第6話 名前
結局終章になりませんでした・・・。
今回は戦闘シーンを頑張りました。戦闘シーンを書くのは素人にはものすごく難しいです・・・。うまく表現できているかわかりませんが精いっぱいやりました。
いろいろと未熟な部分が多いですがよろしくです!
1人で1000人以上相手するのは何年振りだろう?彼はそう思った。最近はこんなことなかった気がする。
「なまってなければいいけど・・・。」
つぶやいてみる。今、敵は突然現れた剣に驚いている。しかし、すぐにでも攻撃してくるだろう・・・。さて、行きますか!全身に気を込める。
敵の中に突っ込んだ。目の前に3人。首が3つ飛んだ。敵は唖然としている。2本の剣を交互に振るう。瞬く間に7、8人が倒れた。
敵が動き始める。左右から敵。かわしながら反撃する。そのまま、回転するようにして周囲の敵を切りつける。14、5人が倒れた。
一旦敵と離れた。少しずつ包囲されている。迷わず一番敵の多いところに突っ込んだ。
「闇流第3番軌道、――――血染め鳳仙花。」
自分を中心に漆黒の魔法陣が広がる。そのまま思いっきり剣を振り上げる。魔法陣が反応し、陣の内側にいた100人ほどの兵士が空へと吹っ飛ばされる。魔法陣から無数の斬撃が生まれ、空中の兵士たちが切り刻まれる。自分の周りに赤い雨が降った。
「並びに光流第6番軌道、――――聖剣輪舞曲!」
続けて技を使う。今度は、白の魔法陣が描かれる。2本の剣が光を纏う。赤い雨が降る中を舞うように剣を振るう。本来剣が届くはずのないところにいる兵士たちが次々に倒れていく。
近づく兵士が舞いあがって血の雨を降らせる。離れた兵士たちが見えない光の刃に切られる。雨が降り終わったとき、地面には無数の残骸が転がっていた。
彼女は彼の戦いを呆然と眺めていた。強い。ただこの一言だった。すでに8割近くの兵士が倒れている。
血の雨が止んだ。血の雨の中心にたたずむ彼を見る。――――ゾクッ―――。
背筋が震えた。彼の雰囲気が変わった。気温が一気に下がったような気がする。怖い。そう思ってしまった。
場の雰囲気にのまれ、兵士が逃げ始めた。
「逃がさないよ。」
彼が言った。想像もつかないような冷たい声で。
「闇流第7番軌道、―――――ブラッディ・ブレイブ――――。」
彼が剣を振り上げる。彼の魔剣に闇が集まるのが見えた。そのまま振り下ろされる。解放された闇は、まるで波のように兵士に襲い掛かった。
・・・闇が収まった。生き残っていたのは長だけだった。彼が長に近づいていく。
「た、助けてくれ・・・。」
「・・・・・・・。」
彼は何も言わない。そのまま、剣を構える。
「やめて!!」
叫んでいた。彼がこっちを見る。勝手に体が震えた。
彼は長に体を向けると、剣を振りおろした。何もためらわずに、彼は長を殺したのだ。そのまま彼は私に背を向けて歩き始めた。
「待って!」
私は彼に声をかける。彼は少しだけ私を見て、そのまま歩き去って行った。
「う~ん。」
やりすぎたかな?彼はそう思った。後半はわざと雰囲気を変えた。彼女が怖がるように脅したのだ。
「でも、この程度でつまずくようじゃこの先には進めないよ。」
つぶやいた。この先はもっとひどい未来になる。そんなことを考えながら酒場に向かった。
「こんにちは。親父さん。」
「こ、これはこれは。あのときの旅人様ですか。」
・・・またこれか・・・。さすがにこの態度は見飽きたな・・・。
「別にかしこまらなくていいよ~。切り殺したりなんてしないから。」
「す、すまないね。あれを見てしまうと、どうしてもね。」
「気にしていないよ。そういうのも慣れっこだから。」
村人の反応はどれも似たようなものだった。みんな怖がっているのだ。
「これからどうするんだい?」
・・・少しだけ考えてみる。やっぱり結論は1つしかなかった。
「すぐにでも村を出ようかと思いますね。」
「・・・あのお嬢ちゃんはどうするんだい?」
「それは、あの子次第ですよ。」
