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6、男の娘になったら性欲もなくなってたよ

1、側に来過ぎる女


「ない!」

女は、とてもがっかりした顔で、俺の下半身をみている。

女の名はタニアという。位階は、ヨルシア大陸枢機卿であり、現シーナ派の長だ。

26ほどにみえる32歳の才女である。


ヨルシア大陸におけるフリッカ教の位階は、

見習い、助祭、司祭、司祭長、司教、上級司教、枢機卿、総司教であるから、

32歳で枢機卿の地位にあるのは、かなりすごいことといえる。


身長は180cmと高く、痩せ型だが、太ももにはほどよく肉が付き

良いケツをしている。胸はまぁまぁの大きさだCカップくらいだろうか。

黒髪の美女で、俺の世話を担当してくれている。


ここは、アルン王国王都アルンティから60kmほど西にある宗教都市シナンティだ。

ヨルシア大陸フリッカ教の本部があり、大聖堂というか宮殿というか

神殿というか、まぁ、そういったすごい建物がいっぱいある。

今は、そういったすごい建物の中にある大浴場にいる。


「シーネヴァル様とお聞きしておりますが。」

「それで間違いはないよ。」


シーナの神使は、光り輝く髪の少年か少女という決まりがある。

少年ならシーネヴァル、少女ならシーネヴァルアと呼ばれる。


「しかし、お体が」

「いやらしいことを考えている者には見えないようにしてある。」

と、適当なことを言っておく


「そ、そんなぁ、シーナ様とは微妙に趣味が異なるから、

 フリッカ様に直接お願いいたしましたのに。」

「え?お、俺の体がこんな風になったのは、タニアの所為なの?」

「い、いえ、その、どうせならフリッカ様のお好みでとお願いしただけにございます。」


「フリッカ様にこういった趣味があるの?」

「私やシーナ様の趣味とは方向が異なりますが、少年よりは少女がお好きなようです。」

「へーそうなんだ、よく知っているね?」

さすが、女としては薹が立つ年だが、若干32歳で枢機卿になっただけのことはある。

神々のことに詳しい。


「ああ、それは私も、佐々木さんと同じ派遣ですから」

「って、俺と同じ派遣かよ!

