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4月1日
今日は嘘の容認される日でしたが、それでもやはり質のいい嘘しか容認してはいけないと思い、僕は今日一日中、質のいい嘘を思いつくまでは誰にも嘘を吐きませんでした。勿論、あなたにも。僕は、最初から、あなたには嘘を吐かないと決めていたのですから。
そんなことより、今日、僕は太宰治の「パンドラの匣」を読んだのです。いやぁ、とても素晴らしかった。あれはいい。そりゃあもう言葉では言い尽くせないほどの良さです。「良い」という言葉でしか表現できない。言語というシステムの外にある感情を擽られました。流石でした。
「パンドラの匣」は、心の内側の吐き出したい感情を全て無にすることのできる珍しい小説です。あなたにも読んでみてほしい気持ちはやまやまですが、あなたは何しろ多忙ですから、無理にとは言いません。あなたの邪魔ばかりは僕にはできませんから。
もう午前3時になっていました。僕はそろそろ寝ます。明日の月こそはきっと、僕を認めてくれる、そう思って夢に溺れます。