それは彼女が決めることだ。この選択肢で彼女の運命が決まるのだから。でも、
「大丈夫ですよ。彼女は必ず来ますから。」
「なぜ、そう思うんだい?」
親父さんが不思議そうに聞いてくる。
「俺は、彼女のご両親を知っているんですよ。あの人たちの娘がこんなところで立ち止まるわけがありません。それに少しだけ彼女と過ごしてみて、あの子のことを少しは知っているつもりです。彼女はここで止まるような器ではないですよ。」
確信だった。なぜなら、彼女は逃げなかったから。目の前で起こることがどんなに辛くても彼女は逃げるということをしなかった。目の前で起きていることに、正面から向き合っていた。それがどれだけ難しいかは自分が一番わかっているつもりだ。
「それでは、そろそろ行きますね。」
酒場を出る。目の前に、彼女が立っていた。
間に合った。彼女はそう思った。彼が去った後、彼女はすぐに彼を追いかけた。追っている途中で自分の考えをまとめる。私は何をしたいのか。何ができるのか。
彼が酒場に入ったことを村人から聞き、私は入り口で待つことにした。彼が、酒場から出てくる。
「来ると思っていたよ。」
彼が言った。彼は私が来ると信じていてくれた。そのことをとてもうれしく感じる。
「私を連れて行ってください。」
この言葉を言うのは今日2回目だった。でも、込めた気持ちは前回とは違った。
「君はなにをしたいんだい?」
「私はあなたを守りたい。守れるようになりたい。」
はっきりと言う。少し、彼の表情が動いた。驚いたような顔をしている。
「『だれか』を守れる力が欲しいと?」
「『あなた』を守れる力が欲しいです。」
ここは譲らなかった。私の中ではとても大きなことだから。
「俺は誰にも守ってもらわなくても大丈夫だよ。」
「それでも、あなたを守りたい。救いたい。」
救いたい。この言葉に彼は大きく反応した。
「救えると思っているのかい?」
冷たい声。ものすごい威圧が来た。空気が震えているようにすら感じる。
「救って見せます。」
正面から彼の眼を見つめる。私が初めて見つけた「やりたいこと」だった。時折見せる彼の暗い表情、あの時見た彼の中の闇。それらから彼を救うのは、どのくらい難しいかわからない。でも、それでも、自分が好きになった人が苦しんでいるのなら、私は助けたい。救いたい。
「・・・・・・・。」
長い沈黙。不意に重圧が消えた。
「そこまでの覚悟があるのなら、断る理由はないね。」
「それじゃあ・・。」
「うん。合格。」
彼が手を伸ばした。私も手を伸ばす。今度はしっかりと握手した。
くすくすっと、彼の笑い声が聞こえた。
「これから、よろしくね。――――――優。」
「・・・・え?」
「君の名前だよ。白石優。」
「私の・・・名前?」
「そう。君のご両親から預かった名前。お誕生日、おめでとう。優。」
「・・あ・・・」
涙があふれてきた。ぱちぱちと、彼が拍手している。
不意に、後ろからも拍手の音がした。
「おめでとう。嬢ちゃん。」
酒場のおじさんだった。ほかにも、たくさんの村人が集まってくる。拍手に包まれた。
「え?え?」
混乱した。彼はくすっと笑っていた。
「誕生日を迎えたのだから、プレゼントをあげなくちゃね。」
彼は私の前に来ると、「少しだけ貸して」と指輪を取った。そして、彼の持っている指輪と私の指輪を合わせる。
周囲が光に包まれた。光が収まった後指輪は1つになっていた。・・・きれい。
「それではお姫様。右手を拝借します。」
そういうと彼は、片膝をついて私の右手をとった。指輪を右手の中指にはめる。そして、「ちゅ」っと、手の甲にキスをしてくれた。とてもうれしかった。
でも、その時の私はまだ、指輪に刻まれたⅩの数字の意味を知る由もなかった。
予定が狂いまくりですw
次こそ終章です!
短くなるので次の投稿は早めだと思います。
自分の文章表現力の無さが身に染みてきました・・・。
感想、誤字脱字等ありましたらよろしくです。