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2話
放課後。気付くとしとしとと雨が降っていた。
「うわー…」どうしよう、傘無い…。
所属している吹奏楽部の活動も終わるのが遅くなってしまい、校内にもひとはまばらだった。
「…しょーがないかっ!」
あたしは諦めて雨の中を走り出した。
ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ…
校庭の泥が靴に掛かりみるみるうちに汚れていく。
この前洗ったばっかなのに。もー。
「…?」
家の近くの公園。そこに、見慣れない大学生ぐらいの人がいた。
きーこ、きーこと淋しげにブランコを揺らしていた。
話しかけるべき?すごい、辛そう…。
でも、濡れたくないしな。今日は、いっか。
今度いたら、話しかけてみよっと。
そう思いあたしは再び走り出した。