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暗号

作者: 斉藤周二
掲載日:2026/05/07

 暗号があった。暗号は解読されたが、暗号の解読書もまた暗号で書かれた。解読書の暗号は解読されたが、解読書の暗号の解読書もまた暗号で書かれた。暗号は暗号を生み、解読書は解読書を生んだ。

 千年の時が流れた。世界は暗号と解読書に満たされ、人々は暗号の解読と作成に生涯を費やした。生に謎はなく、謎は暗号の裡にあった。

 一人の賢者が現れた。彼は暗号の解読書を暗号で書くことをやめ、平易な文章で書いた。それは革命だった。その時から人々は解読書の暗号の解読書を暗号で書くことをやめ、暗号の解読書の暗号が次々に解き明かされていった。

 さらに千年の時が流れた。世界からは暗号と解読書が消えていき、人々は星や風や波の、そして愛することの美しさを知った。愛には謎があった。謎ゆえに人々は愛を愛した。

 最後に残ったのは、最初の暗号だった。それが今解き明かされようとしていた。人類の二千年の謎が終わろうとしていた。暗号と解読書の歴史が終わろうとしていた。

 そして今、原初の暗号が解き明かされた。解読されたのは、次の一文だった。


「これは暗号ではない」

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