表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最上明のめんどくさい異世界生活  作者: うさぎらいもん
序章
7/11

ムーの生体



ユーランが部屋から出て行った跡は、コッズが少し世界のことを引き続き話してくれてたけれど、

あのままウトウトして全然聞いてなかった。


「ほら、じゃあ宿舎に行くぞ」


聞いていないことがわかると、頭をコンっと突かれる。

コッズは困ったような顔をしながらドアに向かって行く。


「ねぇ、その宿舎ってさ、ムーと一緒でも大丈夫?」


「さっきのムーか?」


「うん、入口で待っててって言っちゃったから待ってると思う」


「問題ねぇよ。ムー1匹くらい。部屋そんなに狭いわけでもねぇし」



これから案内してもらう宿舎の話を聞きながら詰所を出ると、

会った時と同じように丸まってムーは寝ていた。



「ムー。今日から暮らすとこ行くよ~」


「む~」


ぽんぽんっと柔らかい毛を叩きながら起こすとゆっくりと可愛らしい返事が返ってきた。

もそりと起き上がってるところに萌えながらも、柔らかい毛を触るのがやめられない。


「おい、アキ。お前そのムーに名前付けないのか?」


「ああ、ムーって種族名だったな・・・・チョコ、チョコにしよう!」



「・・・・・お前、毛色で決めたな?」



こっちにもチョコレートがあるらしい。

いいじゃないか、犬とかにもそういう名前付けるだろ。

可愛いし。



「いいじゃん。なぁ、チョコ?」


「ちょこ?美味しそうな名前だむ~ちょこはチョコレートも好きむ~」


お、いい反応。やっぱいいじゃん。

でも動物にチョコレートっていいのか?


「ねぇ、チョコ。食べ物は草が主食なんだよね?人間の食べ物大丈夫なの?」


さっきずっと草食べてたし。


「む~草はおやつむ~なんでも食べれるむ~」


「え、そうなんだ?ここの草って何か違うのか?」


さっきまで食べていた草を拾い上げ、じっと見つめるが、普通の草にしか見えない。


「ああ、ここの町に生えている草は少し魔力を持っているんだ。食べたら少し甘味があるぞ」


へぇ。そういう植物あるんだ。

もしやチョコって意外とグルメ?


「コッズ意外と物知りだね」


「以外は余計」


「で、ムーっていうのは皆飛べるの?」


「は?飛べるわけ・・・え」



コッズがチョコを見て固まる。


「む~?ちょこは~とべるの~」


ふわりふわりと地上50cmほど浮いてのんびりとチョコが代わりに答えてくれた。

コッズはその様子に指をさしてふるふる震えている。


「飛べるわけあるかぁあああ!!!!」



あ、やっぱりそうなんだ。

羽とかないもんね。


「おかしい、おかしいぞ。空飛ぶムーなんて聞いたことない・・・」


コッズが頭を抱えてぶつぶつ言っている。

あ、今気づいた。

浮いているチョコに乗ったらもしや私も空飛べるんじゃね?

よし、助走助走。


「チョコ~・・・・・せいっ」


勢いをつけてチョコの背中にばふんと乗ってみる。

お、おお。




「チョコ、結構頑丈だな。」


「ちょこは~力持ち~」



人間1人乗せてもびくともしないチョコは私を乗せたままその場をふわふわ回ってご機嫌な様子。

その姿をコッズが羨ましそうにこっちを見ている。



「チョコは渡さないぞ」


ぎゅむとチョコの首元に手を回してふかふかを堪能。

くっつかれるのが好きなのか、チョコは鼻歌を歌い出した。


「おい、ムーじゃなかった、チョコって名前になったんだっけ。

 人を乗せて歩くムーは希少ながらみたことがあるが、空飛ぶムーなんて聞いたことないぞ。

 チョコ、お前なんで飛べるんだ?」


私を乗せたままチョコはコッズに近づくと、小さい耳をピクピク動かしながら鼻歌をやめる。


「100年くらい前に空を飛ぶことができる魔術をかけてもらったむ~

 あの頃はたくさんの美味しい食べ物が食べたくて、すぐに遠くに飛んでいける鳥が羨ましかったむ~」


へぇ、ムーって長命種なんだなぁ。

何歳だろう、チョコ。


「今チョコって何歳?」


「120歳だむ~」


「おお。人生の大先輩だ」


「待て待て待て。お前ら、変だと気付け」


チョコ長生きだと話を膨らませていると邪魔してきやがったコッズが困った顔でこちらを見ていた。


「魔術師?空を飛ぶ魔法を掛けさせるなんて、そんな魔術師なんぞ聞いたことないぞ」


「コッズよりチョコのが年上なんだから聞いたことないの当たり前だろう。先輩だぞ、敬語使え」


「お前は黙ってろ異世界人」


ばしりと後頭部を平手で叩かれた。

覚えてろこのやろう。


「む~、そんなこと言っても100年前だむ~、名前はおぼえてないむ~」


「じゃあ、容姿は?」


「髪の色が銀で、オスだったむ~」


チョコ可愛いなぁ。

コッズざまぁ。


「やはり100年も立ってるからそんなに覚えていないか」


ため息をつきながらありがとさんとぽふぽふとチョコの横っ腹を撫でている。

触るのは私の許可をもらってからにしろよ、ちょび髭。



「じゃあ、とにかく詰所に行くか」



ばしりと触れていた手を落とすと、再度ため息をつかれた。

なんだよ、私のだぞ、チョコは。


睨みつけるとコッズは既に歩いていて、町の入口を出ようとしている。

ん?宿舎に行くんじゃないのか?



「なにしてるー早く来ーい!宿舎はこの町じゃねぇぞー」



説明してから行けよちょび髭コノヤロウ







1日更新空いてしまいました。このムー、結構万能なんです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