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光翼のシャイニーレイン  作者: 黒神 鋼夜
序章 出会いと始まりのプロローグ
5/33

第5話 願い

今回は少し長くなってしまいました。

おまけに本来の予定と大幅にずれてしまったため、サブタイトルすら変わる羽目に・・・・。

相変わらず未熟ですがよろしくです。

 本当にいいのだろうか?彼女はそう思った。

 あの後、私たちはまっすぐ宿へと帰った。宿に着くころには少し日が落ち始めていた。私が長の屋敷に戻れないことを言うと、彼は笑って「泊まっていきなよ。」と言ってくれた。

 そのまま夕ご飯をごちそうになって、楽しくお話をした。彼は私のことをたくさん聞いてきた。好きなこと、やりたいこと、今までの生活のこと。

 私が話している間、彼は何も言わずに聞いてくれる。話しやすかった。ついつい、いろんなことを話してしまう。そして彼は、話すたびに笑ったり悲しんだりとリアクションしてくれるのだ。そのたびに私は、彼のいろんな表情に見惚れてしまっていた。でも、

「私なんかが彼と釣り合うのかな?」

 そう思うと、とても不安だった。彼は何でもできる。料理も家事も武術も、それに対して私は・・・何もなかった。何一つとして彼より優れているものも、彼と張り合えるものさえなかった・・・・・・。


 気が付いたら寝てしまっていた。部屋を見渡してみる。・・・彼がいない。周りはすっかり暗くなっていた。私はあわてて外に出た。幸運なことに彼はすぐに見つかった。彼は外で月を見上げていた。

「明日だね。」

 彼は何かに話しかけている。私はとっさに近くの木の陰に隠れた。・・・どうしてそうしたのか、わからない。

「明日やっと君に伝えられるよ。待っててね、――――。」

 最後の言葉だけが聞き取れなかった。最後、彼は誰かの名前を言った気がする。

 しばらくして彼は、持っていたものを月にかざしてこういった。

「明日が、運命の日だ。」

 私はそれを呆然と見ていた。

「どうして・・・・?」

 思わずつぶやいた。彼が持っていたものは、私の持っている両親の形見の指輪とそっくりの指輪だった。


 同じ時間、月を見上げるもう一つの影があった。

「長、準備が整いました。」

「ご苦労。」

 長の後ろには1000の影が並んでいた。

「さあ、明日だ。明日から私の野望が始まる。」

 月を見上げるその眼には狂気が宿っていた。



 まいったな。彼はそう思った。

 翌朝、彼は予定通り村長の屋敷に行った。そこまでは普通だった。

「なんで、こんなに兵士が並んでいるんだよ。」

 思わず笑ってしまった。隣にいる彼女は唖然として前を見ている。並んでいるのはおよそ1000人ってところかな?

「完全に殺す気してるな、これ。」

 つぶやいた。彼女の肩がびくっと震える。くすっと笑いながら彼女の頭をなでる。

「ふぁ。」

 場違いな声が彼女から漏れる。・・・かわいい。

 そんなことをしているうちに村長が出てきた。

「おもてなしはいかがですかな?」

「う~ん。あんまり気分がいいとは言えないね。」

くすくすっと余裕を持ちながら答える。

「それはさておき、ずいぶんとうちの娘が気に入ったようですな。」

 素直に頭にきた。どの口がうちの娘とか言っているんだ?お前が一体彼女に何をしてあげた?そう言いたくなる気持ちを抑えた。

「とてもいい子ですね。」

「はい。自慢の子なのですよ。」

 ・・・へぇ。

「ところで、お話というのは?」

「そんな大した話ではありません。ただそろそろこの村を離れようと思いまして。ごあいさつに。」

「そうですか・・・。それは残念です。」

 長の眼が少し動いた。・・・何か合図したな。

「でも、その前に少しお話が。」

「・・・なんでしょう?」

 少し間を置いた。

「あなたの自慢の娘さんを私にくれませんか?」



 彼が何を言っているのか、わからなかった。娘さんをくれませんかって・・・それって・・・。期待に胸が膨らむ。でも、すぐにそれが間違いであることに気づく。彼の眼を見たらわかった。彼は選べと言っている。自分についてくるか、長についていくかを。そんなの・・・。

「あなたは娘を幸せにできる自信がありますか?」

長が言った。親のような優しい口調で。

「俺についてきたら彼女は幸せになれない、という自信がありますよ。」

あきらかに私に向かって言っていた。「俺についてくると、幸せにはなれないよ。それでもついてくるかい?」彼はそう言っている。私が言おうとしたことに気づいていて、もう一度よく考えろと言っている。

