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光翼のシャイニーレイン  作者: 黒神 鋼夜
序章 出会いと始まりのプロローグ
7/33

第7話 本当のはじまり

やっと第1部終了です

次からやっと本編みたいな感じです

今回は世界の説明を少しだけ入れました。

説明するの・・・難しいです・・・

今回は特に未熟な部分多いと思いますがよろしくです。


 不思議な子だな。彼はそう思った。

 あの後、村の人々からお祝いの宴が開かれた。彼女を中心に花が咲いたように盛り上がっていた。不思議だった。彼女・・・優とは初めて話す人の方が多いはずだった。しかし、だれもが親しく話していた。

「これがあいつの強さなのかもしれないな・・・。」

 それは、自分にはない強さだった。そして、いくら自分が求めても、手に入れることができない強さだった。

 うらやましいな。そう思いながら、人の輪の中心にいる彼女を眺めていた。


 朝になった。村の出口で優を待っていた。

「お待たせしました。」

 優が走りながらやってくる。くすっと笑いながら、

「そんなに待ってないよ。」

 そう答えた。目指すのは、村から出て少ししたところにある洞窟だった。

「お別れはもういいのかい?」

「はい。大丈夫です。」

 優には村に未練は無いようだった。

「それじゃあ、行こうか。」

「はい!」

 目的地に向かって歩き出す。

「・・・あの!その前に、聞きたいことがあります。」

「なんだい?」

「今度こそ、お名前を聞いていいですか?」

 ・・・忘れてた。そういえば、そんなことを言っていた気がする。

「そういう約束だったね。・・・俺は、俺の名前は望月聖夜もちづきしょうや。」

「聖夜、さん。」

「そうだよ。だけど、俺は自分の名前は好きじゃないんだ。君とは違ってね。」

「そうなのですか?」

「・・・・いろいろと、あったからね・・・・。」

 そういう会話をしているうちに洞窟についた。



 いったい彼にはどれくらいの闇を抱えているのだろう?優はずっと考えていた。今のわずかな会話でも彼の闇に触れてしまった。普通の人よりもはるかに辛いことを、たくさん経験しているんだろう。そう思うと、胸が苦しくなった。

「そういえば、これから行く世界のことを、何も言ってなかったね。」

 洞窟の前で彼はそう言った。私は、一旦考えることをやめた。これから行く世界について知りたいと思った。

「はい。教えてくれますか?」

「詳しいことは、向こうの世界に先生がいるからその人に聞いて。とりあえず、君に知っていてほしいことは3つ。」

 先生?向こうの世界にはそんな人もいるんだ?私は向こう側の世界に興味を持ち始めた。

「まず1つめは、これから行く国の名前。漆黒の王城ファントムキングダムって言って、あっちの世界で一番小さな国だよ。」

「漆黒の王城ですか・・・。」

 名前はかっこいいと思った。けど、一番小さな国。そこになにかひっかかった。

「ちなみに、名前を考えたのはうちのバカね。」

 くすっと彼は笑った。私が「誰だろう?」と思っていると、

「会えば分るよ。ああ、これか・・・。ってみんな思うから。」

 ・・・そんなにわかりやすい人なのだろうか?疑問に思うと同時にその人に会ってみたいと思った。

「2つ目は、漆黒の王城の指揮している人だけど。『9本柱』って呼ばれている人たちで全体の指揮を執っているんだ。『9本柱』は、4人の『総帥格』と5人の『将軍格』で構成されているんだ。この9人が話し合って全体のことを決めている。まぁ、これは少し難しいから、詳しくは先生に聞いて。」

 簡単にまとめると、特別な偉い人9人で全体を決めているのだろう。そう解釈することにした。そこで、ふと疑問が浮かんできた。

「王様はいないのですか?」

 その質問に彼はまた、くすくすっと笑った。

「いないよ。不思議でしょう?名前に『王城』とついていながら王様とかいないんだ。」

「どうしてですか?」

 私は、王様のいない国なんて考えもつかなかった。

「支配されたくないから、かな。王様がいるとそれは王様による支配だ。自由なんてない。だから、王様のいない国を作りたい。それがどんな国になるのかはまだわからない。でも、今までと同じじゃ、何も変わらない。変わらなければいけない。長く続いた戦乱を終わらせるためにも。今まで苦しんできた人々を助けるためにも。そのために俺たちは国を作ったんだ。」

「・・・世界を、変えるために・・・。」

 私はそんなこと本当にできるのだろうか?そう思った。でも、彼は本気でやろうとしている。私は・・・。

「ねえ優?君にも手伝ってほしい。新しい国を作る手伝いを。」

「私なんかにできるでしょうか?」

 私にはなんの力もない。そんな私でも、彼の力になれるのだろうか・・・。

「できるよ。そのための力が優にはある。」

「・・・・え?」

 私に力がある?私のどこにそんな力があるのだろう?

