「今日のメンバーに頼み込んでたよ、妹の喜ぶ顔が見たいからマジックランドがいいって」
お兄ちゃん…シスコン…。