「それでは、あなたに娘はあげられませんね。ほら、お前も。こっちに来なさい。」

 言われても足は動かなかった。

「あなたに誕生日のプレゼントを用意してあります。」

 ・・・・え?心が動いた。長が私に初めてプレゼントをくれると言ってくれたのだ。1歩、また1歩と長の方に歩き出す。彼は何も言わない。長と彼のちょうど真ん中で止まった。

「私はどうしたいのだろう?」

 つぶやいた。まだ、心が揺れている。

「やりたいことを、したいことをすればいいさ。」

 思い出したのは、昨日の彼の言葉。

「・・・私のやりたいこと。」

 答えなんて、決まっていた。

 私は迷わず、長の方へ向かった。長は、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。

「今まで、ありがとうございました。」

 頭を下げた。

「私はこれから彼とともに旅に出たいと思います。」

 長は唖然としている。固まっている長を無視して、私はそのまま彼の元へと走る。

「私を一緒に連れて行ってください。」

 迷わず言った。

「・・・こっちの道はつらいよ。」

「それでも、選びました。こっちの道になら、私のやりたいことが見つかると思うんです。」

 はっきりと伝える。まだ、私のやりたいことなんてわからないけど、彼と一緒なら見つけられる気がする。すると、目の前に手が伸びてきた。

「これからよろしく。」

 目の前には笑顔の彼の顔があった。

「はい!!」

 握手しようと私も手を伸ばす・・・―――次の瞬間、私は彼に突き飛ばされていた。

 ほんのわずかに遅れて、銃声が鳴り響いた・・・。



「この、外道が。」

 今の弾は村長が撃ったものだ。村長から何かしらの攻撃は来ると思っていた。しかし、狙いは彼女だったのだ。何も迷わずに村長は彼女に向かって引き金を引いた。そのことに彼は強い憤りを感じた。

「この二人を殺せ!!」

 村長が叫ぶ。同時に1000人の兵士たちが動いた。

「大地に眠りし母なる守り人よ!迫りくる魔の手よりかの者を守れ!―――守護矛!!」

 出てきたのは純白の三つ又の槍。それを迷わず彼女の元へ投げる。彼女の脇の地面に刺さった槍はそこを中心として結界を築いた。これで、彼女の安全は保障された。

「・・・さて、逃げるか。」

 未知の魔法に兵士たちは戸惑っていた。そして、結界を破れないと悟った兵士たちはまっすぐに追ってきた。・・・少しだけ、彼女と距離を離したい。これからおきる惨劇を彼女に見せたくはなかった・・・。しかし、

「え~~~。」

 笑うしかなかった。いつの間にか目の前を兵士がふさいだ。数はざっと300人。どれだけいるんだよ・・・。

「逃げられはせぬぞ。」

 兵士の群れの奥から長の声が聞こえてくる。・・・・しょうがないか。彼女には怖いものをみせることになるな・・・。怯えられるかもしれない。でも、それでも、彼女に死なれるよりははるかにましだ!!

「深淵の闇に沈みし漆黒の魔剣よ!希望の光に照らされし純白の聖剣よ!光と闇の力を持って我が前に渦巻け!!――――黒椿!――――白銀!」

 左手には漆黒の剣が、右手には純白の剣が握られる。『2重詠唱』、2つの魔術の術式を1度に2つ展開する上級魔術である。加えて、彼が呼び出したのはそれぞれ光と闇の最強クラスの剣である。そして、それを平然とやってのける力が彼にはあった。

「殺せ!相手は1人だ!」

 長が叫ぶ。・・・さぁ、絶望を見せてあげよう。



 私は無力だ。彼女はそのことを思い知らされた。彼女の位置からはちょうど彼の姿が見れた。2本の剣を持っている。白い方は昨日のと同じ剣だ。でも、いくら彼が強くても、1人で1000人はどう考えても無理だった。

「私も一緒に戦いたい。」

 でも、今私が出て行っても邪魔になるだけだし、そもそも戦えない。

「力が、欲しい。」

 何のために?自分に問いかける。

「大切な人を。誰かを守るための力が欲しい。」

 それはいつしか、彼女の「やりたいこと」に変わっていった・・・。




前半は次章の伏線です。

そうなってしまいました。OTZ

・・・こんなはずじゃなかったのに

一応次章で第一部終章予定です。

誤字脱字、感想などありましたらよろしくです。

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