 じゃあ、俺、来なくてもよかったんじゃ?」

「いえ、私はここに来て長く、顔もよく知られてしまっています。

 枢機卿としての発言権しかありません。

 何か奇跡を起こし、神と深い関わりがある者と喧伝しても

 当代のシーナ派はやるなと思われるだけで、

 私の発言に3ヶ国の王が従うことはないでしょう。」


「そういうものなんだ。

 ところで、この機会に自分の趣味にあった神使を

 呼ぼうとか考えたわけではないよね?」

「ははは、さて雑念を捨ててきます。」


タニアは質問に答えず、俺から目を逸らし、浴場内にある泉へ移動した。

そして、ものすごい気合を入れ泉に入る。


「あそかは、邪な感情など神にお使いするに相応しくない感情がある者ほど

 冷たく感じる不思議な泉です。」

と、もう一人の俺の世話をしてくれることになっているセレリアさんが説明してくれた。

タニアより身長は低く170cmほどだろうか、腹筋は見事に割れている。

顔も引き締まったスポーツ選手系の美人だ。


タニアのいやらしい手つきと違って、

セレリアさんは、優しい手つきで俺の体を洗ってくれる。

外見変更前は、痴女物のAVもけっこう好きだったんだが、

実際にやられると引いてしまうから、人の感情とは不思議だ。


湯船につかりのんびりとしていると、タニアが戻って来た。

唇が真紫になって、がたがた震えている。

相当冷たく感じていたのだろう。


「おお、確かに雑念を捨てるとみえる、みえますよ!ここだぁ!」

突然、タニアが俺の脚を開き、さらにその奥をクパァっと開く

「ちょ、待て、止めてぇ」

嘘から出た実となってしまった。

「助けてぇ~」

と、セレリアさんが、手刀でタニアの頚動脈を叩く。

タニアは、瞬時に縦に崩れ落ちた。顔が湯船の中の俺の股間に落ちるので恥ずかしい。

セレリアさんは、タニアを湯船から出す。


「そろそろ上がりましょう。」

そういうとセレリアさんは俺をお姫様だっこし脱衣場に運んでくれた。

タニアは浴場の床に倒れたままだ。風邪を引かないことを祈ろう。


2、神意伝達


「豊穣の女神の神意を伝える。

 『我が守護する国家間の戦闘を禁ずる』とのことである。

 これを本件に当てはめる。

 ウルン王の配下は、見事無血で城を落とした。

 戦闘行為は一切なかったのであるから、

 ウルン王は女神の意に背いてはいない。


 この評価に対し、ウルン王に次の評価があることを知っている。

 曰く、艦隊をもってアルン王を威迫し、武をもって我を通したウルン王は、

 大陸の平和を脅かし、平和を愛する女神の意に背いたと。


 しかしながら、ウルン王の艦隊派遣を評価するにあたって、

 『我が守護する国家間の戦闘を禁ずる』以外の神意を、女神は私に伝えていない。

 つまり、平和云々という主張は、女神より伝えられていないのである。

 よって、この主張を認めると女神の神意を騙ることになるともいえ、

 認められるものではない。

 私は、ウルン王が平和を脅かし女神の意に背いたと主張することこそ

 女神の意に背くことになると皆に注意を喚起するものである。」

 

聴衆から、大きな反応はない。戦闘の定義も説明すべきだったか。


「アルン王に対し、王としての責任を果たさず女神より任されし国土を放棄し、

 女神の意に背いたという主張がある。」


先のウルン王への主張は、アルン側の主張だ。

このアルン王への主張は、アルン国内の反現王派より出された。


「しかしながら、先に同様、そのような神意を女神は私に伝えていない。

 アルン王の速やかな決断によって、

 アルンの兵は死なず、アルンの民に被害はなく戦闘行為は起きなかった。

 よって、アルン王は神意に背いていない。」


俺は今、大聖堂の中心で、大勢の聴衆を前に語っている。 


「エルン王の出兵は、アルン王の要請によるものであり、

 アルン王国をウルン王国の不当な占領から開放するものといえ、

 大陸の秩序を保つという義挙ともいえる。

 しかしながら、この出兵によりウルン王国軍と戦端が開かれる可能性は極めて高かった。

 多数の兵が死ぬことになるは、火をみるより明らかであり、

 戦闘と言って否と答える者は皆無といえよう。。

 同じフリッカ教徒間での争いはあまりにも無駄としか言いようがなく、

 ことが実際におきるを待つまでもないほど愚かな行為といえ、義挙であっても、

 女神フリッカが看過することのできぬ行為である。

 よって、女神フリッカは、開戦前にアルン、エルン両王は神意に背いたと

 宣告したのであった。」


「以上で、神意の伝達を終える。」


俺の膝裏まである長い髪は、もっとも光量が増す形に

結い上げられている。豆電球のようにも見えてかなり恥ずかしい。

シーナの神使は、光り輝く髪の少年か少女という決まりがある。

なので、その特徴が遠目にもわかるようにしてあるのだ。


これは、神使を騙る不届き者が出ないようにする工夫だ。

神使の特徴は、神ごとにきまっている。

燃える頭髪を特徴とする神使を遣わす神もいる。


「さて、神意の伝達は以上であるが、これでお終いでは、後々に大きな禍根を残し、

 フリッカ神に背いてもなお、国家間で争いが起きる可能性が高い。

 神使として、みなが神意に背く可能性が高い状況で帰るのは心苦しい。

 そこで、神使として提案がある。我はシーナの神使であるが、

 フリッカ神のの提案でもあると思ってもらいたいし、問題を解決するのあたって

 必要であれば、そうしてよいとフリッカ神より許可は得ている。」


このままでは、アルン王国が暴発するので、落しどころを明示し収拾を目指す。

今回の俺の立場は、フリッカ神ではなく、その娘シーナの神使なので弱い。

シーナ派以外の人間とっては敬意を払う対象ではあるが信仰の対象ではないのだ。

そこで、フリッカ社長の名を出し脅しをかけておく。

もちろん本当に本人の許可は得ているから神罰の心配はない。


「まず、なぜにウルン国戦闘飛行艦隊は越境したのか?」


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