第2話 出会い
どうも鋼夜です。
読んでいただきありがとうございます。
1章から視点を「彼」と「彼女」の二人の視点から書きました。
分かりずらいかもしれませんが、よろしくお願いします。
ここはとある小さな国の小さな村の長の屋敷。
「ぼさっとしてるなよ!このくず!!」
罵声と同時に長は目の前にいる少女の頬をたたいた。
もはや日常茶飯事となっているこの光景に声をかけるものはおろか、目を向ける人さえいなかった。・・・ただ一人を除いては。一人だけ、彼だけはその光景をじっと見ていた。
「ふん。腐ってやがる。」
ふとそうつぶやいた彼は、そのまま宿の方へと歩いて行った。
また、叩かれた。少女はそう思った。自分の何がいけないんだろう。今日、起きてから叩かれるまでのことを考えてみる。自分では、大きな間違いをしていないつもりだった。長・・・ご主人様はどこがダメなのか教えてはくれない。自分で考えろというのだ。
「考えても、わからないよ・・・。」
涙が浮かんでくる・・・。でも、泣かない。自分でそう決めたんだ。お父さんとお母さんが死んだ日私はそう決めた。家族の形見の指輪を握りしめる。
「よし、頑張ろう!」
両親が死んで途方に暮れた私を拾ってくれたのはご主人様だ。ご主人様がいなかったら私も死んでいた。私にできる限りの恩返しをするんだ。それに・・・
「ご主人様は、16歳になったら旅をさせてくれるといってくれた。あと、1週間で旅に出れる。」
それまでに、私のできることをしよう。
「み~つけた。」
そうつぶやいた彼は、宿を通り過ぎ酒場に向かっていた。
やっぱ、情報集めなら酒場だよね~。そんなことを考えながら酒場の席に座った。
「ねえ、親父さん?」
「おう!なんだい?姉ちゃん!」
いきなり性別間違われてるし・・・。でも気にしないことにした。
「この村の長のとこでお手伝い?やってる子、なんていうの?」
「ああ、あの子かい。あの子、名前がないんだよ。」
「は?名前がないってどういうこと?」
「あの子は7年前に両親を亡くしてね、名前がないんだよ。」
意味が分からない。普通は生まれたらすぐに名前をつけるものだろう。そう考えていると親父さんが声をかけてきた。
「姉ちゃん旅人かい?」
「うん。そんなとこ~。」
「それじゃしょうがないな。この地方はな、16歳になるまで名前を・・・本名を決めないんだよ。みんなそれまでは仮名で過ごすんだ。仮名は親しか決められん。かわいそうにあの子は両親を失ったショックで仮名を忘れてしまったんだよ。」
なるほど、そういうことか。これだけの情報でもわかることは多くあった。
「しかも、仮名は本当の親しか決められない。だから今の長は屑だの、なんだのって呼んでるわけか・・・。」
「姉ちゃん、鋭いね。だが、あまり長の悪口は言うなよ・・・。ここではあの長に逆らっちゃ生きられねえからな。」
・・・・・。ここも独裁政権ってやつか。しかも見た感じだと、あの子を始めから奴隷か何かにするつもりで拾ったな・・・・。そう考えると、途端に気分が悪くなってくる。自分の中に黒い感情が湧きあがってくるのがわかった。
「(やっぱり、こういうのでも反応しちゃうんだ・・・。判定範囲広いな~俺。)」
くすくすっとしばらく笑っていると、また親父さんが話しかけてきた。
「どうしたんだい?姉ちゃん?」
だいぶ不思議そうに聞いてきた。
・・・そりゃ、一人で笑ってたら変な目で見られるよね~。笑うのをやめて、少し気になったことを聞いてみる。
「ねえ、親父さん?長がいなくなったらこの村どうなる?」
「そりゃ、代わりのやつにもよるけどよくなると思うぜ・・・って姉ちゃん、まさか・・・。」
「はははは。それはないよ~。」
「だよな。長は私兵500人も持ってるんだ。相手しない方が身のためだ。姉ちゃんも、できれば次の町に早く行った方がいいぜ。」
「そうだね。もう少し用事があるから。済ませたら次の町に行くよ。またね、親父さん。」
「ああ、またな。」
さて、残りの情報は直接本人達から聞くとしますか~。たかが500の兵で王にでもなったつもりかい?村・長・様・?
くすっ、くすすっと笑いながら彼は酒場を後にした。
いかがでしたか?
実は1章長すぎて半分に切ってたりしますw
感想や誤字脱字などありましたらお願いします。