4、おねxショタは好きですか?
「ふー、いい仕事したわ!」
そう言うと社長は部屋から出て行ってしまった。
俺は社長を呼び止めることもできずに呆然とする。
なぜかドヤ顔のコーディネーターが、呆然としている俺を、
部屋の中にある姿見の前まで引っ張っていく。
社長が女だから姿見はあるのだろうか?
鏡像を見るまでも無く、着ている服が、
ゴブリン退治の時に支給された村人の服から、
フリルがついた白いワンピースになった時点で、
半ば恐怖を感じていた。
そして、鏡像を見た瞬間、急いで下半身を確認する。
履いてる下着も変っていたが、気にせずずり下げた。
股間を見た瞬間、絶望が俺の心を支配する。
「その外見でぶら下げているのも変ですので、
体内に引っ込めているだけですよ
くぱっと開いて、適当に力を入れれば出てくるはずです。
そんなに真っ青な顔をしている人は久しぶりにみましたよ。」
うふふと笑う女に殺意を抱きつつ、
言われた通りにくぱっと開く。力の入れ加減がうまく掴めなかったが
存在を感じ、安心する。排尿する時をイメージすると
40年間つれそった分身は、ずいぶんと情けない姿になっていたが、
ぴょこんと出てきてくれた。無事に出会えたことを感謝し、
他に不要な穴が無いことも確認し安堵する。
「雌雄同体案もあったんですよ。」
「それは絶対に簡便してくれ。
ところで、この姿のどこらへんが草食系なんだ?」
「野菜ばかり食べてる感じの子にみえませんか?」
「なるほど。面白くないトンチだ。」
この女と比較すると身長は140cmくらいだろうか
25cmほど縮んだことになる。髪は金髪だ。薄いというか透明というか
染色ではこういう髪色にはまずできなさそうだ。
ライトブロンドなんだが、まさに髪自体が光っている。
長さは、腰を通りこして膝裏まである。
少年を騙して機械の星に連れていく女性のようだ。
身長はぜんぜんないがね。
目の色は黒のままだった。以前と同じだ。
耳の形も一緒だろう、耳たぶの形が一緒だ。
俺の耳たぶはまん丸なのでよく覚えている。
顔の輪郭に、以前の俺の面影は一切なかった。
萌え、萌え、萌え~と萌えまくること必須の愛らしい顔になってしまった。
10歳くらいだろうか。
人種的にはどこだろうか?金髪なのに黒目でしっくりこない。
ここまで来て、なぜに黒目と疑問を感じる。
肌の色は白いが、白色人種の肌とはまた別の白さというか神々しさがある。
「肉もけっこう好きって感じに見えるがね、
身長がずいぶん低くなっているようだけど?」
「肉を食べなかったからですよ。」
そりゃ、この体では、まだ、一度も肉は食ってないがね。
「髪の色は?」
「今回のお仕事のためにその色になりました。」
「ならしかたないか。黒にもどせる?」
「すみませんが、もどせません。
ですが、ある意味、能力で金色となっているので、
日本に戻った時は黒に戻ります。」
まぁ、髪の色にあまりこだわりはないし、
日本で黒なら、目だって困るということもあるまい。
ついでにいうと、この女の髪は漆黒だ。夜空を彷彿させる黒だ。
社長の髪は、黄金色というか、収穫前の田んぼの色だ。
さすが豊穣の神である。
「若返りすぎのような気もするけど?」
「佐々木さんの性癖を調べた結果そうなりました。
というのは半分冗談でして、能力と外見の年齢を一致させる都合とか
その他、もろもろの事情でそうなりました。
私の趣味も少し入っていますが、女の子顔になってしまって残念です。」
え、半分は俺の性癖なの、いつのまに俺の性癖を調べたの?
おねショタ願望なんか俺にあっただろうか?
5号室の住人が管理人さんと結婚する漫画が好きで
たしかに年上の女性は好きだが、
てか、おねショタはこいつの趣味か。
「もうちょっと、少年っぽさというか男らしさがあっても」
趣味に付き合うわけではないが、男の娘よりはましかと聞いてみると
「激しく同意します!」
急に顔を真っ赤にして、美少年について語りだした。
話がどこで終わるのかわからない勢いだ。
これから3ヶ月以上、アパートを空けることになる。
生もの等を整理しなくてはと思い至り、
そっと社長室を出ていったんアパートに戻ることにした。
女は俺が出て行ったことに気づかず、そのまま熱弁をふるっていた。