「そこで、3つ目の説明。優の持っている指輪についてだよ。」

「私の指輪?」

「よっく見てごらん?指輪にⅩの数字が刻まれているでしょう?この数字付きの指輪は特別で、虎符こふって呼ばれている。これは、特別な契約に必要なんだ。そして、それは世界に11個しかない。」

 虎符?契約?わからないことだらけだ。

「くすっ。やっぱりまだ難しいか・・・。とりあえず今のところは、その指輪が貴重であること。そして、それはいずれ君の力になること。最後にその指輪が、指輪の持ち主を君だと決めたこと。この3つだけは覚えておいて。」

「はい。わからないことは『先生』に聞けばいいのですね?」

 すると彼はくすくすっと、急に笑い始めた。

「そうだね。わからないことは全部『先生』に聞いて。」

「それじゃあ、そろそろ行こうか。」

 彼はそう言った。

 さようなら。今までお世話になりました。私は短くこの世界に別れを告げて、洞窟の中へと入っていった。



 これからが、本当のはじまりなのだろう。聖夜は思った。

 優に世界のことを少しだけ説明した。たぶんほとんど理解していないのだろう。あとは実際に世界を見て、自分でここがどんな世界なのかを判断していくのだろう。

「これは?」

 優が魔法陣を見て言った。

「空間転移の魔法陣。この世界と向こうの世界をつなぐ魔方陣だよ。」

 優が深呼吸した。それを見届けてから、行こう。と声をかけた。

 魔法陣に入る前に優の手を握る。初めて魔法を体験するのだ。たぶん、怖いだろう。それに、新しい世界に対する不安もあるだろう。そう思った。優と一緒に魔法陣に入る。そこには何もない真っ白い空間。

 しばらくすると、見慣れた景色が広がった。



 とてもきれいな世界。優のこの世界に対する第一印象だった。

「お帰り。そして、ようこそ。」

 周りの景色に見惚れていると声をかけられた。目の前に女の人が2人立っていた。

 今、声をかけた方はきれいな茶色の髪が肩くらいまでかかっていて知的なイメージの人。隣に立っている人は、黒い髪で長さは知的な人より少し短いくらい。物静かなイメージ。そして背中に大きな大剣を背負っているのが印象的だった。

「ただいま。―――かなで。―――なつめ。」

 彼が返事をする。どうやら、茶色の髪の人が奏さんで、大剣を背負っているのが棗さんみたいだ。

「初めまして。白石優といいます。」

月城つきしろ奏よ。」

「・・・行覇ゆくは棗。」

 奏さんたちと握手をする。とてもいい人たちだと思った。

「うちの軍師が世話になったわね。」

 奏さんが言った。軍師?彼のことなのだろうか?そう思っていると、

「ああ、聞いてなかったのね。彼、自分の名前が好きじゃないから、みんな軍師って呼んでるのよ。」

「私もそう呼んだ方がいいのでしょうか?」

「みんなの前ではその方がいいわね。2人だけの時は、その人次第ね。」

 奏さんはとても親切に答えてくれた。棗さんは目をつぶっている。

「立ち話もなんだから、そろそろ行こうか。」

 彼が声をかけた。私も彼の後についていく。

「あ、そうだ。」

 思い出したように彼は声を上げた。

「優。わからないことは全部奏に聞いてね。この人が『先生』だから。」

 私は不思議と納得してしまった。同時に奏さんが先生で良かったとも思った。

「・・・はい?私、それ初耳なんだけど?」

「一番奏が適任でしょう?」

「いやよ。めんどくさい。」

 ・・・奏さんは違うみたいだった。

「ん~。ほら、優も何とか言ってあげて。」

 突然振られた。

「え、ええと・・・。私は、奏さんに教えてもらいたいです。」

 思ったことを、本音を言ってみた。

「・・・う。」

「・・・奏の負けね。」

 少しだけ笑いながら棗さんが言った。

「あーはいはい。わかったわよ。教えてあげるわよ。」

「くすくす。頑張ってね。せ・ん・せ・い。」

「・・・覚えてなさいよ。」

 笑いが広がった。気が付くと新しい世界に対する不安はなくなっていた。そして、いつの間にかこの人たちが、この世界が好きになっている自分に気づいた。とても素敵な世界だとそう思えた。

「はい到着。」

 彼が言った。目の前には緑に囲まれたとてもきれいなお城があった。

 門のところで何人かが手を振っているのが見える。

 彼がお城を背にして言う。

「ようこそ!漆黒の王城へ!!」

 私は、これから始まる生活に心を躍らせていた。


―――――ここから、新しい人生が始まるんだ―――――




今回は中間あたりでとてもつまずきました。

第2部に行く前に番外編を挟もうかと考えてます。

今回は自分でも未熟だと思っているので、感想などいただけるとありがたいです。

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